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2023年11月号

  • 疑義照会の割合は83%‐ヒヤリハット事例分析(日本医療機能評価機構)

    情報提供元:薬事日報社

     日本医療機能評価機構は、2022年の薬局ヒヤリ・ハット事例をまとめた集計結果を公表した。報告件数12万0247件のうち、医療機関で発生した処方の誤りを薬局で発見した疑義照会関連の事例は9万9814件と前年比で減少したものの、事例全体に占める割合は83.0%で過去最大の割合となった。

     同機構が実施する「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業」に参加している薬局数は、22年末時点で4万5290施設で過去最多となった。

     一方、報告件数は12万0247件と、前年から7690件減少。18年度診療報酬改定で「薬局における医療安全に資する情報の共有」が地域支援体制加算の施設基準の一つとなり、近年の報告件数は急増していたが、19年に14万4848件に達してからは漸減し続けている。

     減少の背景について、同機構は「コロナ禍で薬局業務に追われて報告する余裕がなかったのではないか」としたほか、「以前は同事業の報告範囲に含まれない事例も報告されていたが、より適切な事例を選んで報告するようになったのではないか」とも分析している。

     22年に報告されたヒヤリ・ハット事例を見ると、調剤関連が2万0255件で20年から3年連続で減少し、全体に占める割合も16.8%で過去最少となった。内訳を見ると、規格・剤形間違いが3178件、計数間違いが2856件、異なる成分の薬剤取り違えが2542件と、前年度と同様の順となった。

     疑義照会関連は9万9814件で、前年から5880件減少したものの、全体に占める割合は83.0%で過去最大となった。処方医に対する疑義照会を実際に行った事例の内訳として、投与量に関する照会が2万4407件、同効薬の重複が1万4305件、同成分の重複が9428件の順で、調剤関連と同様、前年から順位に変化は見られなかった。

     報告件数のうち、新規収載医薬品別に集計した結果、新型コロナウイルス感染症治療薬「ラゲブリオカプセル200mg」63件、アトピー性皮膚炎治療薬「モイゼルト軟膏0.3%/1%」48件、黄体ホルモン製剤「エフメノカプセル100mg」34件が上位を占めた。ラゲブリオについては、「医師が初めて処方する例もあるので、正確に処方できていない事例が見られた」としている。

  • 薬剤師不足で「手が回らず」‐業務充実へ配置が課題に

    情報提供元:薬事日報社

     中央社会保険医療協議会入院・外来医療等の調査・評価分科会は12日、2024年度診療報酬改定に向けた実態調査の検討結果を取りまとめた。病院薬剤師については、全般的に病棟薬剤業務実施加算1の届出割合が低かったとしつつ、回復期病棟では「薬剤師の手が回らない」ことに困っているとの声が多く、周術期業務が実施できない理由にも薬剤師不足を訴える声が多かった。外来など業務の広がりが期待されるものの、薬剤師不足が大きな壁になっていることが浮かび上がった格好だ。

     病院薬剤師業務の広がりと現状について検討した結果では、病棟薬剤業務実施加算1を届け出ている医療機関は6割程度で、急性期病院以外では「全般的に届出割合が低かった」と分析した。

     回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟では、「全般的に薬学的管理が行われているが、項目によって差があった」と指摘。その背景として、回復期病棟では「薬剤師の手が回らないこと」に困っているとの回答が最も多かった。具体的には、薬剤師が手一杯のため、退院時の服用薬説明や退院後の薬局への情報提供が十分できていなかった。

     回復期病棟からの退院後の薬局への情報提供業務は、地域包括ケアの観点から重要とされているが、「薬剤師の手が回らないことによって十分に実施されていない現状があるため、早急に対応する必要がある」との指摘があり、急性期病棟でも薬剤師の配置が十分でない施設があった。

     地域包括ケア病棟においても、状態の安定していない患者が一定数いる中、適切な薬物療法を提供する観点から薬剤師の配置の工夫が必要とされた。

     周術期薬剤管理加算の届出を行っている施設は、全体の約1割と少なく、その理由としてやはり薬剤師が不足していることが多く挙げられており、必要な業務を十分実施できない状況にある実態が分かった。

     一方、チーム医療やタスクシフト/シェア推進の中で、「病院における薬剤師業務は様々な病棟業務や周術期における薬学管理にも広がってきており、医師の負担軽減、医療の質向上への貢献の観点からも評価されている」と高く評価。「今後は外来でも取り組みを実施すべき」と、さらなる業務拡大を促す意見もあった。

     この日の分科会でも、眞野成康委員(東北大学病院薬剤部長)は、「救急外来でも薬剤師が関与する医療機関が増加し、患者から服薬状況を聞き取ることでその後の薬物療法のスムーズな開始につながっている」と意義を強調。薬剤師偏在の現状にも触れ、「病院薬剤師確保に向けて、診療報酬も含めた様々な取り組みが必要」と訴えた。

     山本修一委員(地域医療機能推進機構理事長)も、「病院薬剤師の確保は診療報酬でもしっかりと後押しすべき」と述べた。