• ツイート

ピックアップニュースPickup News

2018年6月号

  • 小児のかぜも「投与せず」推奨‐抗菌薬手引き改正で素案【厚生労働省】

    ■厚生労働省は学童期までの小児を対象とした「抗微生物薬適正使用の手引き」の改正素案を、厚生科学審議会の作業部会に示した。小児の急性気道感染症は、二次性の細菌感染症により増悪する可能性が高いとしつつ、いわゆる“かぜ”には成人と同様、抗菌薬を投与しないことを推奨。抗菌薬の予防的な投与も行わないよう求めた。生後3カ月未満の新生児の気道感染症は重篤な疾患が含まれるため、手引きの対象外とした。

     

    ■手引きの素案は、主に学童期までの小児でも急性気道感染症に焦点を当て、急性気道感染症の特徴と注意点、各論で構成。その中で、小児のかぜに対して使われやすく、気をつけるべき薬剤として、ST合剤、セフトリアキソン、マクロライド系抗菌薬、テトラサイクリン系抗菌薬、オセルタミビルなどを列挙。これら多くの対症療法薬にはエビデンスが存在せず、副作用も報告されているとし、使用に当たって添付文書の記載に注意が必要と促した。

     

    ■各論では、クループ症候群や急性細気管支炎など小児に特有の急性気道感染症を盛り込み、特に診療所で多くの小児を診察する可能性が高いかぜについて、抗菌薬投与しないことを推奨した。また、抗菌薬の予防投与を行わないことも推奨している。

     

    ■具体的には、鼻汁、鼻閉、発熱、軽い咳、呼吸障害がないなどの患者には抗菌薬は必要ないとしつつ、後鼻漏に伴う湿性咳嗽が10日以上長引く場合は化膿性副鼻腔炎を考慮すべきで、その場合はアモキシシリンを処方する治療が学会指針に示されていることなどを紹介した。

     

    ■急性咽頭炎については、小児の急性咽頭炎の病原体のほとんどがウイルスで、細菌ではA群β溶血性連鎖球菌が重要であるとし、咽頭炎の原因がA群β溶血性連鎖球菌による感染症かどうかの診断が重要と指摘。急性咽頭炎の多くはウイルス性で抗菌薬の適応ではないとし、A群β溶血性連鎖球菌を除く急性咽頭炎に対しては抗菌薬を投与しないことを推奨した。 A群β溶血性連鎖球菌咽頭炎に対する第1選択抗菌薬としては、ペニシリン系抗菌薬が推奨されていることを示し、治療期間は10日間を推奨した。

     

    ■主にウイルス感染症による咽頭の狭窄に伴う吸気性喘鳴、甲高い咳などを生じるクループ症候群については、数日から1週間程度で自然治癒するとしつつ、切迫した気道閉塞を来す急性喉頭蓋炎、細菌性気管炎、喉頭異物などの除外診断が重要と指摘。その上で、クループ症候群に対してもほとんどがウイルス性感染症であるとし、抗菌薬を投与しないことを推奨した。

     

    ■急性気管支炎についても、その多くはウイルス性で自然軽快するとして、抗菌薬を投与しないことを推奨。さらに、小児に特徴的な急性細気管支炎については、2歳未満の小児で鼻汁、鼻閉などに引き続き咳、吸気性喘鳴などを呈するウイルス感染症であることを紹介。経過中に病状が進行する可能性や中耳炎、細菌性副鼻腔炎などの合併症を来す可能性から、状態の見極めが重要としながらも、抗菌薬を投与しないことを推奨した。

  • 多職種協働が「減薬」に効果‐ポリファーマシー対策を議論【日本老年薬学会学術大会】

    ■第2回日本老年薬学会学術大会が、都内で開かれ、ポリファーマシー対策について各医療現場で実践している減薬の取り組みをもとに議論を深めた。その中で、介護老人保健施設では薬剤師が回診に同行して医師と協働で処方薬剤を決めるなど、多職種によるチームワークで効果を上げている事例が報告された。

     

    ■大洗海岸病院の新井克明氏は、同病院の介護老人保健施設で行われた減薬の効果を報告した。「医師は処方に対して足し算の考え方であることから、薬剤師が処方意図を医師と話し合い、薬剤師の意見を処方作成前に伝える必要がある」との考えに基づき、回診の際に薬剤師が医師に同行し、協働で処方薬剤を決定。2013年4月からの1年間で降圧剤、消化性潰瘍治療剤など計271品目に介入した結果、平均6.2剤から5.1剤に削減した。全ての年齢層で服用薬剤数が6品目を下回り、薬剤にかかる費用も1日当たり約9700円削減することができたと成果を報告した。

     

    ■管理栄養士の立場から、国立長寿医療研究センターの木下かほり氏は、低栄養状態とポリファーマシーの関係を指摘。加齢による食生活の乱れが低栄養の原因となり、筋力低下や疲労感が現れるフレイルなどにつながり、症状を改善するために服薬数が増加して結果的に健康悪化を招いてしまうサイクルに高齢者が陥りやすい現状を指摘。その上で、状況を改善するためには「薬剤師などの多職種によるチームを組織し、在宅における食事の見直し、かかりつけ医の一元化などを行うことが望ましい」した。

     

    ■また、東京都健康長寿医療センター薬剤科の島崎良知氏は、総合内科などの医師と薬剤師が薬剤調整を検討するカンファレンスを通じた減薬の取り組みを紹介。削減する薬剤を患者と相談することや生活環境や転倒歴など患者の背景を記した服薬管理シートの活用などで降圧剤、抗不整脈剤などを減らした。その結果、昨年8月から今年3月までの期間で減薬できた患者は276人中102人(37%)に上った。島崎氏は、「ポリファーマシー対策を効果的に行うためには、お薬手帳などを活用して薬局などと一緒に経過観察できる体制を作るなど、情報を共有する方法を整備すべき」と提言した。