【2025年最新】クリニック開業に必要な申請・届出完全ガイド|スケジュールと医療DX対応まで網羅

クリニックを開業するためには、さまざまな「申請」や「届出」などの行政手続きが必要です。その種類は多く、提出先も保健所、地方厚生(支)局、税務署など多岐にわたります。また、昨今は医療DXの推進に伴い、オンライン資格確認の導入が原則義務化されるなど、求められる手続きも年々変化しています。これらの手続きが完了していないと、予定していた日に保険診療を開始できなくなってしまうため、スケジュール管理をして早めに取り組むことが大切です。
本記事では、クリニック開業に必要な手続きについて、2025年(令和7年)時点の法改正に基づく留意点や開業手続き関連の大まかなスケジュール、申請・届出の提出先や提出期限などを解説します。
クリニックの新規開業および閉院の動向
厚生労働省が毎年公開している医療施設動態調査によると、2023年(令和5年)10月~2024年(令和6年)9月に新規開設された一般診療所は7,035施設、同期間に廃止(閉院)された診療所は6,501施設と報告されています。※1

引用元:厚生労働省. 令和6(2024)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況 ※1
直近5年間の医療施設動態調査の概況をもとに、一般診療所の新規開業と閉院の傾向を見てみましょう。
| 年度 | 一般診療所の 施設数 |
開設数 | 廃止数 | その年の増減 (開設数-廃止数) |
|---|---|---|---|---|
| 2020年(令和2年) | 102,612 | 8,302 | 7,770 | +532 |
| 2021年(令和3年) | 104,292 | 9,546 | 7,612 | +1,934 |
| 2022年(令和4年) | 105,182 | 7,847 | 6,697 | +1,150 |
| 2023年(令和5年) | 104,894 | 5,437 | 5,047 | +390 |
| 2024年(令和6年) | 105,207 | 7,035 | 6,501 | +534 |
厚生労働省.医療施設(静態・動態)調査・病院報告 令和2~6年をもとに作成 ※1、2、3、4、5
開設数(新規開業件数)および廃止数(閉院件数)は、直近5年でいずれも減少傾向にあります。その一方で、再開や休止、種類の変更を加味せず、開設数から廃止数を差し引いた件数を見ると、直近5年間ではいずれも純増していることがわかります。また、一般診療所の施設数全体では増減を繰り返しつつ、やや増加傾向にあります。※1、2、3、4、5
なお、2024年の統計からもわかるように、新規開業する診療所(7,035施設)のうち無床診療所は6,988施設と、実に9割以上を占めています。※1
地域の在宅医療・外来医療ニーズに応える形で、近年の開業市場においては無床のクリニックが主流となっていることがうかがえます。
関連記事:有床のクリニックと無床のクリニックの違いとは? 開業医が知っておきたい設備・人員基準と最新動向について解説
関連記事:【2025年最新】クリニックの数と今後の推移|開業医の経営課題は医療DX対応が鍵
直近の医療法改正によるクリニック開業への影響

2025年12月に医療法等の一部を改正する法律(改正医療法)が成立し、2026年以降順次施行される予定です。今回の改正では、「地域医療構想の見直し」「医師の地域偏在の是正」「医療DXの推進」が柱として掲げられています。※6
クリニックの新規開業に関連する改正ポイントを4点解説します。
外来医師過多区域での開業ルール
医師が過剰に集中するエリアは、今後「外来医師過多区域」として指定されます。2026年4月1日以降、この区域内で無床のクリニックを新規開設する場合は、6か月前までに事前届出が必要になります。届出時には提供予定の医療機能を記載する必要があり、自治体は地域で不足する医療(例:夜間・休日の初期救急、在宅医療、学校医・予防接種への協力など)を新規開業するクリニックに要請できる仕組みです。※6、7
