電子カルテのスムーズな入力方法について
近年、医療の現場で電子カルテの導入率が高まっています。
各社システムも日進月歩でどんどん使いやすくなっています。
しかし、いくら効率化を図っても、電子カルテへの入力や操作が難しいと感じることがあるかもしれません。
今回は、電子カルテへの入力をよりスムーズにする方法をご紹介します。
・医師、スタッフの入力負担軽減のために
電子カルテへの入力は医師だけではなく、システムを使用する全てのスタッフがスムーズに入力できるように設定する必要があります。
つまり、誰でも入力ができるように整備する必要がある、ということになります。
前提として、パソコン作業が苦手な方はタイピングにも時間がかかる傾向にあるため、そういった方はまずタイピングスピードを上げるために練習する必要があります。
これらの点において問題ない場合、それでも負担が大きいと感じられている方は下記の4項目を実践してみてはいかがでしょうか?
1. 外部データの取り込み
電子カルテを稼働させている以上、外注の臨床検査会社からもたらされる検査結果データを相互接続により電子カルテへと取り込むことは必須の大前提です。それ以外に外部からもたらされる情報についてもデータ化して電子カルテへと取り込めないか検討しましょう。
患者が持参する他院からの紹介状やおくすり手帳、薬剤情報プリントアウトなどを、スキャナでデータ化して患者ごとのフォルダに保存し、患者カルテ画面上で素早く呼び出せる機能を持った電子カルテもあります。
紙媒体の情報を見ながら電子カルテにいちいち入力していたのでは、手間がかかるうえに入力ミスのリスクもつきまといます。
電子カルテにそもそも「入力しないで済ませられる」ものがないか、実装機能を確認してください。
2.キーボード、画面配色などのインターフェースをカスタマイズ
まず設定していただきたいのがキーボードや画面配色など、電子カルテと入力者が接触する箇所のカスタマイズです。
個人では指のサイズが異なり、自分の指に合っていないサイズのキーボードを使用した結果、打ちにくさが原因でタイピングスピードが落ちたり、や誤字脱字が発生したりしてしまいます。
画面配色については画面が見にくければ必要情報を入力しにくくなり、結果入力効率が下がります。
普段よく目にする電子カルテを自分好みの使い易いようにカスタマイズすることで視認時のストレスを軽減し、入力がスムーズになります。
また、マウスポインタのデザインやサイズ、マウスポインタの速度、縦横スクロールの速度も必ず調整しましょう。
使用している電子カルテの画面配色に溶け込んでしまうような色は避け、動きを見失ってしまうことのないようできるだけ大きいサイズ設定を選択してください。
マウスポインタの速度設定を最適化することも重要です。遅すぎると画面の上から下、左から右へとマウスポインタを移動させるために何ストロークもマウスを動かさなければならず面倒ですし、速すぎると画面上での細かい操作が行いづらく、またマウスポインタの動きを見失ってしまいます。
スクロール(特に縦方向)の速度設定も自分のスタイルに合わせましょう。遅すぎても速すぎてもそれぞれに問題があります。自分にとって最も扱いやすい設定を見定めることです。
3.辞書、用語登録
よく使う単語、例えば「咳」や「鼻孔」などを辞書や用語登録しておけば用語を入力するだけで簡単に打ち込むことが出来ます。
また、紹介状を作成する際に自らがよく使う言い回し(冒頭のあいさつなど)があるのであれば、これを辞書登録機能に保存しておくことで、わずか2~3回のキータッチでいつもの文が完成します。
医学・医療用語に特化した辞書ソフトもおすすめです。安価な投資で飛躍的な生産性向上を手に入れることができるでしょう。
電子カルテによっては、様々な患者指導文などのテンプレートを保存し、素早く呼び出せる機能を持ったものもありますので確認してみてください。
4.セットデータを作成する
電子カルテは過去カルテからコピー&ペーストを行うことができるので、慢性疾患の再来患者を診察するときなどは入力の時間を大幅に削減できます。
また、初診患者用として典型的な症状とそれに対する各種オーダーなどについて数パターン用意をしておけば、それに対応したシチュエーションの電子カルテをすぐに作成することが可能となります。
例えば「風邪」というセットデータを予め作成しておき、診断した患者に風邪の症状が見られた時にそのセットデータを使用することで、一から作成する手間が削減されるため電子カルテへの入力効率がアップします。
なお、「セット」機能は、電子カルテメーカーそれぞれで「何を」「どのように」「どの範囲で」
セット化できるかに差異があります。
導入前の検討段階であるのであれば必ず各社の比較検討を行うようにしてください。
・おわりに
以上が電子カルテへのスムーズな入力方法のご案内になります。
まず、電子カルテである前に「PC」としての使い勝手を自分のスタイルに合わせて必ず調整しましょう。自動車を運転する際に座席の位置や高さ、ハンドルの角度の調整を行わない人はいないのと同じです。
同じことを入力することが多い場合はセットデータを作成し、いつでも引き出せるように設定しましょう。
頻出単語は電子カルテやPC に辞書登録をすることでスムーズに入力することが出来ます。
これらの機能を使用し、入力工数を削減することでより患者と向き合う時間を多くとれるようにしましょう。

株式会社ユヤマ

最新記事 by 株式会社ユヤマ (全て見る)
- 業務負担を5.6時間削減!?「今日の治療薬WEB」と連携可能な電子カルテ「BrainBox」シリーズ - 2025年5月1日
- 電子処方箋の仕組みや導入によるクリニック・薬局・患者のメリットとは? - 2025年4月25日
- 医療AIはここまで進化!最新の活用事例をチェック! - 2025年4月15日