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2020年12月号

  • 緊急避妊薬の教育資材公開‐薬剤師が必要な知識習得‐京都大学SPH薬局情報グループ

    京都大学SPH薬局情報グループ(リーダー:岡田浩氏)は、薬局薬剤師が緊急避妊薬を販売する上で必要な知識を習得できる教育資材を作成した。専門医がレクチャーする約10分間の動画と販売時に必要事項を確認する質問票、購入者向け配布資料の3点を、同グループのウェブサイトで公開している。
     内閣府の専門調査会が10月に発表した基本的な考え方を受け、薬局で緊急避妊薬を処方箋なしで販売できる気運が高まっているが、一部の産婦人科医からはSNS上で否定的な意見が示されるなど、賛否両論が存在する。同グループは、否定的な動きが強まり、薬局での販売が実現に至らなければ、最終的に不利益を被るのは国民」と判断。薬局薬剤師が必要な知識を習得できるよう資材を作成した。
     公開した動画では、薬局薬剤師が購入希望者に確認すべきことや説明方法について、産婦人科専門医の池田裕美枝氏が分かりやすく解説。購入希望者には、妊娠が心配な性交渉からの経過時間や性暴力の有無、性感染症の可能性などを確認し、薬の効果や安全性、性暴力時の窓口、内服後の避妊、嘔吐時の対応などを説明するよう求めている。
     質問票は、これらの説明や確認が必要な8項目をA4用紙に羅列したもの。今後、緊急避妊薬の販売が実現すれば、購入者向けにポイントを解説したA4版の資料と併せて、薬局で活用してもらいたい考えだ。
     資材作成を取りまとめた岡田氏は「緊急避妊薬の販売を薬剤師には任せられないという産婦人科医のSNSコミュニティの書き込みがあることを、知り合いの産婦人科医から教えてもらったことがきっかけ。一部の産婦人科医は、薬局薬剤師が対人援助職であるとは思っておらず、かなり誤解されている気がした」と振り返る。
     「資材や学ぶ機会があれば、薬剤師が困らずに職能を果たせる助けになり、最終的には国民のためになるはず」としている。

  • 調剤が業務時間の過半に‐人員少ない療養・精神科病院‐新潟大病院・外山氏が解析

    病院薬剤師業務の全体像を解析した結果、精神科病院や療養型病院では、薬剤師の全業務のうち調剤業務に費やす時間が5〜6割を占めていることが、外山聡氏(新潟大学病院薬剤部長)が厚生労働科学研究と日本病院薬剤師会の調査結果を解析した結果から明らかになった。これらの施設では、100床当たりの薬剤師数も少なく中央値で2人以下となっており、マンパワー不足と業務内容が相関していた。
     厚生労働科学研究「病院における薬剤師の働き方の実態を踏まえた生産性の向上と薬剤師業務のあり方に関する研究」のグループと日病薬が2018年6月に同時に実施した調査を解析した。調査対象は全病院8380施設で、3430施設から回答があった。(回答率40.9%)
     病院薬剤師の業務を25種類に分類した上で、業務に費やしている時間を解析したところ、入院・外来患者の内用薬と外用薬の調剤業務に費やす時間が全業務に占める割合は、精神科病院で62.5%、療養型病院で52.7%と高い値になっていた。他の病院での割合は、ケアミックス病院39.3%、一般病院36.9%、DPC病院24.2%、特定機能病院20.6%だった。
     病院種別に見た薬剤師数(中央値)は、特定機能病院で約60人、DPC病院で約15人と多かったが、一般、ケアミックス、療養型、精神科の各病院においてはいずれも約2〜3人だった。100床当たりの薬剤師数(中央値)は、特定機能病院で7.3人、DPC病院で5.0人と多く、一般病院3.6人、ケアミックス病院2.5人、療養型病院1.9人、精神科病院1.3人となっていた。療養型と精神科病院でのマンパワー不足が際立つ結果になった。
     薬剤師の配置状況と各業務の関係を解析したところ、病院薬剤師の配置が手厚くなければ実施できない業務として、病棟薬剤業務と治験・臨床研究が浮かび上がった。実際に、比較的マンパワーが豊富なDPC病院では全業務のうち病棟薬剤業務に23.8%の時間を費やしているが、精神科病院では7.9%にとどまっていた。
     ウェブ上で開かれた日本医療薬学会年会で解析結果を発表した外山氏は、世界の薬剤師数の動向について「日本の人口当たりの薬剤師数は世界で最も多く、増加率も最も大きいが、これは医薬分業に伴う薬局薬剤師数の増加によるもの」と言及。一方で、「1病院当たりの薬剤師数は20年前に比べて36%増となっているが、他職種に比べると伸び率は最も小さい」と指摘した。
     病院薬剤師に関連する診療報酬については、「年間約1500億円程度と横ばいで推移しており、大きな変化はない。病院薬剤師数で割ると、1人当たり約300万円程度にしかならない」と強調。「病棟薬剤業務と外来化学療法に関連する診療報酬は増えているが、調剤に関連する報酬は減少している。病棟業務の施設基準を満たさない施設や外来化学療法を行わない施設では診療報酬を増やしづらく、薬剤師数はほとんど増えていない。小規模施設ではむしろ減少している」と語った。