2025.05.09電子カルテ

オンライン診療の研修修了証とは?必要な理由と取得の流れを解説

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オンライン診療

「診療(診察)」とは、医師法第20条において問診、視診、触診、聴診などの手段により、現代医学からみて疾病に対する判断を得る行為を指します。かつては患者がクリニックをはじめとした医療機関を訪問して診療を受ける形式が一般的でした。

しかし、近年ではICT技術の進歩や高齢化社会と地域医療の課題、COVID-19パンデミックの影響、医療現場の効率化と患者利便性の向上などにより、オンライン診療が徐々に普及しています。

また、このような背景から、厚生労働省は2022年に「オンライン診療の適切な実施に関する指針」を改定しました。

本記事では、オンライン診療の研修修了証について、必要な理由や取得するまでの流れとあわせて解説します。

オンライン診療研修について

オンライン診療は、スマートフォンやタブレット、パソコンなど使用して、その場で診療や処方を受けられます。

オンライン診療から得られる情報が限られている点には注意が必要です。そのため、厚生労働省は「オンライン診療の適切な実施に関する指針等の関連ルール」を定めています。この指針では、オンライン診療は対面診療と適切に組み合わせること、原則としてかかりつけ医が実施することなどが求められています。

また、オンライン診療を行う医師には、医学的知識だけでなく、情報通信機器の操作やセキュリティ対策に関する知識も必要です。そのため、厚生労働省はオンライン診療を実施する医師に対し、研修の受講を義務付けています。オンライン診療では患者の個人情報を扱うため、情報漏洩リスクを最小限に抑えることが重要です。

研修では、セキュリティ対策や適切な診療の進め方を学び、医師はその知識を実際の診療に活用することが求められます。
また、患者にも情報管理の重要性を伝えることで、安全なオンライン診療環境を構築できます。

 

参考ページ:厚生労働省ホームページ「オンライン診療の適切な実施に関する指針」

https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001233212.pdf

 

オンライン診療研修の受講方法

オンライン診療研修

オンライン診療研修を受講するには、厚生労働省への申し込みが必要です。

申し込んだあとは、厚生労働省の「医師等資格確認検索システム」に登録されているのかを確認します。

確認が取れた後、対象となる先生に対して受講を許可し、はじめて研修を受けることが出来ます。なお、医師法の規定による、2年に1度の届け出を行っていない先生方は、研修を受けることができません。

研修については、1科目あたり15分から40分程度の講習を全5科目オンライン上で受講することになります。

研修を修了すると、サイト上でオンライン診療研修修了証を発行できます。

修了証を受け取ることで、医療機関はオンライン診療を実施出来るようになります。

また、任意で以下のプログラムを追加で選択が可能です。

  • 緊急避妊薬研修プログラム
  • へき地における患者が看護師等といる場合のオンライン診療に関する研修プログラム

これらは必須ではなく、診療科目や医療機関の立地によって受講の必要性が異なります。

受講するプログラム

オンライン診療研修で受講するプログラムは、以下です。

オンライン診療を行う先生向けの研修

  • オンライン診療の基本的理解とオンライン診療に関する諸制度
  • オンライン診療の提供にあたって遵守すべき事項
  • オンライン診療の提供体制
  • オンライン診療とセキュリティ
  • 実臨床におけるオンライン診療の事例

緊急避妊薬の処方に関する研修

  • 経口避妊薬(OC)について理解すべき事項-各種避妊法とOC全般
  • 緊急避妊(Emergency Contraception:EC)

へき地における患者が看護師等といる場合のオンライン診療に関する研修

  • へき地における患者が看護師といる場合のオンライン診療

 

研修プログラムおよび申し込みから取得までの流れ

オンライン診療研修

オンライン診療研修の申し込みから修了証の取得までの流れは、次のステップで進行します。

  1. 申し込み:こちらの申し込みフォームからオンライン診療研修の受講申し込みを行う
  2. 研修受講:eラーニング形式のオンライン診療研修を受講
  3. 修了証の取得:研修を修了すると、サイト上でオンライン診療研修修了証が発行される
  4. オンライン診療料の届け出:オンライン診療料は、各都道府県に設置されている厚生局に届け出を行い、受理された翌月から算定が可能
  5. 医療情報ネットへの登録:医療情報ネット(医療機能情報提供制度)に登録し、患者が医療機関情報を検索できるようにする
  6. 診療計画書の作成:オンライン診療の実施に関する診療計画書を作成し、患者に診療計画を提示して同意を得る

オンライン診療料は各都道府県に設置されている厚生局に提出し、受理された翌月から算定できます。

医療情報ネット(医療機能情報提供制度)とは、各都道府県が提供している情報であり、患者の検索も出来るようになります。

上記の計画書とは診療計画書を指すものであり、こちらは診療計画を患者に提示して合意をもらうために作成します。

 

おわりに

本記事では、オンライン診療の研修修了証について解説しました。オンライン診療研修は、クリニック経営者などオンライン診療の責任者に対して義務付けている研修です。

セキュリティ対策や適切な診療の進め方は必須ですが、「緊急避妊薬の処方」や「へき地における患者が看護師等といる場合のオンライン診療」に関する研修などを選べます。

オンライン診療研修を受講するには、厚生労働省への申し込みが必要です。その後、修了証を取得してオンライン診療料の届け出や医療情報ネットへの登録し、診療計画書を作成します。これらのプロセスを経ることで、オンライン診療を実施できます。

来院できない患者を診療するための手段として、オンライン診療を視野に入れてみてはいかがでしょうか。

 

 

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タグ : 電子カルテ オンライン診療
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