2025.08.27電子カルテ

電子カルテの義務化はいつから? 背景・施行時期・医療DXの全体像を徹底解説

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電子カルテの義務化

2025年7月時点では、電子カルテの導入はまだ法的には義務化されていません。しかし、政府は「医療DX令和ビジョン2030」に基づき、2030年までにほぼすべての医療機関への普及を目指しており、実質的な導入を促す政策を強力に推進しています。

本記事では、「電子カルテの義務化」の背景と目的、診療報酬改定や標準型電子カルテなどの具体的なスケジュール、そしてクリニックが電子カルテ導入に向けて検討すべきポイントについて解説します。

電子カルテの義務化とは何か

電子カルテの義務化とは

「電子カルテの義務化」とは、単一の法律によって電子カルテの導入を義務付けるものではなく、国が主導する医療DX政策におけるアクションプランのひとつとして示されています。その根底には、日本の医療が抱える構造的な課題の解決と、より質の高い医療提供体制の構築という大きな目的があります。※1

電子カルテ義務化の背景と目的

現在の医療現場は、情報が医療機関ごとに分断されている、いわゆる「データサイロ」の状態です。データのサイロ化とは、穀物や飼料などを貯蔵するサイロのようにデータが独立した状態で蓄積・保存されている状態を指し、医療機関同士の情報共有や連携ができていないことが課題となっています。例えば、患者が別の医療機関へ移る際、診療情報提供書はあっても、過去の細かな検査結果や投薬履歴のすべてが即座に共有されるわけではなく、重複検査による医療費の増大や既往歴の把握不足などが生じています。

この課題を解決する手段のひとつが、全国の医療機関が患者の医療情報を安全かつ円滑に共有できる「全国医療情報プラットフォーム」の構築です。このプラットフォームが効果的に機能するための大前提として、政府は、各医療機関における電子カルテの導入とデータの標準化を2030年までに実現することを目指しています。※2

全国医療情報プラットフォームの全体像
引用元:厚生労働省. 令和6年版厚生労働白書. 図表5-1-1 全国医療情報プラットフォームの全体像(イメージ) ※2

しかし、現時点では施設規模によって電子カルテの普及率に差があり、全国的な情報連携の大きな障壁となっています。このギャップを解消し、すべての国民がどこでも質の高い医療を受けられるようにするための、いわば国家的な医療品質向上政策が、政府が推進する「電子カルテの義務化」です。単なるITツールの導入ではなく、国が目指す新しい医療の形に適応させていくための重要な経営改革ともいえるでしょう。

医療DX令和ビジョン2030の概要

厚生労働省が掲げる「医療DX令和ビジョン2030」のなかでは、「遅くとも2030年には、概ねすべての医療機関において、必要な患者の医療情報を共有するための電子カルテの導入を目指す」という明確な目標が設定されています。※1

この目標達成の技術的な核となるのが、医療情報の標準化です。具体的には、診療情報提供書や退院時サマリーなど「3文書6情報」と呼ばれる中核的な情報を、医療情報交換のための国際標準規格である「HL7 FHIR」に準拠した形式とすることで、相互に連携できるようにします。これにより、異なるメーカーの電子カルテ間であっても、標準仕様に準拠していればデータの相互運用性が確保され、全国医療情報プラットフォームの基盤が築かれます。

政府は現在、医療現場にデジタルな情報連携の仕組みを広め、2030年に向けて不可逆的な変化を生み出すために、オンライン資格確認の原則義務化や電子処方箋の普及促進といった施策を先行して進めています。この動きは、クリニックが参加せざるを得ない新しい医療のエコシステムを構築する試みであり、将来的に経営上の不利益につながらないよう、慎重に導入を検討する必要があります。

関連記事:電子カルテにおける3文書6情報とはどのようなものなのか?

関連記事:電子カルテ情報共有サービスにおけるクリニックへのメリットとは?

