医療現場のDX 電子カルテ導入による推進
最近、テレビやインターネット、新聞などで「DX」という言葉を目にされる方も多いかと思います。
DXといえば、何となくITで便利になるもの、といったイメージを持たれる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
医療現場でも患者や医師がより便利に、より快適に各機器やサービスを利用するため、DXを目指す議論がなされています。
本記事ではDXとは何か、医療現場のDXの展望などについてご紹介します。
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?
DXとはIT技術を用いて人々の生活をより良いものへと変える考えのことを指します。
各データが充実することで、データの使用者がより便利に感じるため、更にデータやサービスを活用する、という循環が生まれるのもその一例です。
例えば金融業界では、お客様から寄せられた音声データや意見・要望をまとめ、高精度に要約・分析するシステムを作成・活用しました。
その結果、意見などを確認する時間の大幅削減だけでなく、お客様への対応速度も大幅に上げることができています。
また通販業界では、お客様からカスタマーレビューやコメント機能を充実させることでお客様の使い勝手がよくなったため販売数が増加した、という事例もあります。
このように、IT技術を用いて人々の生活をより良くするために業界や事業者を問わずDXは推進されています。
「デジタル」の3ステップ
電子カルテを導入することがイコール「DXの達成」ではありません。しかしながら、
電子カルテは医療現場でDXを実現させるための大切な第一歩となります。
ここでは、DXへと至る「デジタル」の3つのステップをご説明します。
①デジタイゼーション
情報をデジタル化する行為のことです。診療情報を紙カルテに手書きするのではなく、電子カルテに入力することや、患者が持参したお薬手帳をパソコン上で参照する為にスキャナで取り込むこと、外注の検査結果シートを紙カルテに糊貼りするのではなく電子データとして臨床検査会社から受け取ることなどです。
②デジタライゼーション
情報がデジタル化することによって、それらの取り扱い方の全般にわたって様々なメリットを引き出していくことです。電子カルテについていえば、患者の診療情報の検索性が飛躍的に向上することや、保険算定が瞬時に完了し「会計待ち」がなくなることや、周辺機器・システムとの連携により時間短縮や診療の質的向上を図ることです。
③デジタルトランスフォーメーション
電子カルテに限らず、医療の様々な現場でデジタライゼーションが進むことによって、それらを土台として新たな技術やサービスが生まれ「人々の生活をより良いものへと変える」ことです。患者のライフスタイルの多様化、医療従事者のワークスタイルの多様化はもとより、人々の暮らしに新たな選択肢をもたらし、「より便利」「より安全」「より安心」な世の中を目指すことです。
これらのステップがそれぞれ次のステップの為の前提条件となっていることがお分かりいただけると思います。故に電子カルテは医療現場のDXを実現させるための「大切な第一歩」なのです。
また、医療分野に限らず巷で「DX」と呼ばれているものの中には、「ITで便利」であるには違いないが局所的で「DX」の域に達していないものも含まれていることが分かります。
でも、それで良いのです。それらが土台となって「人々の生活をより良いものへと変える」DXが進展するのです。
医療現場のDXについて
以上を踏まえ、医療現場のDXがもたらす「人々のより良い生活」や、さらにその先にある「人々のより良い生活」を展望します。
他業界の例がそうであるように、単なる現場の情報システム化だけではなく様々な技術の進歩普及がそれらと結びつくことによってDXは実現し、さらに発展していきます。
医療の担い手である医療従事者サイドにとっての「より良い」はもとより、医療の受け手である患者(及びその家族、ひいては広く世の中)サイドにとっての「より良い」もあります。また、医療分野は公益性が高いのでそれらが同時に実現することも多いです。
なお、以下に挙げるものの中には、部分あるいはすべてがすでに実現しているものも含まれています。
〇医師が遠隔で患者の診察を実施。(患者が遠隔で医師の診察を受けています。)
〇医師による遠隔手術をの実施。
〇手術室の医師及びチームに向けて遠隔で別の医師が助言・指導・指示。
〇産休・育休中の医師が自宅から遠隔で患者の診察に従事。
医療従事者の側からは 「産休・育休中でも職業としての医師を継続」でき、世の中の側からは「医療資源としての稼働 医師数の底上げ」
がなされています。
〇医師はもとより院内全従業員の勤務シフトをAIが最適化し、管理。
〇患者が自ら所持するウェアラブル端末から地域医療情報連携ネットワークに向けて測定したバイタルサインのデータを送信。かかりつけ医は自院の端末でそれを参照し、管理を実施。
〇旅行先や出張先で体調を崩したり怪我をして駆け込んできた患者について、医師は患者が地元で受診している各医療機関のカルテ情報やお薬手帳情報を参照しながら診察を実施。自院で診察入力したカルテ情報は患者地元のかかりつけ医の側でも参照されます。
〇患者が医療機関の窓口で支払った自己負担金情報はすべてデータ化されて管理されているので、確定申告時の医療費控除手続きは瞬時に完了します。
〇電子カルテに搭載のAIが日別時間帯別の来患数を予測。また、自院の経営分析や意思決定を素早く行うことが可能。
おわりに
本記事ではDXとは何か、医療現場のDXの展望についてご紹介しました。
DXとはIT技術を用いて人びとの生活を豊かにすることを指し、業務効率の改善やサービスの品質向上に貢献します。
電子カルテは医療現場でDXを実現させるための大切な第一歩となります。関心をお持ちの方はぜひ当社にご相談ください。

株式会社ユヤマ

最新記事 by 株式会社ユヤマ (全て見る)
- 業務負担を5.6時間削減!?「今日の治療薬WEB」と連携可能な電子カルテ「BrainBox」シリーズ - 2025年5月1日
- 電子処方箋の仕組みや導入によるクリニック・薬局・患者のメリットとは? - 2025年4月25日
- 医療AIはここまで進化!最新の活用事例をチェック! - 2025年4月15日