要請に従わない場合は、開業後に自治体との協議の場で説明を求められます。正当な理由なく地域ニーズを無視し続けると、都道府県知事から勧告・公表等が行われ、そのクリニックの保険医療機関指定期間が3年に短縮されます。通常は期間の定めがないことから、実質的なペナルティが課されるといえます。※6、7
もちろん、改正後も基本的に開業自体は届出によって自由に行えることから、医師の自由開業制がただちに規制されるわけではありません。地域医療に貢献する機能を担うクリニックは従来通り歓迎される一方で、地域の実情と調和しない開業に一定の制限を課すことで、地域の医療ニーズに合わせて医師の偏在を調整する仕組みです。
保険医療機関の管理者要件
改正医療法により、保険医療機関の管理者(院長)は「保険医」として3年以上の診療経験を有することが新たな要件として定められました。※6
これにより、今後、保険診療を行うクリニックを開業する医師は、原則として少なくとも3年間の臨床研修・勤務医経験が求められることになります。
一定の臨床経験を積んだ医師による運営を担保する狙いがあり、医師免許を取得して2年間の初期臨床研修を終えた後、すぐに保険外診療のみを行うクリニック(特に、美容皮膚科や美容外科などの美容医療)の開業へ流れるケースの抑制にもつながります。
オンライン診療・美容医療に関する新制度
改正医療法では、オンライン診療(遠隔診療)が明確に定義され、その実施に関する手続きが整備されます。患者がオンライン診療を受ける専用の施設として、薬局や公民館、駅ナカのブース、介護事業所等に設置される「オンライン診療受診施設」についての規定も新設されました。これにより、遠隔診療の質と安全を確保する基盤が法令上整えられた形です。※6、7
また、自由診療である美容医療を主とするクリニックに対しては、定期的な実績報告の義務が新たに課せられ、無届・無報告でリスクの高い美容医療が行われることを防ぐ措置が講じられます。※6
医療DXの推進(電子カルテの普及等)
政府は、2030年(令和12年)12月31日までに電子カルテの普及率約100%の達成を目標に掲げています。その実現に向けて、改正医療法では、医療機関間で必要な電子カルテ情報の共有を進め、感染症の発生届も電子カルテを通じたオンライン提出が可能となるよう制度整備を行うとしています。さらに、厚生労働大臣が保有する医療・介護データベースの仮名化情報(匿名化した医療データ)の二次利用を促進することや、社会保険診療報酬支払基金を医療DX推進の中核的な運営主体と位置づけ、その名称や目的・組織体制を見直すことも盛り込まれました。※6
これらの施策により、今後クリニックを開業するにあたっては、電子カルテを導入して他の医療機関との情報共有や連携を進めたり、データ活用に積極的に対応したりすることがますます重要になると考えられます。
開業スケジュールの全体像と「空白期間」のリスク
開業手続きを進める際は、徹底したスケジュール管理が欠かせません。開業に必要な申請書類は単に作成して提出すればよいものではなく、それぞれの受理・許可のタイミングが連動しているためです。
特に、保健所へ提出する「診療所開設届」と、地方厚生(支)局へ提出する「保険医療機関指定申請書」の順序に注意しましょう。保険診療を行うためには厚生局の指定が必要ですが、その申請には保健所の開設届の控え(副本)が必要となるケースが一般的です。
開業までの大まかな流れ
一般的なテナント開業の場合、内装工事の完了から開業日までの約1~2か月間が手続きのピークとなります。医師個人が無床のクリニックをテナント開業する際の大まかな流れは以下の通りです。
- 事前相談(保健所)
……構造設備等の要件があるため、内装工事に着工する前に、図面の段階で一度保健所へ相談するのが望ましいです。※8 - 内装工事完了・引き渡し
- 診療所開設届の提出(保健所)
……開設後、10日以内に提出します。実務上は、開設前に事前協議と検査を行うケースが大半です。※8 - 立入検査(保健所)
- 開設届の副本受領
- 保険医療機関指定申請書(厚生局)
……管轄の厚生局事務所に申込締切日を確認し、提出期日を厳守しましょう。※9 - 指定決定通知書の受領
