電子カルテの歴史と今後見える未来~普及率はさらに増加する!?~
最近は紙カルテではなく電子カルテを導入している医療機関が増えてきました。
これによって管理や検索が容易になったことに加え、統計資料なども簡単に作成できるようになり業務の効率が大幅にアップしています。
この電子カルテには今後どのような未来が待っているのかを各方面から調べてみました。
電子カルテの歴史
レセプトコンピュータの導入から始まった医療分野のIT化の歴史は、電子化のガイドラインである情報の「真正性」と「保存性」「見読性」をクリアしたことから、1999年に厚生省が認可したことにより始まりました。
医療現場に求められているものはカルテとレセプトを同時並行で作成できるシステムでしたが、2005年ごろに日本医師会の標準レセプトソフト(ORCA)が誕生したことで、電子カルテのみを開発するメーカーが続々と誕生し、ORCAと連動する製品が多数開発されました。
その後2010年になり、医療分野でもクラウドコンピューティングが解禁されたものの、当時はセキュリティ面が不安視されていたため現場も積極的な導入は見合わせていました。
しかし、現在ではその問題も解消された上に初期費用も安価なことから改めて注目されています。
2020年には普及率90%になる?!
現在の電子カルテ普及率は医療機関全体で見ると40%程度で半数にも満たないのが現状です。
今現在でも小規模医療機関の電子カルテの普及率は高くはありません。
ただ、日本は世界屈指の高齢国と言われており、今後ますます加速する高齢者社会において、医療分野に求められる役割は更に増加すると予想されていることから、政府は医療機関全体での電子カルテの普及割合を90%に到達させることを目標としています。
そのためには伸びしろのある中小規模の医療機関での導入が必須となります。
IT化が進み従来よりも大幅に費用は下がっているものの、電子カルテは中小規模には決して安い金額ではありません。
更なる技術革新によるイニシャルコストの低下、もしくは国による費用援助などが2020年の普及率90%達成に欠かせないポイントとなっています。
個人開業の医院の電子カルテのさらなる普及に向けた国の施策や各メーカーのイニシャルコストを抑えたり、個人経営の医院に特化したりなど、個人開業の医院が電子カルテをより導入しやすくなるような展開が必要であり、実際メーカーの動きは始まっています。
ベンチャー企業が電子カルテへ参入?!
電子カルテが普及しにくい理由のひとつに、大手メーカーが作る製品は大型病院をメインターゲットにした開発となっていることがあります。
これらの仕様や機能は中小規模の医療機関には必要無く、逆に必要な機能がオプションとなっており、機能を搭載するには別途費用が必要なため普及のネックとなっているのが現状です。
大手メーカーでは開発費や人件費などコストをかけているため、中小向けに特化した製品開発にはあまり積極的ではないことが理由ですが、ここにスポットを当てて中小医療機関向けに商品開発を始めているベンチャー企業が続々と誕生しています。
そのどれもがクリニック規模の医療機関をターゲットとしたもので、中小に使いやすい機能を搭載している上に、ますます注目のあつまる遠隔診療に対応したものなど、未来のあるべき医療に対応した製品の開発で中小医療機関から期待が寄せられています。
電子カルテを導入するメリット
電子カルテを導入することにより得られるメリットは数多くありますが、まず挙げられることはカルテの物理的な保管スペースが不要になることです。
更に、検索機能を使うことによって特定の患者のカルテが一瞬で取り出せることに加え、診察現場はもちろんのこと薬の処方や会計、受付など院内の各部門とのデータ連携ができます。
また、従来の医師の手書きによる紙カルテと比べて文字が読みやすいため、読み間違いや記載ミスなどから発生する医療事故の防止にも繋がることや、CTやレントゲンなどの画像の取り込みもできるため、より詳細な記録を共有することができるようになります。
おわりに
業務の効率化という医療機関と患者双方にメリットをもたらす電子カルテは、まだまだ普及半ばではありますが未来の医療分野において必要不可欠な存在になることは間違いありません。
普及率アップのために、更なるIT技術の革新が期待されています。
株式会社ユヤマ
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