2021.07.29電子カルテ

医療クラークを導入して電子カルテを効率良く活用しよう

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医療クラーク

電子カルテの導入率は年々増加しており、現在未導入の診療所でも導入を検討されている方もいるかと思います。

電子カルテは紙カルテよりも患者さんの情報を管理しやすい一方、日々患者さんのために全力を尽くしている医師にとって、電子カルテへの入力操作が負担となり、結果患者さんにしっかりと向き合ったこれまで通りの診察が行えなくなってしまうのでは、と懸念される方もいるかと思います。

今回は、そんな多忙な医師の電子カルテへの記載をはじめとする事務作業を補助する医療クラークについてご紹介していきます。

 

医療クラークとは?

医療クラークとは、「医師事務作業補助者」の別称です。

医師の事務作業を補助する従事者のことであり、診療所でも医療クラークの活用が広まりつつあります。

医療クラークの業務はカルテの代行記載のほか、医療に関する文書作成代行や医療の質の向上に資する事務作業などがあります。

つまり、医療クラークの業務は医師の事務作業を代わりに行うことで医師の負担を軽くし、医療サービスを向上させることになります。

 

医療事務との違い

クラークと業務内容を混同しがちな職種のなかに、医療事務があります。

医療事務は受付窓口で患者さんの対応や診療の会計、診療報酬の請求業務などを行う職種です。

患者さんが診療を受ける際、最初に会話をする院内スタッフであることが多く、クリニック全体の事務作業を担当しています。

医療事務には能力を認定するような国家資格は無いため、どなたでもクリニックに採用されれば医療事務になることができます。

しかし、医療事務は電子カルテの記入などができず、通常業務だけでは十分な知識が身に付かないことがあります。

クリニックで重要な役割を担い、自分の価値を高めて昇給を望む方は、知識増加や資格取得などでスキルアップに臨むものです。

そのため、医療事務のなかには「診療報酬請求事務能力認定試験」といった、業務に関連する資格を取得する方がいらっしゃいます。

一方、クラークは診察室で医師の指示に従って電子カルテに診療情報を記載する役割を持ちます。

クラークも無資格で採用されることがありますが、スキルアップを目指す方は下記のような資格を取得しています。

  • 医療事務検定試験
  • 医事コンピュータ技能検定試験
  • 医療秘書技能検定試験
  • 医療事務技能審査試験/メディカル クラーク(R)
  • 医師事務作業補助技能認定試験/ドクターズクラーク(R)

 

業務内容をまとめると、クラークは医師のサポート、医療事務はクリニックの受付や事務作業を行うといった点が異なります。

 

看護助手との違い

看護助手との違い

クラークと混同されがちな職種には、看護助手も挙げられます。

看護助手は患者さんのお世話や看護師のサポートなどを行う職種であり、資格が無くても職に就くことができます。

しかし、資格を有していない看護助手は採血や注射といった医療行為に携わることはできません。

そのため、一般的には医療行為以外の業務を行うことで医師をサポートすることが主な業務となります。

下記、看護助手の仕事内容の一例です。

  • 患者さんの身の回りのケア
  • 看護師のサポート
  • クリニック内の環境整備

 

クラークと比べると看護師や医師のサポートを行う点では共通していますが、業務内容が異なります。

たとえば、クラークは事務作業だけではなく、診療の現場に同席して電子カルテへの記載などを行います。

一方、看護助手は医療行為に参加できないため、サポートできる範囲が限られているものです。

 

医療クラークでの電子カルテ運用の注意点

クラークでの運用メリット

そもそも、医師の代わりに事務員がカルテを書いても良いのでしょうか?

