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2023年9月号

  • 【厚労研究班調査】「口頭でやり取り」が大半‐リフィルの薬剤交付判断

    情報提供元:薬事日報社

     リフィル処方箋の約85%が全て同一薬局で応需されていた一方、薬剤師が継続して薬剤交付を実施するべきかどうかの判断は「口頭でのやり取りのみの確認」が大半だったことが、厚生労働科学研究「リフィル処方箋に係る薬局薬剤師による処方医へのより有効な情報提供等に関する手引きの作成についての調査研究」(研究代表者:帝京大学大学院公衆衛生学研究科今井博久教授)の研究班による実態調査で分かった。

     リフィル処方箋をめぐっては、昨年4月の診療報酬改定で導入されたものの、詳細な運用ルールや患者評価の方法などが未整備な実態がある。実態調査は、全国の薬局にウェブ上でアンケートを実施し、解析対象として258薬局、患者総数2032人のデータを収集した。

     その結果、84.1%が同一薬局で応需していることが分かった。リフィル処方箋を利用したことのある患者年齢層は、70代が約2割で最も多かった。

     リフィル処方箋の1回当たりの処方日数について、現在最大90日までと定められているが、28〜55日の処方が40.8%で最も多く、次に90日が28.7%、56〜89日が27.7%と続いた。

     リフィル処方箋の発行経緯については、「医師からの提案」39.7%、「患者からの提案」29.7%となった。医師から提案する理由は、「安定した軽症の患者への診療時間を減らし、不安定で中等症から重症の患者に時間を割きたいから」「医師の働き方改革の一環で病院の外来受診患者数を減らし、病院勤務医師の負担を減らしたいから」などの理由が挙がった。

     ただ、薬剤師が継続して薬剤交付を実施するべきかどうかの判断をどのように行っているのか聞いたところ、「口頭でのやり取りのみの確認」が大半を占めた。そのほか、チェックシートの利用や来局前フォローアップによる聴取内容を参考にするなどが挙げられた。

     処方元の医療機関との連携については、「必要時に実施している」が61.0%で最も多く、「患者ごとに毎回実施している」32.2%、「未実施」6.8%となった。

     同研究班は「継続して薬剤を交付する判断を口頭で尋ねるのみで行っていることが多いことが明らかとなり、長期間服用により惹起される副作用、アドヒアランスの低下の有無などを正確に把握できていないのではないか」とし、処方箋の応需対応とは異なる確認作業の必要性を訴えている。

  • QRコードで服薬情報‐入院時薬薬連携に運用(東北大学医学部附属病院薬剤部)

    情報提供元:薬事日報社

     東北大学医学部附属病院薬剤部は、保険薬局との薬薬連携ツールにQRコードを活用し、入院時の服薬情報を電子的に共有する取り組みを行っている。QRコードをバーコードリーダーで読み取ることで、入院時の服薬情報等を電子カルテに電子的に取り込むことができ、薬剤部の持参薬確認業務の効率化につなげている。一方、薬局から提供される入院時服薬情報提供書の3割は、患者IDの間違いや記入漏れなど不適切な内容であることが判明した。十分に情報を活用するためには、運用の周知など薬局側の理解促進が課題となっている。

     2022年度診療報酬改定で、医療機関の求めに応じて、必要な場合に入院予定患者の持参薬整理を行うと共に、患者の服用薬に関する情報等を一元的に把握し、医療機関に文書等で提供した場合に保険薬局は「服薬情報等提供料3」(50点)を算定することが可能になった。

     同院薬剤部は22年度改定を契機に、患者の入院日情報を薬局に提供し、入院時の服薬情報等を入手する仕組みを構築した。

     入院が決定した患者は、同院入退院センターで事前説明を受ける。事務員が患者に薬局への入院日情報の提供について説明し、同意が得られた患者のお薬手帳に入院日を記載したシールを貼付することにした。

     薬薬連携ツールに「QRコード付き入院時服薬情報提供書」の作成機能を新たに組み込み、連携を希望する薬局に無償で配布。QRコードを活用した電子カルテへの服薬情報の電子的取り込みの運用を開始した。

     取り組みを開始した昨年8月から今年5月までに入院患者の65%が入退院センターを利用し、そのうちお薬手帳に入院日を記載したシールを貼付した割合は月平均56.5%に上った。

     薬局への薬薬連携ツールの配布は5月末時点で145薬局となっており、薬局からの入院時情報提供書の送付は482件となった。シール貼付から入院時情報提供書送付の割合は7.1%だった。

     入院時情報の提供があった患者数と持参薬報告書の作成に活用できた件数は増加傾向にある。件数こそ少ないものの、薬局薬剤師の提案事項が入院後の薬学的管理に活用される成果も生まれているという。

     一方で、送付された入院時情報提供書のうち30%が不適切な内容であるとの課題も浮き彫りとなった。不適切事例として最も多かったのが「患者IDの間違い/記載なし」で、「QRコードなし」「報告の遅延」「入院予定日の間違い/記載なし」の順となっている。

     佐藤真由美副薬剤部長は、「服用薬の情報が一元管理されていないなど不適切なケースも見られ、情報を十分に活用できていないのが課題。今後、薬局薬剤師と課題を共有する場を設け、解決に取り組んでいきたい」と話している。