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ユーザーリポートUser's Report

15クオール薬局恵比寿店様

自動薬剤ピッキング装置 DrugStation(ドラッグステーション)

計数調剤の負担大幅削減-安全・スピーディに集薬


 クオールは現在、グループ全体で全国に800を超える店舗を展開している。その中で、同社代表取締役社長の柄澤忍氏が“次世代薬局の一つの形”とするのが「クオール薬局恵比寿店」(東京都目黒区)で、高度な医療から、在宅医療を含め地域住民に寄り添った医療まで幅広く対応する基幹店舗として日々の業務に当たっている。そうした日々の業務を支えている一つが、ユヤマの自動薬剤ピッキング装置の「DrugStation(ドラッグステーション)」。同薬局ではドラッグステーションを業界に先駆けて導入しており、業務の効率化と過誤防止を図ると共に、質的な向上も実現している。

クオール薬局恵比寿店

クオール薬局恵比寿店

薬剤師以外でもミスなく操作


 2020年5月にリニューアルオープンしたクオール薬局恵比寿店は現在、薬剤師6人、MC(医療事務)6人というスタッフ構成になっている。近隣には厚生中央病院があり、ここからの処方箋応需がメインとなるが、同病院の診療科は22科に及ぶため、クオール薬局恵比寿店に来局する患者層も、診療科目、年代とも必然的に幅広くなっている。


 またクオールでは、団塊の世代が後期高齢者を迎える2025年、さらには40年を見据え、現在のコロナ禍以前より“デジタル化”が必要と考えて、社内で研究会を立ち上げるなど対応を進めてきた。これが「未来の薬局を実現していく」という新たな戦略であり、▽ロッカーを活用した非対面での薬の受け渡し▽機械化による調剤業務の効率化および生産性の高い薬局づくり▽アバターの使用――などを試みる一つのモデルケースとして、「クオール薬局恵比寿店」は20年5月にリニューアルオープンした。

 機械化という面で導入された「ドラッグステーション」だが、導入理由について同薬局の阪口嘉代子薬局長(管理薬剤師)は「日本のピッキングは特殊で、非常にきめ細かい。そうした特有のピッキングや調剤に合った機械が日本の調剤機器メーカー製のドラッグステーション」とする。なお、同薬局に導入されたドラッグステーションは1号機となるが、これにはクオールが今回のドラッグステーションの開発段階から、クオールの薬剤師が様々な意見を示すなどの協力をしていたという経緯がある。

中央が阪口薬局長

中央が阪口薬局長


 ドラッグステーションは、処方箋内容に基づく集薬業務の自動化と医薬品の入庫業務を大幅に効率化する。計数調剤可能な全ての医薬品がバーコード情報で管理されており、自動的に集薬されるため、習熟度に依存せず誰でも安全かつスピーディに集薬業務を担うことができるという点が最大の特徴と言えよう。阪口氏も、「誰がやっても同じスピードでできるということは非常に大きなメリット」と指摘する。

 調剤業務において棚からピッキングを行う場合、例えば棚の薬の位置を把握している熟練者か、そうでない新人かの違いで、時間にバラツキが出てしまうのはやむを得ない面がある。また、調剤室内を動き回る必要もある。こうした点をドラッグステーションは解消する。阪口氏は「オーダーされた処方内容に合わせ、庫内の薬品を自動でピッキングしセットされた薬品トレイが目の前に現れる。モニター画面の指示に従えば、薬剤師以外でもミスなく操作することができると説明。「計数調剤のミスも大幅に減り、調剤室の中を動き回るという負担も減った」と強調する。

習熟度に依存せず誰でも安全かつスピーディーに扱える

習熟度に依存せず誰でも安全かつスピーディーに扱える

 またドラッグステーションは、集薬した医薬品の形状をカメラで確認し、サイズから端数を判断すると共に、重量によるシートの計数鑑査も行うため、正確性を飛躍的に向上させている。阪口氏は「処方箋入力が合っていれば、入力の通りに薬が運ばれてくるので、誤って異なる薬を取ることもない。またカメラの端数鑑査があるので、計数のミスも減らせている」とし、「安全性にも非常に配慮されていると思う」と評価する。

 実際、ドラッグステーションは誰でも使える機械であり、同薬局では基本的にはMCが担当しているという。その分、薬剤師は他の業務に当たることができている。阪口氏は、「薬剤師として鑑査や服薬指導に当たっているが、MCがピッキング業務を担ってくれることで、服薬指導の時間をより多く割けるようになった。今まで薬剤師が担っていた調剤の対物業務から、対患者様の対人業務に時間を割けるようになったということは、薬局業務の質が上がったということ」とする。

 さらに、業務の効率化や質向上が図れたことで、「服薬情報提供など薬剤師が必要と判断した場合に患者様からお伺いした内容を医師にフィードバックしたり、新規の薬や副作用のある薬が出た時に電話で1週間後に確認したりするのだが、その件数が2倍に増えていた」という。

 コロナ禍にある現状も含め今後に関して阪口氏は、「長期処方になるので、アフターフォローが必要であり、その充実化が求められていくと思う」と指摘する。その上で、「“患者様対応は服薬指導をして終わりではない”ということは、もともと当社のイズムとしてあり、テレフォンフォローアップという形で以前から継続して取り組んできた。アフターフォローの充実化においては、当社として得意な部分を発揮できるのではないか」と強調。これからも「あなたの、いちばん近くにある安心」という同社スローガンのもと、地域のより身近な存在であり続けるために尽力していく考えだ。

(薬事日報より)