……保険医療機関の指定は、原則として毎月1日付けで行われます(申請者の希望がある場合を除く)。※9 - 保険診療開始
……開業日には確実に保険診療を開始できるよう、各種届出や申請を進めましょう。
保険診療やオンライン資格確認ができない「空白期間」を防ぐために
厚生局への「保険医療機関指定申請」には厳格な締切日があります。毎月の申込締切日は、取り扱う指定申請件数が異なることから、厚生局事務所ごとに定められています。管轄の厚生局事務所のホームページ上に各種申請・届出等の締切日が公開されているので、必ず確認して遵守しましょう。
例えば、東京事務所では開業希望月の前月10日前後の平日に設定されています。2025年の例では、10月1日から保険診療を開始するためには9月10日までに厚生局へ書類を提出するスケジュールとなっていました。※10
厚生局へ書類を提出する時点で、保健所の「開設届(副本)」が手元になければなりません。つまり、そこから逆算して内装工事を完了させ、保健所への開設届の提出と立入検査を済ませておく必要があるのです。これらのスケジュール管理を誤ると、開業しても1か月間は保険診療ができず、自由診療のみの対応となってしまう可能性があります。
また、オンライン資格確認システムに関する手続きにも注意が必要です。開業日からマイナンバーカード保険証(マイナ保険証)による資格確認ができる体制を整えるためには、あらかじめ「仮コード」を発行して手続きを事前に進めておく必要があります。詳しくは、「【2025年最新】医療DX時代の必須手続き」で後述します。
保健所への「診療所開設届」
ここからは、クリニックを開業する際に必要な届出の概要を解説します。
テナントの内装工事等が完了した後、最初に提出するのが医療法に基づく「開設届」です。 法律上、開設届の提出期限は「開設後10日以内」の提出とされていますが、実際には構造設備等の要件を満たしているかを確認するためにも、保健所に事前相談をするケースが一般的です。万が一、完成後に「待合室の廊下幅が足りない」「レントゲン室の遮蔽が不十分」といった不備が判明した場合、大規模な改修工事が必要となり、開業が大幅に遅れる可能性があるためです。設計図面ができた段階で管轄の保健所へ相談に行き、施設基準を満たしているか確認を受けるとよいでしょう。
主な提出書類(個人開設の場合)
地域によって求められる書類は異なる場合があるので、管轄の保健所に確認しながら手続きを進めることが大切です。以下は、東京都南多摩保健所の管轄地域において無床のクリニックをテナント開業する際の提出書類の例です。※8
| 書類名 | 概要・備考 |
|---|---|
| 診療所開設届 | 開設者の住所・氏名、診療科目、従業員数などを記載します。 |
| 管理者の医師免許証の写し | 照合のため、本証も持参します。 |
| 履歴書 | 管理者(院長)の職歴・学歴がわかる履歴書で、写真貼付が必要です。 |
| 診療に従事する医師の臨床研修修了登録証の写し | 平成16年4月以降に医籍登録された医師の場合に必要です。照合のため、本証も持参します。 |
| 敷地の平面図 | 縮尺1/100程度。各室の用途や面積を明示したものを用意します。 |
| 敷地周辺の見取り図 | 最寄駅からの経路や周辺地図です。 |
| 建物の平面図 | ビル内の診療所の場合は、利用する階全体の平面図が必要です。 |
| 賃貸借契約書の写し | テナント開業の場合に必要です。原本も持参します。なお、テナントではなく土地と建物を所有している場合は、登記事項証明書(発行後6か月以内のもの、原本1部と写し1部)が必要です。 |
なお、X線装置を設置する場合は、設置後10日以内に「診療用X線装置備付届」も提出する必要があります。詳しくは後述します。
実地検査(立入検査)
診療所開設届の提出後、保健所の担当者がクリニックを訪問し、構造設備が申請通りか、医療法の基準を満たしているかの検査が行われます。東京都南多摩保健所の管轄地域における構造設備のチェック項目の一例をご紹介します。※8
- 院内掲示義務
……管理者氏名、診療に従事する医師の氏名、診療日および診療時間について、院内にわかりやすく掲示されているか - 清潔保持義務