電子カルテ義務化の具体的な施行時期

では、電子カルテの義務化はいつから始まるのでしょうか。現時点では具体的な施行時期は決まっておらず、「特定の年月日から一斉に義務化が始まるわけではない」というのがその答えです。しかし、すでに診療報酬改定や標準型電子カルテの開発などを通して、段階的な導入を促す動きが強まっています。

厚生労働省が進める「標準型電子カルテ」の開発

法的な強制がないとはいえ、政策のタイムラインは着実に進行しています。特に注目すべきは、政府自らが開発を進める「標準型電子カルテ」のスケジュールです。

厚生労働省は、特に普及率が低い小規模なクリニックへの電子カルテ導入を後押しするため、デジタル庁と連携して「クラウドベース(SaaS型)による標準型電子カルテ」の開発を進めています。2026年度以降の本格実施を目指して、2025年3月に山形県の診療所で紙カルテとの併用を想定したα版の提供が開始されており、全国数か所の地域において、中核病院および数施設の診療所の組み合わせによるモデル事業が計画されています。同年夏ごろからはモデル事業の第2弾が実施される予定です。※4

厚生労働省. 医療DXの進捗状況
引用元:厚生労働省. 医療DXの進捗状況について ※4

標準型電子カルテの影響

標準型電子カルテは、複数の医療機関が共同利用することでコストを抑え、情報共有に必要な最低限の機能を搭載したものになる見込みです。これまで導入コストを理由に電子カルテの導入を見送ってきたクリニックに対し、安価な選択肢を提供することで、2020年代後半から一気に普及を加速させるという政府の強い意志が込められています。

標準型電子カルテが市場に投入されると、クリニックは大きな戦略的選択をしなくてはなりません。安価で基本的な政府製システムを導入するか、自院の診療スタイルに合った高機能な市販の電子カルテを早期に導入して業務効率化も同時に目指すかという選択です。この選択は、クリニックの将来の競争力を大きく左右するでしょう。

関連記事:標準型電子カルテとメーカーが提供する電子カルテの違いとは

医療DX推進体制整備加算

さらに、クリニックへの電子カルテ導入を強力に後押しするのが、令和6年度診療報酬改定で新設された「医療DX推進体制整備加算」です。クリニックの収益に直結する形で医療情報のデジタル化を評価する仕組みとなっています。※5

この加算を算定するには、オンライン資格確認や電子処方箋発行体制の整備と、将来的に「電子カルテ情報共有サービス」を活用できる体制の構築が必須です。特に重要なのは、これらに対する経過措置が順次終了していく点です。例えば、電子処方箋の発行体制についての経過措置は2025年3月末にすでに終了しました。電子カルテ情報共有サービスの活用体制についての経過措置は2025年9月末が期限とされていましたが、中央社会保険医療協議会によって2026年5月31日まで延長されることが発表されました。これを過ぎると、加算要件を満たせなくなります。※5、6、7

2025年4月からは、電子処方箋の導入有無によって算定できる点数が明確に区別されるようになりました。電子処方箋を未導入のクリニックは、導入済みのクリニックよりも診療報酬が確実に低くなります。なお、医療DX推進体制整備加算に関する施設基準のひとつに「マイナ保険証利用率実績」がありますが、発行済みの健康保険証への経過措置が2025年12月1日に終了することを踏まえ、2025年7月にはさらに要件が見直されました。具体的には、「医療DX推進体制整備加算1」におけるマイナ保険証利用率実績は45%以上とされていましたが、2025年10月1日から2026年2月28日までの間においては60%以上であることが求められるようになりました。※7

このように、「DX化に取り組まなければ確実に収益が減少する仕組み」が、すでに動き出しているのです。

2025年4月以降の算定要件 ※5、7

加算の種類 電子処方箋 点数 施設基準の主な要件
医療DX推進体制整備加算1 導入済 12点 オンライン請求、オンライン資格確認体制、マイナ保険証利用率実績(45%以上、ただし2025年10月1日から2026年2月28日までは60%以上)、電子カルテ情報共有サービス活用体制など
医療DX推進体制整備加算4 未導入 10点 (同上)

