2023年4月から電子カルテを含むオンライン資格確認が義務化
初診の際、患者さんは健康状態や保険証番号の記載を面倒に感じるものです。
また、診療所に勤務するスタッフもデータ入力や入力ミスの確認に時間がかかってしまう方もいらっしゃることでしょう。
現在の日本では、医療の質を向上させるために「オンライン資格確認」を推進しています。
本記事では、2023年4月から始まるオンライン資格確認が義務化されることについて解説します。
オンライン資格確認について
オンライン資格確認は、患者さんが所有するマイナンバーカードに搭載されているICチップや、健康保険証の記号番号などで患者さんの情報を認証することを指します。
診療所などの医療機関においてオンライン資格確認を導入することで、データ入力効率の改善が期待できます。
通常、診療を受ける際、患者さんは保険証を提出し、診療所スタッフはその保険証が使えるのかを確認します。
また、診察後は診療報酬を計算するためにレセコンに情報を入力するため、患者さん一人に対する業務量は少なくありません。
オンライン資格確認を導入することでこれらの作業を簡素化できるだけではなく、入力ミスなどを防ぐことができるため、患者さんに提供するサービスの質を向上させることが期待できます。
このように、さまざまなメリットがあることから、厚生労働省では2023年4月にオンライン資格確認を義務化するように政策を進めています。
オンライン資格確認の普及状況
オンライン資格認確認自体は、2021年10月から本格的に稼働していますが、2023年2月現在では導入率は37.7%と、決して高いとは言えない状況です。
普及が進んでいない背景として、「マイナンバーカードの普及率」と「初期費用」が挙げられます。
2023年2月におけるマイナンバーカードの申請状況は、全国で69.8%と、改善の余地がある普及率です。
これはマイナンバーカードを持つメリットを感じない、個人情報漏えいのリスクがある、手続きが面倒といった理由が要因です。
政府は国民に対して何度もメリットを伝えていますが、それでも申請しない人が多数いるのが現状です。
また、医療機関がオンライン資格確認システムを導入する際、30万円以上の初期費用が必要になります。
こちらについては補助金制度などを利用すればハードルを下げられますが、なかには認知していない方もいらっしゃる可能性があります。
上記の要因から、オンライン資格確認の普及状況は低い状況です。
オンライン資格確認を導入することによる変化
先述の通り、医療機関では診療に関するさまざまな情報を入力します。
それらを間違えると患者さんの健康や医療機関の経営に関わるため、入力ミスが無いかを何度も確認する必要があることから、手間がかかる作業です。
オンライン資格確認システムを導入することで、医療機関では入力の手間が減る、入力ミスによるレセプトを返される回数が減るといったメリットが得られるでしょう。
また、オンライン資格認証はマイナンバーカードを使用した本人から同意を得たうえで使用します。
患者さんのメリットとしては、診療情報や処方箋に関する情報を医療機関や薬局で確認できるようになるため、自分の状態を客観的に見ることができます。
このように、オンライン資格確認が導入されることにより、患者さんと医療機関それぞれにさまざまなメリットがあると言えるでしょう。
おわりに
本記事では、オンライン資格確認の義務化についてご説明しました。
2021年10月に本格稼働したオンライン資格認証の導入率は2023年2月現在では導入率は37.7%と、決して高いとは言えない状況です。
患者さんがメリットを感じなかったり、医療機関が初期費用を捻出できなかったりとさまざまな要因が含まれますが、導入することで質が高い医療サービスを受けられるようになります。
まだオンライン資格確認システムを導入していない医療機関は、補助金を利用して導入を進めてはいかがでしょうか。

株式会社ユヤマ

最新記事 by 株式会社ユヤマ (全て見る)
- 業務負担を5.6時間削減!?「今日の治療薬WEB」と連携可能な電子カルテ「BrainBox」シリーズ - 2025年5月1日
- 電子処方箋の仕組みや導入によるクリニック・薬局・患者のメリットとは? - 2025年4月25日
- 医療AIはここまで進化!最新の活用事例をチェック! - 2025年4月15日