……清潔を保持するための構造設備が、衛生上、防火上および保安上安全と認められるかどうか - 消防設備等
……消火用の機械または器具が備えられているか - 建物の構造概要および平面図
……他の施設と機能的かつ物理的に明確に区画されているか(居宅と明確に区画されているか、雑居ビルの場合は階段や廊下等が明確に区画されているか) など - 診察室
……待合室と明確に区画されているか、診療科ごとに診察室を分けているか、医師1人につき一室が望ましい、面積の基準を満たしているか など
立入検査でこれらの項目がチェックされ、問題がなければ開設届の副本が交付されます。
厚生局への「保険医療機関指定申請書」
保険診療を行うためには、地方厚生(支)局から保険医療機関の指定を受ける必要があります。前述の通り、指定を受けたい月(開業月)の前月上旬(多くの地域で10日前後)までに申請します。指定日は、原則として毎月1日付となります。以下は、関東信越厚生局の管轄地域で開業する場合の主な提出書類です。※9
主な提出書類
| 書類名 | 概要 |
|---|---|
| 保険医療機関指定申請書 | 保険診療を行う機関としての指定を申請します。各地方厚生(支)局のホームページにある様式に沿って記入します。 |
| 開設届(使用許可証、許可書、届書)の写し(副本) | 保健所で受理印が押されたものです。保険医療機関指定の申請に副本が間に合うよう、保健所への開設届の提出および立入検査を遅滞なく進めることが大切です。 |
| 保険医の登録に関する書類 | 医師個人が保険診療を行うための登録(未登録の場合)です。氏名、登録の記号・番号、担当診療科名を記載します。 |
施設基準の届出
上記の基本的な指定申請に加え、各種加算を算定するための「施設基準」の届出も同時に行うのが一般的です。
- 情報通信機器を用いた診療(オンライン診療を行う場合)
- 時間外対応加算
- 明細書発行体制等加算
- 医療DX推進体制整備加算(後述)
これらの施設基準は、要件を満たした上で届け出なければ算定できません。特に、令和6年度診療報酬改定で新設・変更された医療DXに関連する加算は、初期設備投資やシステム連携と密接に関わるため、事前の準備が不可欠です。
設備や提供する医療の内容に応じた届出
クリニックにX線装置を設置したり、業務上麻薬を施用・交付したりする場合は、以下の届出も必要となります。自院の設備や提供する医療の内容に応じて、管轄の保健所に滞りなく届出・申請を行いましょう。
診療用X線装置備付届
レントゲンなどX線を放出する装置を設置する際に、管轄の保健所に届ける必要がある書類です。一例として、東京都南多摩保健所の管轄地域において診療用X線装置備付届を提出する際に必要な書類を挙げます。※8
- 施設の詳細図
- 線量測定結果
- 遮蔽計算書
麻薬管理者・施設者免許申請書
麻薬管理者とは、合法の麻薬を治療で使ったり処方箋として調剤したりすることを許可された人を指します。そのため、麻薬管理者は医師だけではなく薬剤師や獣医なども取得することができます。また、施設者免許申請は麻薬管理者となる人が運営する施設で使用を許可してもらうための申請書です。
一例として、東京都南多摩保健所の管轄地域において麻薬管理者免許申請書を提出する際に必要な書類を挙げます。※11
- 申請書
- 診断書(申請書2ページ目)
- 医師免許の写し
- 開設届の表紙の写し(新規申請の場合)
- 手数料
その他の届出
保健所と厚生局以外にも、関係各署への手続きが必要です。
税務署
個人事業主として開業する場合は、税務上の手続きも並行して進める必要があります。以下は、一般的なクリニック開業において必要な手続きの一例です。※12
- 個人事業の開業・廃業等届出書
……開業の日(診療を開始した日)から1か月以内に提出が必要です。 - 所得税の青色申告承認申請書
……開業から2か月以内に提出が必要です(開業日が1月1日から1月15日までの場合は3月15日まで)。青色申告特別控除の適用を受けるために推奨されます。 - 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