関連記事:令和7年4月改正!医療DX推進体制整備加算について

日本医師会「診療所における医療DXに係る緊急調査」の結果

国がDX化を進める一方で、そのスピード感は医療現場の実態と乖離していることも事実です。2024年に日本医師会が実施した「診療所における医療DXに係る緊急調査」では、現場の切実な声が浮き彫りになりました。この調査は、2024年9月20日から10月4日にかけてWeb調査にて行われ、日医A1会員のうち診療所管理者(院長)から無作為に抽出された10,000名のうち、有効回答数4,454件を得ました。※7

電子処方箋の導入率は、14.5%(運用中4.6%と導入済みで未運用の9.9%の合計)と低迷しています。電子処方箋導入の障壁としては、「システムの改修や導入の費用負担が大きい(58.3%)」や「電子処方箋を導入するメリットを感じない(52.5%)」といった意見が多く挙がりました。電子処方箋を運用していない理由としては、「地域の薬局や医療機関が未運用(44.4%)」という実情が指摘されており、一施設だけの努力では解決できない問題であることもわかりました。※、9

電子処方箋の導入状況

電子処方箋の未導入

引用元:公益社団法人 日本医師会. プレスリリース. 診療所における医療DXに係る緊急調査の結果について ※8

次に、電子カルテの使用割合は62.6%という回答でした。回答者である診療所の院長の年齢階層によって導入率には差があり、49歳以下では90.9%と高い一方で、70歳以上では41.4%にとどまっています。この結果を踏まえ、日本医師会の長島公之常任理事は電子カルテの義務化・強制化には強く反対する旨を主張されています。特に、地域医療の担い手である高齢の医師が電子カルテに対応できず医療が継続できなくなってしまうことで、「地域医療が崩壊してしまう」という強い懸念を示されました。※8、9

電子カルテの使用状況

引用元:公益社団法人 日本医師会. プレスリリース. 診療所における医療DXに係る緊急調査の結果について ※8

つまり、国の政策目標と現場の準備状況との間には、まだ大きなギャップがあるということです。クリニックは、診療報酬上の不利を避けるために導入を迫られながらも、コストや地域の連携体制といった根本的な課題に直面しているのです。

電子カルテ普及の現状と課題

政府がこれほどまでに普及を急ぐ理由のひとつとして、日本の電子カルテ普及率が、国が掲げた目標には追い付いていないことが挙げられます。

電子カルテ普及の現状分析

厚生労働省の令和5年(2023年)の調査によると、一般病院全体での電子カルテシステムの普及率は65.6%、なかでも一般診療所における電子カルテ普及率は55.0%にとどまっています。※10

なお、前述の日本医師会の調査(2024年)では、診療所における電子カルテ導入率は62.6%と、厚生労働省の調査結果よりもやや高くなっています。これは1年で急激に普及が進んだわけではなく、日本医師会の調査では「回答者はICTに慣れた医師が多い可能性」があることが指摘されています。※8

普及状況の推移を見ると、いずれの規模の医療機関においても電子カルテ普及率は年々着実に上昇しています。しかしながら、いまだ半数近くのクリニックが紙カルテで運用しているのが実態です。※10

電子カルテの普及状況

一方、アメリカやイギリス、スウェーデンといった欧米諸国の普及率は、すでに80%を超えています。日本も、400床以上の大規模病院では93.7%に普及していますが、全体を見ると日本の医療におけるデジタル化は諸外国と比べて大きく遅れているのが現状であり、国策としてDXを強力に推進する背景となっています。※10、11

