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2020年3月号

  • 厚労省・田宮薬剤管理官、調剤料依存の薬局に警鐘‐対人転換はスピード感重要

    情報提供元:薬事日報社

    ■厚生労働省保険局医療課の田宮薬剤管理官は、都内で開催された保険薬局経営者連合会(薬経連)のスプリングフォーラムで講演し、20年度改定で新設された「服用薬剤調整支援料2」に言及。複数の医療機関を受診する患者の重複投薬解消を進めるため、薬局で服薬情報を一元的に把握し、重複投薬の有無を確認した上で医師に解消提案を行う取り組みを評価するものだが、「どの薬剤を減らせばいいのかという提案も含め、しっかりと対象の医療機関に情報提供して提案する場合の点数が新たに創設された」と説明。「 ポリファーマシーに関係する服用薬剤調整支援料1と合わせて患者や国民、保険者から見ても薬局、薬剤師には本当に頑張ってもらいたいということだと思う。しっかりと取り組んでほしい」と要請した。

     

    ■また、対物業務から対人業務への構造転換について「患者や国民からすると、当然の社会的要請」との見解を示し、「ここをいかにスピード感をもって薬局が変わっていけるかが重要。調剤料に依存し、近隣の医療機関の処方箋を応需するような、かかりつけ機能を発揮していない薬局に早晩、未来はなくなるというメッセージを込めた内容となっている」とした。

     

    ■対人業務に関しても、「単に算定要件を満たすためだけに行うのは本末転倒」と強調。「医薬品医療機器等法改正とも関係するが、患者に寄り添って、薬物療法の結果をフォローアップして責任を持つというマインドが大切」と語った。

     

    ■田宮氏は、対人業務へのシフトや医薬分業のあり方についても「患者や国民から厳しい目を向けられていくことになる」と指摘し、「地域包括ケアシステムの中で薬局、薬剤師がどのような役割を果たしていくのかが問われていることを肝に銘じ、その変革のスピードを上げていかなくてはならない」と訴えた。

     

    ■さらにポリファーマシーや重複投薬、残薬への対応などを踏まえた処方提案に関して、「患者や国民から見て薬局薬剤師の機能として分かりやすい。最も期待している機能である」と指摘。
    「新設された服用薬剤調整支援料2も含め、こうした取り組みを実際にどのくらいできるかが次回改定までに問われている部分だ」と述べた。

  • 【全国薬局調査で判明】病薬連携の遅れが鮮明に‐情報入手先、病院1割切る

    情報提供元:薬事日報社

    ■厚生労働行政推進調査事業成果報告会「かかりつけ薬剤師・薬局の多機関・多職種との連携に関する調査研究」が都内で開かれ、全国の保険薬局の情報共有に関する調査結果が、小枝氏(八尾市立病院事務局参事)から報告された。患者の病名やアレルギー・副作用歴の入手経路については、病院薬剤師からが1割を下回ったほか、病院薬剤師の記録等を把握できていない薬局が約8割を占めたことから、小枝氏は「病院と薬局の連携ができていない状況が見てとれる」と指摘。病院と薬局による協力関係の構築が遅れている現状が明らかになった。

     

    ■調査は、患者一人ひとりの状況に的確に対応することを目的としたチーム医療の推進が進む中、薬局による医療機関や地域の多職種との情報共有の現状を把握するため、2018年末に全国の保険薬局1927軒を対象に実施したもの。その結果、患者の病名を入手する経路としては、患者からが90.3%と最も多く、次いでお薬手帳が55.9%、処方箋が48.5%の順だった。一方で、病院薬剤師からは8.1%にとどまった。患者のアレルギー・副作用歴の入手経路についても、患者が94.0%、お薬手帳が79.0%、情報提供用紙が21.8%と同様の結果で、病院薬剤師からは4.6%と低かった。

     

    ■小枝氏は「調査前はもっと多いと予想していたが、病院薬剤師から情報が入手できていない状況が結果から見える」と分析した。 レジメンを含めた患者の治療スケジュールについては「把握できていない」が33.6%で、「患者から」の56.6%に次ぐ多さとなった。病院薬剤師の記録・薬剤サマリーも同様に、「把握できていない」との回答が79.3%と最多を占めたことなどから、小枝氏は「やはり病院と薬局の連携ができていない」と指摘した。

     

    ■また、患者の診療情報を複数の医療機関で共有する「地域医療連携システム(EHR)」に参加していない薬局は82%に上った一方、参加している薬局は8%にとどまった。都道府県別では、福島県が50%近くに達し、島根県40%超、滋賀県30%超の順となったものの、その他の都道府県は30%を下回った。

     

    ■連携している地域の職種を見たところ、ケアマネジャーが47.8%、開業医が37.9%、訪問看護師が31.3%の順となり、病院薬剤師は20%と病院医師とヘルパーの各27.1%を下回った。
    連携に向けた取り組みとしては、「地域の薬剤師会の勉強会・交流会」が84.8%、「地域多職種の勉強会」が55.8%、「病院多職種の勉強会」が44.7%となり、「病院の薬剤部門との合同勉強会」は36.0%だった。さらに、情報連携業務の状況として、「調剤を伴わない薬等の相談」が75.0%、「残薬整理対応」が56.5%、「電話等による調剤後服薬状況の確認」が32.4%の順だった。