……従業員を雇用して給与を支払う場合、開業または雇用を開始した日から1か月以内に提出が必要です。 - 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
……従業員が常時10名未満の場合は、源泉徴収税の納付を年2回にまとめられます。提出期限はなく、随時受付しています。
都道府県税事務所
- 事業開始(廃止)等申告書
……個人事業主として事業を開始した際に、各都道府県の税事務所へ報告するために提出する書類です。開業届は所得税や住民税、消費税に関するもの、個人事業開始申告書は地方税である個人事業税に関するものであり、取り扱う税金の種類が異なるためそれぞれに手続きをする必要があります。提出期限は都道府県によって異なるため、管轄の都道府県税事務所に確認しましょう。※13
労働基準監督署・ハローワーク・年金事務所
従業員として医師や看護師、事務スタッフなどを雇用する場合、労務・社会保険の手続きが発生します。
- 労働基準監督署および公共職業安定所(ハローワーク)への手続き
……労災保険と雇用保険の保険料の申告・納付等を一元的に行う一元適用事業として、保険関係成立届や雇用保険適用事業所設置届などを提出します。スタッフを1名以上雇う場合に必須の手続きです。※14 - 年金事務所
……従業員が常時5人以上の個人事業所は、社会保険(健康保険・厚生年金)への加入が義務付けられています。従業員5人未満の個人事業所は任意適用ですが、医師国保や協会けんぽなどの兼ね合いも含め、社会保険労務士などの専門家と相談することをおすすめします。※15、16
労働基準監督署・ハローワーク・年金事務所
従業員として医師や看護師、事務スタッフなどを雇用する場合、労務・社会保険の手続きが発生します。
- 労働基準監督署および公共職業安定所(ハローワーク)への手続き
……労災保険と雇用保険の保険料の申告・納付等を一元的に行う一元適用事業として、保険関係成立届や雇用保険適用事業所設置届などを提出します。スタッフを1名以上雇う場合に必須の手続きです。※14 - 年金事務所
……従業員が常時5人以上の個人事業所は、社会保険(健康保険・厚生年金)への加入が義務付けられています。従業員5人未満の個人事業所は任意適用ですが、医師国保や協会けんぽなどの兼ね合いも含め、社会保険労務士などの専門家と相談することをおすすめします。※15、16
地区医師会への入会届
地区医師会は、その地区に属する医師による団体で、地域の医療・保健・福祉に貢献することを目的としています。入会申込書を指定の会に提出することで入会することができます。
地区医師会への入会は必須ではなくあくまで任意ですが、加入することで、予防接種や各種検診・健診の受託が可能になる、自院の宣伝ができる、医療に関する情報を入手しやすくなるといったメリットがあります。
【2025年最新】医療DX時代の必須手続き

近年の開業実務において注目が集まっているのが、「医療DX」に関連する対応です。国が医療DXを強力に推進する今、関連するシステムの導入はもはや経営上不可欠なものとなっています。ここでは、すでに原則義務化された「オンライン資格確認」の導入のポイントと、クリニックの収益にも関わる「医療DX推進体制整備加算」への対応、そしてサイバーセキュリティ対策について解説します。
オンライン資格確認の導入
2023年4月より、オンライン資格確認システムの導入が原則義務化されました。※17
そのため、新規開業のクリニックにおいては、開業日からマイナンバーカード保険証(マイナ保険証)による資格確認ができる体制を整えておく必要があります。オンライン資格確認の導入には、顔認証付きカードリーダーの申し込みや回線工事が必要ですが、それらの申請には通常「医療機関コード(10桁)」が必要です。※18
しかし、医療機関コードは地方厚生(支)局への保険医療機関指定申請を経て初めて発番されます。医療機関コードの発番を待ってから諸々の手続きをすると、開業日にシステム導入が間に合わないおそれがあります。
このジレンマを解消するために、新規開業時は以下の手順で手続きを進める必要があります。「仮コード」による先行準備を行わないと、開業日にマイナ保険証が使えない事態になりかねないため、早期の着手が重要です。
