2024.02.26クリニック開業 , 電子カルテ

無床クリニックと有床クリニックの設備や業務内容などの違いについて解説

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現在勤務医として病院に勤務している方のなかには、将来的にクリニックを開業したいと考えている方がいらっしゃるでしょう。

クリニックの区分には診療科目のほかに、有床・無床などさまざまな違いがあります。

有床・無床のクリニックはベッドの数のほかに、何が異なるのでしょうか。

本記事では、無床クリニックと有床クリニックの設備や業務内容などの違いについて解説します。

無床クリニックとは?

クリニックとは患者さんを入院させるための設備を有していない、または19名以下の患者さんを入院させられる医療施設です。

こちらは医療法に定められているもので、無床クリニックは患者さんを入院させるための設備を有していないクリニックになります。

クリニックは20床以上のベッドを有する病院と比べて小規模になりますが、その分小回りが利いた経営を行うことができます。

たとえば、病院に行くほどではないケガをしたときなどは、クリニックが患者さんを診察、治療します。

また、病院で治療を受けた方でも、病院からの紹介でクリニックにて経過観察を行うこともあります。

地域に密着して患者さんの治療を行うことが、クリニックの役割といえます。

そのなかでも無床クリニックは、かかりつけ医や専門分野に特化した医療の提供が役割として課せられています。

近年では高齢者をはじめとした、通院が困難な方が多くなったため、往診や訪問診療に対応するクリニックが多くなりました。

提供する医療についても、クリニックでは病院とは異なり、特定の分野に特化していることが多い傾向にあります。

 

参考ページ:e-Gov法令検索「医療法」

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000205

 

有床クリニックとは?

有床クリニックとは、院内に1床以上19床以下の入院用ベッドが設置されている医療機関です。

患者さんの症状によっては、日帰りでは治療することができず、数日間経過観察をしなければならないことがあります。

たとえば、出産のときは母子の健康状態を回復させるために数日間院内で療養を行います。あるいは手術など外科的な医療を実施する科目では、術式の内容によっては術後の療養のために数日を要する場合があります。

そのためには入院用のベッドが必要となるため、「有床クリニック」ということになります。

無床クリニックよりも広い範囲の患者さんに対応できる点は、有床クリニックの特徴といえるでしょう。

 

「開業するなら無床?有床?」ではない

独立開業について漠然としたイメージで捉えているうちならばまだしも、人生の決断として「クリニックを開設し自らがその長となる」ことを本格的に検討しようとする段階に至った方々が「クリニックを開業するならば無床?有床?」と初歩的な比較論をすることは先ずないでしょう。医療機関を自ら立ち上げ、地域医療の担い手として「自分は何をしたいのか?」「どこまで自分の手でやりたいのか?」の目標が明確化されていて、それを実践するためには「有床クリニックでなければならない」、「無床クリニックでもトータルな地域医療連携でやれる」、「ひとまず無床クリニックとして立ち上げて外来を実践し、ゆくゆくは有床化を目指す」との結論が自ずと出ているからです。

ただし、一般論的な特徴の違いは存在するので、以下に参考程度にまとめておきます。

 

無床クリニックの特徴

  • 入院を考える必要がないため、患者さんの利便性が高い
  • 入院することによって発生する費用を抑えることができる
  • 省スペースで開業することができる
  • 夜勤やオンコールがないため、定時で就業することができる
  • 自宅の一部をクリニックにすることができる

 

有床クリニックの特徴

  • 24時間患者さんの対応をすることができるため、患者さんの安心感を得ることができる
  • 無床クリニックよりも多くの診療科目に対応することができる
  • 患者さんは病院よりも入院基本料を抑えることができる
  • 病院から入院が必要な患者さんの紹介を受けられる場合がある

 

今回詳述は控えますが、これら以外に運転資金など経営的な側面での違いもあります。何事においても「比較」することは重要ですが、一番大切な「自分は何をしたいのか?」をしっかりと見据えた検討を行いましょう。

 

無床・有床クリニックの開業手続き

こちらでは、無床・有床クリニックの開業手続きについてご説明します。

 

無床クリニックの開業手続き

下記、無床クリニックを開業する際に必要な書類と部数です。

  • クリニック開設届出書(医師開設) :2部
  • 開設者及び管理者の免許証の写し :2部
  • 開設者及び管理者の履歴書 :2部
  • 診療に従事する医師若しくは歯科医師の免許証の写し :2部
  • 診療に従事する医師若しくは歯科医師の履歴書 :2部
  • 所在地周辺の見取り図 :2部
  • 敷地の平面図 :2部
  • 建物の平面図 :2部
  • 勤務先管理者(院長)の同意書 :2部

 

地域や地方自治体によって提出する書類が異なることがあるため、事前に役所に確認しておくようにしましょう。

 

参考ページ:大阪市ホームページ「診療所の開設手続き」

https://www.city.osaka.lg.jp/kenko/page/0000059220.html

 

有床クリニックの開業手続き

有床クリニックについては、各地方自治体の医療計画によって開業が制限されていることがあります。

たとえば、2024年1月現在の大阪市内は病床過剰の地域に指定されているため、療養病床や一般病床を有する新たな病院・有床クリニックを開設することは基本的にできません。

また政府は、2015年時点で135万床あった全国の病床数を、2025年に115万床~119万床まで最大20万件削減する目標を掲げていました。2022年度の病床数は119万9000万床まで減少しており、政府による病床数の適正化が進められていると言えます。

 

おわりに

本記事では、無床クリニックと有床クリニックの設備や業務内容などの違いについて解説しました。

無床クリニックは院内に入院用ベッドがなく、有床クリニックは1床から19床までのベッドが設置されているクリニックになります。

クリニックを開設する際は、必要な手続きを確認して進めましょう。

 

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タグ : クリニック開業 無床クリニック 有床クリニック 設備 業務内容 違い
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