関連記事:電子カルテ普及率の最新動向:導入のメリットと課題、医療DX推進について解説

医療情報共有の課題と解決策

普及率の低さだけではなく、既存の電子カルテが抱える「ベンダーロックイン(特定のベンダーの製品や技術に依存した状態のこと)」も大きな課題です。電子カルテは各医療機関にさまざまなメリットをもたらす一方で、メーカーごとに仕様が異なるため、医療機関同士でのスムーズなデータ連携が妨げられてきました。この課題に対する国の解決策が、前述した国際標準規格「HL7 FHIR」の採用と、「電子カルテ情報共有サービス」の整備です。これから電子カルテを選ぶ医療機関にとっては、この国の標準規格に対応しているかどうかが、極めて重要な選定基準となります。

電子カルテ導入の手順とポイント

電子カルテの導入は、単に紙からデジタルにデータを置き換えるだけではありません。クリニックの業務フロー全体を見直す一大プロジェクトであり、その成功のためには以下の手順を計画的に進めることが不可欠です。

電子カルテ導入の一般的なスケジュールと手順

本稼働の半年前:電子カルテの選定

  • 電子カルテのメーカーまたは販売会社に連絡
  • 見積もり、デモ、トライアルなどを通して、自院に合う機器を選定

本稼働の3~4か月前:要件確認とシステム設定

  • 導入するシステムを決定し発注
  • 担当者と詳細な打ち合わせ(条件設定事項の確認・依頼など)

本稼働の1~2か月前:納品・セッティング・試験運用

  • 機器納品、セッティング、連携試験、模擬診療など
  • メーカーの担当者によるスタッフへの操作説明(訪問)
  • マスタの微調整、設定変更、運用ルールの策定・調整

運用開始

  • 本稼働日から2~3日間は、メーカーの担当者が終日立ち合う
  • サポート体制が充実しているメーカーであれば、本稼働後も都度相談し、トラブルや不明点を解消することが可能

電子カルテの導入はまだ義務化されていませんが、いざ導入しようとすると、選定から運用開始までは半年程度かかるのが一般的です。また、補助金を活用する場合はその申請も並行して行う必要があります。余裕のあるスケジュールで進めるためにも、信頼できるメーカーを選び、最後まで伴走してもらうことが大切です。

関連記事:電子カルテを導入するまでのスケジュールをまとめておこう

関連記事:クラウド型電子カルテ導入の手順・流れについてご紹介

電子カルテ導入のメリットとデメリット

電子カルテ導入には、メリットとデメリットの両面があります。電子カルテが義務化され、導入した場合にはどのようなメリットがあるのか、また、デメリットに対してどのように対策すべきかを正しく理解しておくことで、自院にとって最適な判断を下すことができます。

主なメリット

電子カルテのメリット

情報の入力や整理にかかる時間の短縮

電子カルテは、紙のカルテに比べてデータ入力に必要な時間が短縮できます。カルテの入力や文書の作成などさまざまな業務で効率化が実現するので、医療そのものにかける時間を増やすことができます。

検索性の向上

電子カルテでは、自動的に情報がデータベースに整理されます。紙のカルテのように保管場所からカルテを探したり、元の場所に戻したりする手間もなく、容易に検索できます。

医療過誤の防止

医薬品に関するデータベースを搭載している電子カルテシステムの場合、薬剤の併用禁忌やアレルギー情報を自動的にチェックします。不備があれば警告(アラート)を発するため、投薬ミスなどの医療事故を防ぎます。また、手書き文字の判読ミスによる指示の誤解や転記ミスも防ぐことができます。

診療の質の向上

検査結果や過去の画像データの参照、グラフ化、過去の所見との比較などが容易になり、より正確で迅速な診断を支援します。電子カルテの画面上に画像や検査データの推移などを表示できるため、患者は病状や治療方針を理解しやすくなります。

会計・レセプト業務の効率化

電子カルテシステムを会計関連システムや医事会計システムと連携することで、会計・レセプト業務の効率化が実現し、患者の会計待ち時間が大幅に短縮されます。病名と処方の整合性チェック機能などにより、レセプトの記載漏れや間違いによる返戻が減少するのもメリットです。

