2024.07.16クリニック開業 , 電子カルテ

オンライン診療の現状|導入率と今後の課題について解説

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これからクリニックの開業を検討している医師の皆様のなかには、オンライン診療にご関心を持たれている方がいらっしゃると思います。

オンライン診療では患者さんはスマートフォンやタブレット、パソコンを使って医師の診察を受けることができます。

感染症対策や通院が困難な患者さんでも診療を受けられることから、活用の可能性に注目する方は多くいらっしゃいます。

本記事では、オンライン診療の現状について、導入率や今後の課題とあわせて解説します。

 

オンライン診療の現状

総務省が発表している「令和4年情報通信白書」によると、オンライン診療の導入率は全体の15%程度と言われています。

厚生労働省の調査によると、オンライン診療は2018年頃から普及するようになりました。

診療科目や対象傷病は高血圧症やアレルギー性鼻炎、睡眠時無呼吸症候群など多岐にわたっており、クリニックでの採用率が高い傾向にあります。

オンライン診療を導入したクリニックの効率性については、「大きな変化がなかった」と「効率が向上した」の合計で過半数となります。

患者さんの満足度については上昇傾向にあり、導入前と比べると利便性が高くなったことが要因であると推測されます。

オンライン診療による患者さんのメリットは、通院が困難でも受診ができる、自宅でリラックスして受診ができる点が挙げられます。

医師側のメリットとしては、患者さんの日常が分かる、ご家族とのコミュニケーションが取れる点です。

なお、医療業界においてオンラインの活用は、薬剤師の服薬指導などへも展開しています。

 

参考ページ:厚生労働省ホームページ「オンライン診療に関するアンケート集計結果」

https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/000504416.pdf

 

参考ページ:総務省ホームページ「情報通信白書刊行から50年~ICTとデジタル経済の変遷~」

https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r04/pdf/01honpen.pdf

 

オンライン診療の課題

オンライン診療の普及率が15%程度にとどまっている理由は、機器の導入や患者さんへの導入支援にまつわる諸課題が挙げられます。

スムーズにオンライン診療を行う際には、クリニックと患者さんの両方に良好な通信環境が求められます。

導入の際には、インターネットなどの通信環境やテレビ電話が可能なデバイスが必要です。

もちろん、通信を使用することから、堅牢なセキュリティ体制も求められます。

診療中にクラッキングや情報漏洩などが発生し、患者さんの個人情報が漏洩してしまうなどという事態は絶対にあってはなりません。

以上より、オンライン診療の普及の支障となる要因としては、クリニックと患者さん双方の機器導入やセキュリティ対策の負担ということになります。

 

オンライン診療を導入した事例

こちらでは、オンライン診療を導入したクリニックの事例をご紹介します。

 

脳神経外科の場合

オンライン診療の導入に至った背景は、頭痛持ちの患者さんの多くが、なかなか時間を空けられない就労層であることです。

また、遠方から来院する患者が多く、患者さんの金銭的、体力的な負担を減らすために導入を決定しました。

導入前には展示会などで製品情報を収集し、ベンダーと情報交換しながらシステム選定を行いました。

オンライン診療は予約→診療→支払い→処方箋の受け渡しといった流れで進行します。

初期は患者側での通信トラブルが発生していましたが、通信環境の良い所へ移動してもらったり、音声の不調時は並行して電話通話するなどの対応を行いました。

オンライン診療を導入したことによって、当初の目的であった患者さんの通院負担の軽減に成功しています。

 

婦人科の場合

開業当初からオンライン診療を実施しています。患者さんの通院負担軽減とスタッフが働きやすい環境を整備することが目的です。

数多くのオンライン診療システムの比較検討をすることによって最適なものを選定しました。

対象となる患者さんの症状は生理痛やPMS、避妊をはじめとして、更年期障害の患者さんも対応しています。

導入の結果、オンライン診療があるから継続して受診ができている、オンライン診療があるから当院を選んだという患者さんもおられます。

また、新型コロナウィルス感染症の不安が高まっていた状況でも、オンライン診療により安心して受診ができ、中断なく服薬ができた事例もありました。

 

精神科、心療内科の場合

オンライン診療の導入は通院患者さんの転居が契機で検討を始めましたが、それ以外にも患者さんだけではなく患者さんのご家族や施設職員さんの通院付き添い負担軽減にも寄与できることに着目しました。

オンライン診療指針に規定されている、汎用サービスを用いる場合の留意事項に則って、汎用的なWeb会議システムを活用しています。

対象となる症状はうつ病、統合失調症、不安神経症、パニック障害といった、精神科疾患全般です。

オンライン診療を実施したことによって通院負担軽減が実現できただけではなく、新型コロナウィルス感染症流行下に、地域の精神科医療機関を受診することができなかった患者へも対応することができました。

将来的にはオンライン上の画像の表情や口調から不安・抑うつ等の病状評価を行うシステムが実用化されていくことを期待しています。

 

おわりに

本記事では、オンライン診療の現状について、導入率と今後の課題、導入した施設の事例について紹介しました。

オンライン診療の導入率は全体の15%程度であり、医師側と患者さん側には下記のようなメリットがあります

  • 患者さんのメリット :通院が困難でも受診ができる、自宅でリラックスして受診ができる点
  • 医師のメリット :患者さんの日常が分かる、ご家族とのコミュニケーションが取れる点

 

実際の導入事例においては、このような通り一遍のメリットだけではなく、各科目の特性や自院の特徴に沿った様々な工夫の賜物として数多くの成果を享受している医療機関が多くあります。

開業当初から手掛けるにせよ、経営・運営を軌道に乗せながら段階的に実施していくにせよ、オンライン診療がご自身の目指す地域医療の新たな選択肢たり得るのかについてご検討されてはいかがでしょうか。

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タグ : オンライン診療 導入率 課題 クリニック開業
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