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視点を持って業界を読み解く。調剤Scope

ブームは『スパイラル』に
やって来る。

再び舵を切った「省力化」への道

調剤機器と言えば、これから始まったという感が強い散薬の『分包機』。『分包機』に端を発した調剤業務の『省力化』は、その後、時代の変遷や社会の要請に伴って、『コンプライアンス』や『リスクマネジメント』へと主役を譲っていったという見方が支配的だった。
しかし、昨年あたりからは、計数調剤の本流、つまりPTPシートの自動払出しという『省力化』へと再びその舵を切ったように思われる。その背後にある普遍的なメカニズムとは何か?にフォーカスしてみたいと思う。

切り込み隊長、それは『省力化』だった。

 今では当り前のように薬局で使われている『分包機』。これだけ普及しているには訳があって、やはりそれは作業者負担が大きいことと、最も歴史がある調剤機器だからだろうと思われる。折りしも『分包機』が普及し始めた時代は高度成長期。社会全体が機械化による恩恵を隅々まで呼吸している背景があった。そんな訳でオートメーションとそれを支えるエレクトロニクス技術の進展が調剤機器にも例外なく活用され、調剤業務はとにかく『省力化』一辺倒で進んでいった事を第一次ブームと称したい。 (Photo01)

服薬コンプライアンスをどう高めるか?

 感覚的には、年号が平成に変わった時代あたりから、調剤機器に求められる主要な要求は『服薬コンプライアンス』へと遷移していった感がある。例えば、薬包紙への用法印字や薬剤情報提供シートの印字などが、それにあたる。ちょうど、医薬分業が大きく動いた時代と重なっており、薬物医療を担う薬剤師のレゾンデートル(存在意義)が、『服薬コンプライアンス』の注力へと向かわせたのだろう。今では、『薬情』も当り前のツールとなった。(Photo02・03)

『省力化』は新たな装いを身にまとう。

そのヒントはヘーゲルの弁証法に、ある

新たな敵は調剤過誤という名の魔物。

 分業が過半を超える頃から、やがて『調剤過誤』がクローズアップされるケースが増えてきた。それは、医療界という閉じた系でのトピックスではなく、時にはマスメディアも含めた社会全体におけるプレゼンスを大きく感じさせる扱いだった。逆に言うと、最早、薬剤師抜きでは薬物医療を語れなくなった時代に突入したという証左ではないだろうか。調剤機器・システムとしては、従前通りの散薬監査システムだけでは飽き足らず、PDA(携帯端末)を用いた計数調剤までチェックするシステムも顕れた。(Photo04)

『省力化』が新たな装いでやって来た。

 2010年。ついにその時代はやって来た。PTPシートの自動払出しが端緒を切った、『第二次省力化時代』の幕開けだ。例えばユヤマでは、これを『調剤ロボット化時代』と呼んでいる。これまで自動化は後回しだった計数調剤におけるロボット化。なぜ、今再び『省力化』がブームとして蘇って来たのであろうか?その答えは一義的には、計数調剤が最も比率が高いから、作業容易性が故にミスを犯し易い、等。しかしながら、根本的にブームというのは、元来、こうしたリバイバルの要素をDNAに刻んでいるものと言える。それを、ヘーゲルは弁証法の中で『止揚』と呼び、かつてのブームが戻ってくる時には新たな装いをまとっているものだと喝破したという。

『第二次省力化』ブームが身にまとった新たな装い、それは恐らく『調剤過誤の抑制』だと思われる。ただ、省力化するというだけではなく、『インシデントから抑え込んでしまう』という要素を含めた省力化。それが、2010年以降の新たな調剤機器に求められる期待なのだと考えられる。(Photo05)

(文責:2011年5月 森 和明 ㈱ユヤマ 営業企画部部長)

現在、ユヤマではPTPシート自動払出装置『ロボピック』を販売しております。