こちらの疑問については平成19年に「医師及び医療関係職と事務職員等との間等での役割分担の推進について」という通知の中で電子カルテへの記載による医師への情報伝達の旨が記載されております。

つまり、チーム間の情報共有を目的に、医師に代わり電子カルテへの記載を行うことができます。

ただ医療クラークの教育は必要不可欠で、必要な知識やスキルを持ち、理解すべき仕組みなどを理解した上でカルテに記載してもらわなければ、結局医師が操作、記載したほうが速い、といったことになります。

また、記載したカルテの最終責任者は医師になるので、例えば電子カルテの最終承認ボタンは医師が押す、などシステム上に明確な責任者のデータを残す必要があります。

つまり医療クラーク運用の際は、医療クラークはあくまで補助のポジションで、責任者は医師である、という意識を持って業務に望む必要があるのです。

その結果、医院や診療所全体を見ることができ、医師の業務や患者さんの流れや対応をスムーズにしようとコントロールをすることができるようになります。

このように、医療クラークは事務作業等の定量的な補助はもちろん、相手の気持ちを察知して事前に動くことができる定性的な補助の役割も担っています。

 

医療クラークの導入効果

医療クラークを導入することで、下記のような効果を得ることができます。

 

患者さんへのホスピタリティを向上できる

医療クラークは医師とともに診療現場に立ち会うことで、症状や生活環境といった患者さんの情報をリアルタイムで取得することができます。

そのため、患者さんに合わせたコミュニケーションを取ることができるため、患者さんへのホスピタリティの向上が可能です。

たとえば、耳が遠い高齢の患者さんに対しては大きくハッキリと話すといったことが挙げられます。

また、子どもの患者さんを診療する場合、注射のときに注意を引く行動を取ることができます。

医師はクラークを導入することで、電子カルテの代行入力だけではなく患者さんの対応もできるため、業務負担を軽減できる点はメリットと言えるでしょう。

 

意思疎通の手間が省ける

医師やクリニックの経営状況によっては、スタッフとコミュニケーションが取れないほど忙しい日があります。

そのような場合、医師はスタッフに指示を出すことが難しいため、最適な診療を行えなくなってしまいます。

しかし、日ごろから行動を共にしているクラークがいる場合、クラーク自身が判断して行動をしてくれることが期待できます。

なかには医師が考えていることを先回りして行動してくれるクラークもいるため、強力な戦力として活躍するでしょう。

そのため、クラークは医師にとって頼りになるビジネスパートナーになる存在だと言えます。

 

クリニック全体の状況の把握

日中、医師は診療に専念していることから、クリニック全体を把握することは難しいものです。

あと何人の患者さんがいるのか、どのような患者さんが来ているのかなど、事前に把握しておきたい情報は多くあります。

クラークを導入し、医療事務などスタッフとコミュニケーションを図ることで診療所内の情報を把握することができます。

また、場合によってはクラークが医師に代わって指示を出すことがあります。

このように、クラークは診療だけではなく、クリニック全体の情報を把握することで運営をスムーズにする役割を持ちます。

 

医療クラーク導入に関するポイント

クラーク導入に関するポイント

このように、さまざまな状況下で活躍してくれるクラークですが、そのためには十分な教育環境を整える必要があります。

クラークは法律や院内ルール、機器の操作など、さまざまな知識に精通しなければなりません。

そのため、医師はクラークがこれらの知識を習得するための環境を、導入前に整えておきましょう。

医師のサポートを行い、戦力として活躍するクラークを育成するためには、環境整備や院内ルールの明文化が有効な手段です。

これまでなんとなく従っていたルールも、記載してみると守る必要が無いかもといったことが多々あります。

また、負担が大きくなるクラークのモチベーション維持も、重要な課題のひとつです。

以上のことから、クラークを導入する前に、自院の状況や管理体制などを見直しておくことをおすすめします。

 

おわりに

医療クラークは電子カルテへの記載など医師の事務作業代行者として、非常に頼りになる存在です。

しかし、そんな医療クラークはすぐに活躍することはできません。

医療クラークは大切な頼れるパートナーとなるので、導入している、または導入を検討している医師の方は自らのスタイルに合った医療クラークに教育する必要があります。

まだ医療クラークの導入されていない方は、当記事を参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

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