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2023年7月号

  • 24年度に薬局とカルテ共有‐医療DXで工程表(政府推進本部)

    情報提供元:薬事日報社

     政府の医療DX(デジタルトランスフォーメーション)推進本部は2日に工程表を取りまとめ、2024年度以降に電子処方箋の院内処方への機能拡充等に取り組む方針を示した。電子カルテ情報を医療機関・薬局間で共有するサービスについては、今年度中に開発を始め、24年度中に運用開始することとした。

     工程表では、30年度までの医療DXに関する取り組みを提示。具体的施策と到達点を、▽全国医療情報プラットフォームの構築▽マイナンバーカードと健康保険証の一体化加速▽電子カルテ情報の標準化▽診療報酬改定DX▽医療DXの実施主体――の5項目でまとめた。

     全国医療情報プラットフォームの構築では、オンライン資格確認等システムを拡充して保健・医療・介護情報を共有可能なプラットフォームを構築すると明記。このうち、既に全国で運用開始している電子処方箋については、25年3月までにオンライン資格確認を導入した全ての医療機関・薬局に導入するための支援を行うほか、今年度中にリフィル処方等の機能拡充を行う。また、24年度以降、現在は未対応である院内処方への機能拡充や重複投薬等チェックの精度向上にも取り組むとした。

     電子カルテ情報を医療機関・薬局間で共有するための「電子カルテ情報共有サービス(仮称)」に関しては、今年度中にシステム開発に着手し、24年度中に電子カルテ情報の標準化を実現した医療機関等から順次運用開始する。

     診療報酬改定時のシステム改修でベンダー等にかかる負担を軽減するため、診療報酬算定と窓口負担金計算を行うための全国統一の共通的な電子計算プログラムである共通算定モジュールの開発を進め、25年度にモデル事業を実施した上で、26年度に本格的に提供開始する。

     電子カルテ情報の標準化では、医療情報を薬局側に共有できるよう薬局におけるレセプトコンピュータ・薬歴システムの標準規格であるHL7FHIRへの対応を検討する。

     また、薬局側から医療機関側に提供される服薬状況等のフィードバック情報の内容や共有方法、必要性についても検討していくこととした。

     取りまとめ後に記者会見した加藤勝信厚生労働相は「医療界、産業界と一丸となって医療DXの実現に向けて取り組んでいきたい」と述べた。

  • 「減少の流れ止めていく」‐日病薬・武田会長、病院薬剤師確保に危機感

    情報提供元:薬事日報社

     日本病院薬剤師会の武田泰生会長は10日、郡山市内で開催された日本病院薬剤師会東北ブロック第12回学術大会で講演し、病院薬剤師の確保に危機感を表明。病院・診療所に就職する薬学生数の減少が止まらない中、薬局は右肩上がりに就職者数が増えている現状について「バランスが悪いと考えている。今後、病院に就職する薬学生数が減ると、病院での薬学治療管理ができなくなっていく」と指摘。「医師会や日本病院団体協議会(日病協)からも危機感を持って病院薬剤師確保の声を上げていただけるようになっている。この状況を止めていかないといけない」と訴えた。

     厚労省が示した各都道府県別の病院・薬局薬剤師の偏在指標については、「上位に薬局が入り、下位に病院が入っている」と指摘。特に東北ブロックは「病院薬剤師の偏在指標下位3県を青森県、秋田県、山形県が占めている。求められる業務量に対して50%台の半ばのマンパワーしかない。東北地方は病院薬剤師数が少ないことが改めて分かった」と述べた。

     来年4月からスタートする各都道府県の第8次医療計画作成指針に薬剤師確保策が盛り込まれたことを受け、武田氏は「4月から都道府県は医療計画の策定をスタートしている。病院薬剤師会として地域の実情を都道府県の薬務課、医務課に知っていただき、対策をどう進めるべきかを計画の中に盛り込んでもらわないといけない」と強調した。

     その上で、「計画は6年間で病院薬剤師確保がその中に入らなければ、その後に入れてもらうのは難しくなる。病院薬剤師の偏在、不足の解消を進めなければいけないといった文言を医療計画に入れていただくのが大事。作成指針の説明会が行われているので、都道府県の担当者にアプローチをし、話を進めてほしい」と呼びかけた。

     また、武田氏は、5月に日病協内の病院薬剤師確保に向けたワーキンググループで取りまとめられた病院薬剤師確保の要望書案において、▽診療報酬上の要望▽奨学金返還免除・病院への薬剤師派遣など地域医療介護総合確保基金等の優先的な活用▽薬学部の卒前・卒後教育の充実――などが盛り込まれたことを紹介。

     「薬剤師の資質を高めつつ、病院薬剤師確保に向けてしっかりと事業を継続していきたい」と語った。