スムーズな情報共有

電子カルテは、複数の場所で複数の医療従事者が同時に閲覧できるため、患者の情報をリアルタイムで共有できます。また、インターネット環境があれば院外からでもカルテを確認でき、訪問診療や複数拠点を持つクリニックなどに役立ちます。

クリニック経営の強化

電子カルテに蓄積されたデータを活用し分析することで、クリニックの経営戦略の立案にも役立ちます。

患者満足度の向上と働き方改革への貢献

電子カルテ導入による業務効率化は、患者満足度の向上やスタッフの働き方改革にもつながります。

主なデメリットと対策

電子カルテのデメリット

導入費用がかかる

電子カルテの導入には、初期費用や月々の運用コスト(ランニングコスト)などがかかります。対策としては、初期費用を抑えられるクラウド型の導入、補助金や助成金の活用のほか、長期的な投資対効果(ROI)で判断することなどが挙げられます。

セキュリティ面の懸念

患者の個人情報を取り扱うため、情報漏洩やサイバー攻撃のリスクを軽視せず、セキュリティ対策を万全にする必要があります。対策としては、「3省2ガイドライン」に準拠している製品を選ぶことはもちろん、「ゼロトラスト」の概念を院内に導入し、具体的な院内セキュリティルールを策定することが挙げられます。

システム障害・災害時の業務停止のリスク

システム障害や災害によって電子カルテシステムが利用できなくなれば、診療が停止してしまうおそれがあります。事業継続計画(BCP)の策定や非常時運用訓練などを通し、万が一に備えることが大切です。オンプレミス型の場合は、定期的なバックアップと、バックアップの別の場所への保存、サーバーの物理的な保護や停電対策などが重要です。クラウド型の場合は、自院の機器故障や災害時にも一定のリスク分散につながりますが、同時にバックアップ体制や冗長性の確認は欠かせません。

スタッフが使いこなせるか不安

ICTに詳しくなく、PC操作が不慣れなスタッフにとっては、電子カルテシステムに慣れるまでは不安も多いかもしれません。デモやトライアル期間を活用して、PCの習熟度にかかわらず直感的に操作できるシステムを選びましょう。また、導入時の操作研修や稼働後のトラブル対応など、サポート体制が充実したメーカーを選ぶことも重要です。

関連記事:電子カルテ導入のメリット・デメリットとは?クリニックへの導入で失敗しないための選び方も解説

補助金の活用

電子カルテ導入の大きな障壁であるコスト負担を軽減するために、国はさまざまな補助金制度を用意しています。

IT導入補助金

クリニックが電子カルテ導入の際に活用できる代表的な補助金が、「IT導入補助金」です。これは経済産業省・中小企業庁が管轄する制度で、中小企業・小規模事業者等が労働生産性向上を目的としてITツールを導入する際、その経費の一部を補助するものです。※12

「常時使用する従業員の数が300人以下」の医療法人も申請対象であり、要件を満たせば電子カルテの導入費用も対象となります。※13

採択されれば大きな金銭的支援を受けられるので、登録されている「IT導入支援事業者」に相談しながら申請手続きを進めましょう。

関連記事:電子カルテ導入の費用負担を大幅軽減!IT導入補助金2025の対象や申請手順を解説

関連記事:クリニックのための電子カルテ導入費用ガイド:IT導入補助金2025についても解説

ユヤマの電子カルテの特徴

ユヤマの電子カルテ

「標準型電子カルテとメーカー製の電子カルテ、どちらにしようか迷っている……」
「具体的にどんな機能に注目して電子カルテを選べばいいのかわからない……」

電子カルテ義務化に向けて国が開発している標準型電子カルテは、診療録を電子的に記録できるものと、紙カルテとの併用を想定してカルテの記録機能を搭載しないものの2種類が用意される見込みです。いずれも、導入コストを抑えられるよう必要最低限の機能のみを搭載したシステムになると考えられます。安価な標準型電子カルテの本格実施を待つか、メーカー製の電子カルテを導入するか、悩まれているクリニック様も少なくありません。

