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ユーザーリポートUser's Report

17阪神調剤薬局関目店様

自動秤量機能付き散薬分包機 SR-zero

薬局業務の質向上と効率化


 大阪市内にある阪神調剤薬局関目店は、散剤の調剤にかかる負担を軽減し、対物業務の効率化を進めている。昨年12月にユヤマの自動秤量機能付き散剤分包機「SR-zero」を導入し、散剤の秤量から分包までの業務を自動化した。薬剤師が手作業で散剤を秤量する時間は短くなり、創出された時間を他業務に充て、効率的に店舗を運営できるようになった。同店管理薬剤師の河原育美氏は「捻出できた時間を対人業務の充実や在宅医療の準備などに充てられるようになった」と手応えを語る。


 同店は大阪市内の関目高殿駅から徒歩5分ほどの住宅街に立地。薬剤師3~4人、事務員2~3人で運営し、近隣の耳鼻咽喉科・皮膚科クリニックを中心に1日当たり約140枚の処方箋を応需する。耳鼻咽喉科を受診して来局する患者が多く、半分弱が小児。来局の集中する昼前や夕方以降は特に忙しくなるという。


 副鼻腔炎などのかぜ症状、中耳炎、花粉症などの治療で散剤が処方されるケースが多い。以前は、薬剤師は処方ごとに散剤を秤量しなければならず、その業務に付きっ切りになっていた。その間、人手が不足し他業務が滞ることが店舗運営上の課題だった。


 そこでユヤマのSR-zeroを昨年12月に導入した。同機器は機器上部にセットされた専用のカセット(容量300cc)から散剤の必要量を秤量しながら自動的に払い出し、配分、分包する。レセコンから処方データを読み込み、機器のディスプレイ上に患者名や薬品名、診療科などを表示し、薬剤師による確認、スタートの指示を経て作業を始める。機器下部から分包した散剤を排出するまでの所要時間は約3分という。


 SR-zeroの導入で薬剤師の秤量業務負担は軽くなり、捻出した時間で他の業務に取り組めるようになった。他の薬を調剤したり、薬歴を書いたりするなど、すき間時間を有効に活用している。河原氏は「ここ最近、花粉症シーズンは応需する処方箋枚数が大幅に増えた。業務が忙しく、薬歴を書く時間を確保するのに難渋していたが、機器に散剤の調剤を任せている間に書けるようになった」と語る。


 対人業務の強化にも役立っているようだ。「秤量作業を機械に任せることで薬剤師も気持ちに余裕ができた」という。患者対応に時間をかけやすくなり、きめ細かく服薬指導できるようになった。かかりつけ薬剤師として患者からの相談に丁寧に対応している。


 同機器の特徴は、本体幅76cmのコンパクトサイズながら、散薬カセットを最大で五つまでセットできる点。カセットの差し換え回数を減らし、効率良く動作できる。処方データにない散剤のカセットからは薬を払い出さないため過誤は起きない。同店では、抗生剤と一緒によく処方される整腸剤のカセットなどを常にセットし、機器の特徴をフル活用しているという。このほかのカセットを含め、同店では全部で計15カセットを用意。処方頻度の高い鎮咳剤、抗生剤、抗ヒスタミン剤などをそれぞれカセットに充填し、機器の隣の棚に陳列している。カセットにない散剤が処方された場合はこれまでと同じように手作業で秤量し、機器上部の右側にある手撒きフィーダーから投入する。機器天井部の手撒きマスから錠剤も投入できる。

阪神調剤薬局関目店

阪神調剤薬局関目店

河原氏

河原氏

機器上部のカセットから散剤を自動で払い出して分包する

機器上部のカセットから散剤を自動で
払い出して分包する

エラー回避へ機能も充実


 エラー回避の機能も充実している。オーダーと異なるカセットをセットするとスタートしない仕様になっており、繁忙時のヒューマンエラーを未然に防止する。そのほか、カセット内に残った量を超える量のオーダーが入った場合、ディスプレイ上で先にカセットに薬を充填するよう案内する機能もある。


 動画やグラフで分包の過程を記録し、調剤作業の安全性を担保する。内部に搭載したカメラで秤量、配分時の様子を動画撮影し、正常な分包作業が行われたかを後からチェックできる。


 以前、同店で使用していた自動分包機は、秤量の自動化に対応しておらず、手撒きフィーダーの数は二つで、同時に投入できる薬剤数も二つまでに限られていた。3剤以上の散剤が同時に処方されると手撒きフィーダーの数が足りず、混和して2剤に整理し直した上で機器に投入していた。小児の処方は3剤以上が多く、作業の負担が大きかったという。量の少ない小児向けの分包に対応できるのもSR-zeroの魅力の一つで、1カセット当たり最小0.3gから払い出せる。


 自動清掃機能も重宝している。SR-zeroは分包完了後に散薬の通る経路に重曹を流し込み自動で清掃する。カセットを装着した後にクリーニングする機能を備え、清潔な状態を常に保ってコンタミを防止する。「以前に使っていた機器では1人分の調剤が終わる度に清掃しなければならず負担が大きかった。手で撒く場合、異物混入の恐れもあるが、この機器にはそのリスクもない」と河原氏は語る。


 今年4月から在宅医療を開始し、施設などの患者を受け持つ。機器導入で生まれた時間を在宅医療の準備に充てている。河原氏は「担当薬剤師の外出中は店舗を1人少ない状態で回さなければならなくなる。在宅医療のサービス充実にも生かしたい」と話している。

(薬事日報より)