- 仮コード(受付番号)の発行依頼
……開業の5か月前を目安に、社会保険診療報酬支払基金へ「仮コード」の発行を依頼します。 - ポータルサイト登録
……発行された仮コードを使って、「医療機関等向け総合ポータルサイト」にアカウント登録をします。 - 機器の申し込み
……仮コードを用いて、顔認証付きカードリーダーなどの申し込みやシステムベンダーとの契約を進めます。 - 地方厚生(支)局への保険医療機関指定申請書
……保健所へ診療所開設届を提出した後、その副本を添えて保険医療機関の指定申請を行います。その際、受付番号の情報提供依頼も行います。 - オンライン資格確認利用申請・電子証明書発行申請
……提示された受付番号をもとに、医療機関等向けポータルサイトからオンライン資格確認の利用申請と電子証明書発行申請を行います。

引用元:厚生労働省保険局 医療介護連携政策課 厚生労働省保険局医療課. 事務連絡. オンライン資格確認を推進するための手続について(協力依頼) ※18
関連記事:オンライン資格確認等システムについて 電子カルテとの連携や補助について
医療DX推進体制整備加算への対応
令和6年度診療報酬改定で新設された「医療DX推進体制整備加算」は、クリニックの収益に大きく影響します。この加算を算定するためには、以下の要件を満たす必要があります。※19
- オンライン請求を行っていること
- オンライン資格確認を行う体制を有していること
- 電子資格確認をして取得した診療情報を、診察室などで閲覧・活用できる体制を有していること
- 電子処方箋を発行する体制
- 電子カルテ情報共有サービスを活用する体制(経過措置 令和8年5月31日まで)
- マイナ保険証の利用率(段階的に要件化)
これらの要件を満たすためにも、医療DX対応の中核を担う電子カルテを導入し、加算の取得に向けて院内のICT環境を整備しておく必要があります。
関連記事:令和7年10月改正!医療DX推進体制整備加算について
サイバーセキュリティ対策
2023年4月から施行された医療法施行規則の一部を改正する省令により、医療機関の管理者はサイバーセキュリティ確保のために必要な措置を講じることが義務付けられました。具体的には、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に基づき、セキュリティ対策チェックリストの確認や、バックアップ体制の構築、職員への教育などが求められます。保健所の立入検査要綱にも、サイバーセキュリティ確保のための取組状況についての項目が設けられています。※20
関連記事:電子カルテのセキュリティ対策:サイバー攻撃から患者情報を守るには
G-MIS(医療機関等情報支援システム)への登録とかかりつけ医機能報告制度への対応
2025年4月から施行された「かかりつけ医機能報告制度」では、原則として、医療機関等情報支援システム(G-MIS)から必要事項を報告する必要があります。かかりつけ医機能は、医療機能情報提供制度に基づく医療情報ネット(ナビイ)などを通じて公表されます。クリニック開業後、都道府県などから医療機能情報提供制度に関する案内を受け次第、G-MISにログインして速やかにオンライン報告する必要があります。※21、22
関連記事:2025年4月施行!「かかりつけ医機能報告制度」完全解説|クリニックに求められる役割と対応
ユヤマの電子カルテのオンラインデモ

クリニック経営の効率化や課題解決には、電子カルテをはじめとするITツールの活用が有力な手段となります。ツールの選定においては、「自院が求める機能が搭載されているか」「誰もが使える操作性か」「いざというとき頼れるサポート体制か」などを確認するため、デモンストレーションの実施をおすすめします。
当社の無床診療所様向け電子カルテシステム「BrainBox」シリーズは、開業準備や日々の診療で多忙な先生方にも気軽に体験していただけるよう、オンラインデモを随時実施しています。

時間や場所の制約なく電子カルテを体験できる
