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2023年8月号

  • 【財務省予算執行調査】地域連携薬局を算定要件に‐地域支援体制加算で提言

    情報提供元:薬事日報社

     調剤報酬の地域支援体制加算を算定した薬局のうち「地域連携薬局」として認定されている薬局はわずか8%であることが、財務省の2022年度予算執行調査で明らかになった。今回の調査結果を受け、財務省は、地域連携薬局の認定を受けていることを地域支援体制加算の要件とするよう提言。処方箋集中率が高い薬局は原則として対象から除外するなど、算定要件の見直しを求めた。

     調査は、19〜22年度に全国5万9396薬局を対象に実施したもの。地域支援体制加算の算定薬局の実態や施設基準について、地域包括ケアシステムの中で地域医療に貢献する薬局を適切に評価するための要件になっているかを調べた。

     調剤基本料1を算定する薬局は、地域支援体制加算の要件が大幅に緩和された結果、処方箋集中率95%超の薬局の4分の1程度、集中率85%超から95%以下の薬局の4割が加算を算定できる状況となっていた。

     地域支援体制加算の算定要件となる地域医療に貢献する体制を有することを示す実績を見ると、「地域の多職種と連携する会議への出席」が要件を満たす最小限の実績(1回)である薬局が約3割を占めた。

     また、地域支援体制加算2を算定している薬局の各実績を見ると、「外来服薬支援料」「服用薬剤調整支援料」「服薬情報等提供料」の実績を満たした薬局は少なく、選択可能な複数の実績要件の中で基準該当性に著しい偏在が生じており、9割の薬局はこれら以外の実績要件で三つ以上満たしていた。

     地域連携薬局の認定要件については、医療機関への情報提供や時間外対応の実績など、地域支援体制加算の算定要件と重なる項目があるものの、今回の調査において地域支援体制加算を算定した薬局のうち、「地域連携薬局」として認定されている薬局は、わずか8%だった。

     後発品の調剤割合については、処方箋集中率が85%を超える薬局は「後発品の調剤割合50%以上」であることが求められているが、後発品置き換え率50%以下は調剤基本料の減算対象であり、対象薬局は限定されていることから、地域支援体制加算の算定要件として有効に機能しているとは言い難いとした。

     財務省は、「調剤基本料1の薬局を対象とした地域支援体制加算1.2の要件は大幅に緩和されており、さらに緩和された要件自体も有効に機能しているとは言い難く、当該加算の制度趣旨に沿った要件になっていない」と指摘。「地域連携薬局の認定を地域支援体制加算の要件とすべきではないか」と提案した。

     同調査に対し、日本薬剤師会の安部好弘副会長は5日の定例会見で、地域連携薬局を地域支援体制加算の算定要件とする考え方に言及。「両者で類似している項目はあるが、基本的にはつなげない。地域体制加算については既に一定の評価がされている」と否定的な見解を示した。

  • 卒後研修制度化を検討‐今年度モデル事業で(日本病院薬剤師会)

    情報提供元:薬事日報社

    日本病院薬剤師会は5日の定例会見で、厚生労働省からの事業委託を受けて2021年度から実施している「卒後臨床研修の効果的な実施のための調査検討事業」の今年度実施分の概要を示した。今年度が最終年度の予定となっており、全国での本格的な制度化に向け、研修実施施設の質確保や研修効果検証のための方策を検討する。

     昨年度までの事業を通じて、研修実施施設の質確保や卒後研修の効果検証のための方策が課題として残されていたため、今年度は質を担保するための施設要件、評価体制等を確立すると共に、卒後研修の中長期的な効果検証のための体制整備を目指す。

     日病薬内に特別委員会と事務局を立ち上げ、研修施設の選定やプログラム作成のほか、各施設の研修プログラムからの課題抽出や卒後臨床研修のあり方について検討を行う。残された課題解決に向け、施設要件案と評価体制の整備も担う。

     研修期間は最低1年間設ける。現在34の研修施設で、病院薬剤師96人、薬局薬剤師9人が参加している。薬局薬剤師は、日本薬剤師会や日本保険薬局協会からの推薦で選んだ。

     医療機関での病棟業務研修に重点を置き、基本的な調剤・監査のほか、病棟での服薬指導、TDM、無菌調製、手術室関連業務、救急医療など幅広く学ぶ。

     その中で、多職種連携を通してチーム医療の中での薬剤師の役割を理解することや、主体的な介入により患者アウトカムにどのようにつながったかなどを経験する。地域医療として、最低2週間薬局で在宅業務研修も行う。

     薬剤師の卒後研修については、医師とは異なり法的規制はなく、各施設が独自の研修体制を構築している。研修期間1年以上の薬剤師レジデント制度を設けているのは約50施設と少なく、多くが職場で実務と並行して研修を行うOJTを実施しているのが現状。

     19年に薬剤師の卒後研修のあり方を検討する目的で研究班が発足し、卒後研修プログラムの骨子を作成。21年度からは骨子をもとに、厚労省予算で同事業がスタートした。

     制度化に向けた詳細なスケジュールは未定だが、武田泰生会長は「最終年度なので、制度化に必要な事項をしっかりと調査研究をしていきたい」と意気込みを示した。