2021.12.28電子カルテ

「SS-MIX2」とは？～医療情報の「標準化ストレージ」について～

各メーカーがそれぞれのサービスや機能を付加して展開している電子カルテは、さまざまなデータ形式でデータを作成、保存しています。

厚生労働省では、診療所や病院で収集された医療データの二次利用や医療機関間での情報交換・共有のために、「SS-MIX2」という情報の電子化や標準化に向けた啓発活動を行っています。

本記事では、医療情報の共有について「SS-MIX2」や「ID-Link」をご説明します。

 

 

地域の医療機関間でデータを連携するために必要なこと

地域の医療機関間でデータを連携することによるメリットは、紹介された患者さんの診療情報を的確に把握することができるので、より質の高い医療の提供が可能となる点です。

患者さん側のメリットは転院や在宅療養時、重複処方の回避、検査の削減による負担の軽減です。

こちらでは、地域の医療機関間でデータを連携するために必要なことを3点ご紹介します。

 

電子カルテ

診療情報などのデータを連携するためには、デジタルデータである必要があります。

そのため、患者さんの診療記録を電子データとして保存する電子カルテは必須です。

 

安全な通信経路

複数の医療機関が相互に診療情報の交換や共有を行うためには安全な通信経路が敷設されている必要があります。

 

患者さんの同意

医療情報は個人情報のひとつです。改正個人情報保護法により、その大半が「要配慮個人情報」と定義されています。

データを連携する前に、患者さんの同意を得る必要があります。

そのため、同意なくカルテデータを外部の医療機関と共有することは出来ません。

 

「SS-MIX2」と「ID-Link」～地域医療情報連携ネットワークの構築～

こちらでは「SS-MIX2」や「ID-Link」についてご紹介します。

 

「SS-MIX」から「SS-MIX2」へ

平成16年度に静岡県の事業として実施された医療機関同士での診療情報交換を可能にする取り組みの産物として「標準化ストレージ」という考え方が生まれました。

この考え方を全国の他の都道府県においても展開し医療の質の向上を目指すべく、その2年後に厚生労働省がスタートさせたのが『厚生労働省電子的診療情報交換推進事業』です。

この事業（Standardized Structured Medical record Information eXchange）の略称が「SS-MIX」です。転じてこの事業で用いられる規格の総称としても「SS-MIX」という呼称が使用され、その中核部分である「標準化ストレージ」は「SS-MIXストレージ」とも呼ばれました。

その後の情報化技術や通信インフラの急速な発展を背景に、医療現場の現状に即して更なる普及浸透を目指して課題解決を行っている取り組みが「SS-MIX2」です。

「SS-MIX2」におけるストレージは「標準化ストレージ」に加えてWordやPDFなど標準化されていない情報を格納する「拡張ストレージ」から成り、「SS-MIX2ストレージ」と呼ばれています。

 

ID-Link

SS-MIXの標準化ストレージによる情報連携に加えて、システムベンダー各社との連携をより高いセキュリティを担保しつつ実現させる情報共有の仕組みです。

 

地域医療情報連携ネットワーク

全国各地で展開されている地域医療情報連携ネットワークにおいては、それぞれ「SS-MIX」方式や「ID-Link」方式が採用されています。

 

 

おわりに

本記事では、地域医療情報連携ネットワークで採用されている「SS-MIX2」や「ID-Link」についてご説明してまいりました。

データを連携することによるメリットは、紹介された患者さんの診療情報を的確に把握することができるので、より質の高い医療の提供が可能という点です。

患者さん側のメリットとしては転院や在宅療養時、重複処方の回避、検査の削減によって負担を軽減することができる点です。

このようにデータを連携するためには、電子カルテ、安全な通信経路、患者さんの同意が必要になります。

ひとつの県で始められた診療情報交換への取り組みに端を発し、政府の事業として発展しながら全国各地の地域医療情報連携ネットワークで採用されているのが「SS-MIX2」であり「ID-Link」です。

医療データを連携し、より質の高い医療を提供するためにも、まずは電子カルテの導入を検討してはいかがでしょうか。

 

出典：厚生労働省ホームページhttps://www.mhlw.go.jp/content/12600000/000685281.pdf

 

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