当社のオンラインデモは、先生のご都合の良い時間帯に合わせて、30分から1時間程度で効率よく実施できます。PCまたはタブレットとインターネット環境があれば、どこからでも接続可能です。体験会のようにご足労いただく必要はなく、休憩時間や診療終了後などのスキマ時間も活用いただけます。
丁寧なヒアリングと具体的な運用イメージのご提案
オンラインデモでは、製品の特徴や導入事例、実際の使い方を丁寧にご紹介します。気になることがあれば気軽にご質問ください。また、当社の営業担当者が、現在抱えている経営課題(事務負担の軽減、集患対策など)や目指しておられる診療スタイルなど、ご要望を丁寧にヒアリングします。その上で、画一的な説明ではなく、貴院に最適な「BrainBox」の活用方法と具体的な運用イメージをご提案します。
クリニック開業の手続きはスケジュール管理に注意が必要
本記事では、クリニック開業に必要な申請・届出やスケジュールの注意点について、法改正や制度の変更点など最新の情報を交えながら解説しました。
クリニックの開業手続きは非常に煩雑ですが、一つひとつ確実に進めることで、安心して診療開始日を迎えることができます。特に、保健所への診療所開設届、地方厚生(支)局への保険医療機関指定申請、そしてオンライン資格確認利用申請に必要な仮コードの申請などは、手続きの順序とスケジュールに細心の注意が必要です。これらの手続きと並行して、院内の設備や備品、電子カルテやレセコンをはじめとする院内システムの選定・準備も進めることになります。クリニック開業を支援する専門家や保健所、各システムのベンダーなどに相談しながら、余裕をもったスケジュールで取り組むことをおすすめします。
参考資料
※1 厚生労働省. 令和6(2024)年医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況.
※2 令和5(2023)年医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況.
※3 令和4(2022)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況.
※4 令和3(2021)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況.
※5 令和2(2020)年医療施設(静態・動態)調査(確定数)・病院報告の概況.
※6 厚生労働省 医政局. 医療法等の一部を改正する法律の成立について(報告).
※7 厚生労働省. 医療法等改正を踏まえた対応について. 中医協 総-27.12.14.
※8 東京都保健医療局. 診療所・歯科診療所の開設等.
※9 厚生労働省. 関東信越厚生局. 保険医療機関・保険薬局の指定申請手続きの流れ及び添付書類等.
※10 厚生労働省. 関東信越厚生局. 東京事務所. 令和7年度 各種申請・届出等の締切日について.
※11 東京都保健医療局. 麻薬管理者免許申請書.
※12 国税庁. 個人で事業を始めたとき/法人を設立したとき.
※13 東京都 主税局. 事業を始めたとき・廃止したとき.
※14 厚生労働省. 労働保険の成立手続.
※15 日本年金機構. 事業所が健康保険・厚生年金保険の適用を受けようとするとき.
※16 厚生労働省. 個人事業主の皆さま 社会保険への任意加入を考えてみませんか(ご案内).
※17 厚生労働省. オンライン資格確認について(医療機関・施術所等、システムベンダ向け).
※18 厚生労働省保険局 医療介護連携政策課 厚生労働省保険局医療課. 事務連絡. オンライン資格確認を推進するための手続について(協力依頼).
※19 厚生労働省. 医療DX推進体制整備加算の見直し(令和7年10月以降).
※20 厚生労働省. 医療機関におけるサイバーセキュリティ対策チェックリストと立入検査の実施について(報告).
※21 厚生労働省. 医療機関の皆様へ かかりつけ医機能報告制度が始まります!
※22 厚生労働省. 医療機能情報提供制度について(医療機関向けページ).
株式会社ユヤマ
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