当社が提供する無床診療所様向け電子カルテシステム「BrainBox」シリーズについて、標準型電子カルテと比べた場合の特徴をご紹介します。

シンプル&簡単操作の「ユヤマ・キーパッド」

診療シーンにおける入力効率を徹底的に追求した、シンプルで簡単に操作できる「ユヤマ・キーパッド」が特徴です。必要なときに必要なボタンのみを表示するので、素早く入力できます。サイズ可変のショートカット機能のほか、検査・処置・医薬品などの診察行為をあらかじめセットメニューとして登録することも可能です。さらに、医薬品総合データベースやアレルギーチェック、診察終了時にオーダー内容を解析する「AIチェック」が、より質の高い診療を支援します。

現在α版が提供されている標準型電子カルテは、各種情報がタブで管理されているほか、簡易的なショートカット機能なども搭載されていません。電子カルテならではの入力効率や直感的な操作を重視される方は、当社の「BrainBox」シリーズのオンラインデモをぜひお試しください。

BrainBoxオンラインデモ

専任の営業担当によるサポート体制

標準型電子カルテは、あくまで必要最低限の機能のみを搭載した汎用的なシステムであり、医療機関ごとの課題やトラブルに個別に寄り添う丁寧なサポート体制はあまり期待できないと考えられます。導入前後の手厚いサポートを重視される方は、標準型電子カルテのサポート体制を事前に確認のうえ、メーカー製の電子カルテとの比較検討をおすすめします。
当社ではクリニック様ごとに専任営業を配置し、万全のサポート体制を提供しています。導入後も同じ担当者が責任を持ってクリニック様に寄り添い、日々の運用を伴走しながらサポートいたします。

全国の営業拠点・アフターサービス拠点、コールセンター、チャットボット機能に加えて、経験豊富な専任営業がサポートする「現場力」は、多くのクリニック様に高くご評価いただいているポイントです。

電子カルテ義務化に備えて情報収集と準備を進めよう

本記事では、電子カルテ義務化の背景にある国の大きな方針と、診療報酬改定や標準型電子カルテをはじめとする具体的な動き、クリニックが電子カルテを導入する際に検討すべきポイントなどについて解説しました。

法的に強制されているわけではないものの、2030年に向けて医療DXを推進する国の流れは明確であり、後戻りすることはないと考えられます。

この変化を単なる負担ととらえるのではなく、クリニックの業務効率化と医療の質を向上させる絶好の機会ととらえ、早期に情報収集と準備を開始することが、将来の安定的なクリニック経営の鍵となるでしょう。

参考資料

※1 厚生労働省 医政局. 医療DXの更なる推進について.
※2 厚生労働省. 令和6年版厚生労働白書. 図表5-1-1 全国医療情報プラットフォームの全体像(イメージ)
※3 厚生労働省. 電子カルテシステム等の普及状況の推移
※4 厚生労働省. 医療DXの進捗状況について.
※5 厚生労働省. 医療DX推進体制整備加算及び在宅医療DX情報活用加算の見直し.
※6 厚生労働省. 4月1日までに、 施設基準の届出直し・辞退が必要です
※7 厚生労働省. 個別改定項目について 医療DX推進体制整備加算等の要件の見直し.
※8 公益社団法人 日本医師会. 診療所における医療DXに係る緊急調査 結果.
※9 公益社団法人 日本医師会. プレスリリース. 診療所における医療DXに係る緊急調査の結果について.
※10 厚生労働省. 電子カルテシステム等の普及状況の推移
※11 厚生労働省. 諸外国における医療情報の 標準化動向調査
※12 IT導入補助金2025. IT導入補助金制度概要.
※13 IT導入補助金2025. 申請の対象となる方.

オンプレミス型電子カルテ BrainBoxV-Ⅳ

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