電子カルテにおける3文書・6情報とはどのようなものなのか?
近年では、電子カルテを自院だけではなく、地域で連携している医療機関で使おうという動きが活発になっています。
利用データを共有することによって医療の発展やスムーズな引き継ぎが行えることから、業務改善が期待できます。
詳しく患者さんの状態を知るためには、診療情報や傷病名などを記載した情報が必要です。
本記事では、電子カルテにおける3文書・6情報とはどのようなものなのかについて解説します。
電子カルテの3文書
電子カルテの3文書とは、下記のように「診療情報提供書」「退院時サマリー」「健診結果報告書」の3種類があります。
診療情報提供書
診療情報提供書とは、特定の医療機関における診療内容を記載した資料です。
治療が困難だったり、引っ越したりといった理由で医療機関が変わる際に、これまで診療をしていた医療機関が発行します。
診療情報提供書を閲覧することで、診療を引き継いだ医師は患者さんの状態や治療内容をすぐに把握できるようになります。
退院時サマリー
退院時サマリーとは、患者さんの病歴や治療時の所見などをまとめた書類です。
入院時の診療内容や退院後の外来診療などを行う際に、患者さんの情報を把握することを目的として使われます。
退院サマリーを含め、電子カルテではさまざまな診療情報を保存することができます。
健診結果報告書
健診結果報告書とは、50人以上の社員が在籍している組織や団体が労働基準監督署宛に提出する書類です。
健康診断の結果を記載しているもので、労働者の体調や労働環境の調査に使われます。
そのため、一般の方が取り扱うことは少なく、医療機関や組織・団体が確認・使用する書類であると言えます。
電子カルテの6情報
こちらでは、電子カルテの6情報をご紹介します。
傷病名
患者さんがかかった病気の名前を指すもので、「脳卒中」や「糖尿病」といった情報が記載されます。
傷病名には現在抱えている病気の「現病名」と、過去に抱えていた病気の「既往歴」の2種類があります。
アレルギー
アレルギーは異物から身を守る仕組みに異常を起こし、くしゃみや発疹といった反応を指すものです。
6情報におけるアレルギーには「乳製品アレルギー」や「〇〇アレルギー度〇〇の既往」といった情報が記載されます。
感染症
ウィルスや病原体に感染した病歴が記載されます。
近年の流行病やインフルエンザといった感染症の情報は、こちらの項目に記載されます。
薬剤禁忌
患者さんによっては、副作用の影響が強く現れることから、処方・使用してはいけない薬があります。
たとえば、妊婦さんに対しては血液をサラサラにする、ワーファリンという薬の処方が禁じられていることが挙げられます。
検査(救急、生活習慣病)
患者さんの容態が悪化したり、急患となったりした際には、何をどのように検査したのかが記載された履歴が必要です。
検査項目にはコレステロール値や尿蛋白、血糖値といった情報が記載・登録されています。
処方
患者さんに処方した薬の情報が記載されている項目です。
3文書の退院時サマリーとあわせて確認することで、どの薬が有効なのかを知ることができます。
3文書6情報が定められている理由
3文書6情報が定められている理由には、厚生労働省が行っている医療現場のDXが挙げられます。
これまでは紙カルテや電子カルテといった媒体に保存したデータは、自院のみで使用していました。
しかし、自院では対処できない症状などの理由で医療機関を移ったときに、その機関が患者さんの情報を把握できないといった課題があります。
また、医療データを共有する際、統一したフォーマットが無ければ視認性が下がるため、理解までに多くの時間を要します。
3文書6情報を使用することで、医療機関ごとによる情報格差を無くし、患者さんの診断がしやすくなります。
おわりに
本記事では、電子カルテにおける3文書・6情報とはどのようなものなのかについて解説しました。
3文書6情報は、患者さんの診療前後に関するさまざまな情報が記載されている文書で、医療機関の間で共有する際に使われます。
厚生労働省が主体となっているDX推進が、早期実現を願いたいものです。

株式会社ユヤマ

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