分包機の点検・清掃におけるチェックポイント(小型分包機編)
調剤業務の正確性と安全性を保つには、分包機の定期的な点検と清掃が欠かせません。慌ただしい日常業務のなかでこれらを行うのは大変ですが、万が一の事故が起きることがないように、正しい点検・清掃のやり方を知っておく必要があります。
今回は小型分包機の特に注意すべきポイントを紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
小型分包機の点検・清掃ポイント
① 錠剤セット板・錠剤ホッパー・錠剤分割器の汚れ
経路が汚れていると、分包時に薬品が汚れたり、錠剤にばらつきが生じたりする恐れがあります。
各部品は取り扱い説明書を確認して取り外したのち、水を含ませた柔らかい布で汚れを拭き取ります。最後に、乾いた柔らかい布で拭き取ってから組み付けるようにしましょう。
錠剤分割器の分割マスと底面全体、ペラ部分を開いてペラに付着した汚れを、水を含ませた柔らかい布で拭き取ります。その後、乾いた柔らかい布で拭き取ります。
② 散薬分割器の汚れ
散薬ペラの薬品付着がひどくなると、開閉不良や隙間が生じることによる薬品漏れが起こる場合があります。散薬ペラ部分を開きながら、分割器内部を付属のブラシで清掃します。散薬ペラは、ペラスプリングがかかっている側を上げると、開くことができます。付属のブラシの先端が、散薬ペラに当たらないよう清掃してください。
散薬ペラ部分は乾いた布で拭き、同時に分割器側に付着した汚れも拭き取ってください。どうしても落ちない汚れは水洗いしましょう。水洗いの際は、ぬるま湯で洗うとより効果的です。
清掃後はよく水分を拭き取ってから、完全に乾くまで乾燥させます。ドライヤー等を使う場合は、30cm以上離して使用しましょう。なお、清掃しても薬品漏れがある場合はメーカーへ不具合の旨を連絡してください。
③ Vマスの汚れ
Vマスが汚れていると、分包時に薬品が汚れたり散薬が漏れたりする恐れがあります。
水を含ませた柔らかい布で汚れを拭き取ったあと、乾いた柔らかい布で拭きます。Vマスを手で開閉し、きちんと閉じるかを確認してください。
④散薬ホッパーの汚れ
散薬ホッパーが汚れていると、コンタミネーション(薬品の混入)の可能性があります。
内ホッパーと外側の散薬ホッパーの結合部分のフックを外し、内ホッパーを取り出します。先に①部分を外し、次に②部分を外します。
ホッパーは、水洗いが可能ですので柔らかいスポンジを使用して、水で洗い流しできます。スポンジで汚れを取り除いたあとは、十分に水ですすいでください。水洗いのあとは、表面についた水分を乾いた柔らかい布などで十分にふきとります。
⑤ ヒーターローラーの汚れ
ヒーターローラーが汚れていると、シール不良や紙詰まりが起こる可能性があります。
分包紙がヒーターローラーに巻きついた場合などに、ラミネートがローラーに貼りついてしまったときは、付属のブラシを使って清掃してください。
⑥ 掃除機の袋のゴミ
掃除機の吸引力が弱くなっていたり、袋にゴミが半分以上溜まっていたりする場合は、掃除機袋を交換してください。組み付けには、きちんとロックされていることを確認してください。
⑦ 掃除機フィルタの汚れ
掃除機フィルタの汚れが気になるときは取り外して清掃します。水洗いした場合、完全に乾燥するまで組み付けないように注意してください。汚れがひどいときは、新しいフィルタと交換しましょう。フィルタの交換目安は1年となります。
⑧ 掃除機の異音
掃除機から異音・異臭がする場合は掃除機の使用を中止し、メーカーへ連絡してください。薬品漏れや掃除機モーターの故障が考えられます。
⑨ ミシン目(分包紙のカッター)の切れ
分包紙の切れが悪いなど、異常がある場合はメーカーへ連絡してください。ミシン目の切れが悪いと、ちぎる際に斜めに切れてしまう可能性があります。
⑩ プリンタヘッドの清掃
分包紙の印字が擦れている場合、プリンタヘッドの表面をプリンタヘッドクリーナー(付属)にアルコールを含ませて拭いてください。
下のQRコードを読んでいただきますと、お手入れ方法など確認することができます。
まとめ
薬局内での分包機の点検・清掃は、スタッフが自己流でやってしまうケースも少なくありません。点検・清掃時は見落としが発生しないように、チェックポイントをマニュアル化することが大切です。
今回ご紹介したチェックポイントや、取扱説明書・QRコードのお手入れ方法を参考に、ぜひ定期的な点検と清掃を行ってください。他機種のQRコードが必要な場合、弊社担当者営業までご依頼ください。※対応していない機種もございます。
<編集後記>
- 導入いただいた調剤機器の性能を充分に発揮させる為にも、定期的な点検と清掃をお願いいたします。(編集担当:T.T)
- 分包機の点検を徹底されている薬局でも、改めて今回ご紹介したチェックポイントについて見直していただけましたら幸いです。(ライター:N.K)
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