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2021年11月号

  • 地域連携薬局は全国740軒‐東京都が唯一の三桁台に(薬事日報社)

    専門は半数が認定ゼロ

    医薬品医療機器等法の一部改正で8月に認定薬局制度が施行され、2カ月が経過した。本紙が9月29日時点で回答が得られなかった新潟県を除く46都道府県の認定状況を調べたところ、地域連携薬局740軒、専門医療機関連携薬局45軒が認定されていた。地域連携薬局は東京都がトップの173軒、次いで大阪府、埼玉県、神奈川県と続き、滑り出しとしては概ね順調との評価だ。一方、専門医療機関連携薬局は軒数が二桁に届いた都道府県は未だになく、半数の道府県で認定薬局がゼロとなっている。
     本紙は9月29日時点で各都道府県がホームページ上で公表している情報を中心に地域連携薬局と専門医療機関連携薬局の集計を行い、46都道府県の認定状況をまとめた。
     地域連携薬局が最も多かったのは東京都で都内薬局6895軒中173軒が認定を取得し、全国で唯一、三桁台となった。都は、「申請が出てきているので、200程度まで伸びると思う。まあまあのペースではないか」と良い滑り出しとの認識を示し、今後も軒数が増加していくと見通した。
     大阪府は9月1日時点で75軒が認定を取得している。薬務課は「前月に比べて順調に増加している」とした。
     埼玉県は9月28日時点で66軒。地域の他の医療機関への情報提供回数月30回以上などの認定要件で「実績のある薬局が認定を取得している」(県保健医療部薬務課)と分析する。8月末で58軒の認定薬局を公表した神奈川県は、「数字の評価はまだ行っていないが、認定薬局の軒数を見ると健康サポート薬局よりも増えている実感はある」(健康医療局生活衛生部薬務課)と感触は良いようだ。
     5番目に多かったのが茨城県の36軒。総人口が全国で11番目だが、集計日が異なるものの愛知県や兵庫県、千葉県などを上回った。調剤薬局チェーンが認定薬局全体の9割弱を占めているが、「研修会を開催してきた取り組みも奏功しているのではないか」(県保健福祉薬務課)とした。
     6番手以降には、千葉県が35軒、広島県が25軒、兵庫県と愛知県が21軒と続いた。
     ただ、認定状況には地域差が見られており、認定薬局数一桁台は25道県に上る。福井県と宮崎県はゼロと認定薬局がまだ誕生していない。
     一方、抗癌剤などで癌治療を行う患者に専門的指導を行う専門医療機関連携薬局は、全国で45軒と出足が鈍い。トップの東京都が5軒、神奈川県が4軒、千葉県、福岡県、愛知県、群馬県が3軒と認定を取得していたのは23都府県にとどまった。
     認定要件が地域連携薬局と比べてもハードルが高く、ネックとなっているのが「癌に関する専門性の認定を受けた常勤の薬剤師を配置していること」で、認定を受けている薬剤師を確保できないことが課題となっている。公表されている認定薬局を見ると、癌治療を行う大学病院などの門前薬局や調剤薬局チェーンが大半を占めており、小規模の薬局が認定を取得するのが難しい現状が浮き彫りとなっている。

  • 情報共有のあり方を議論‐施設や地域で独自の工夫(日本医療薬学会年会)

    このほどウェブ開催された日本医療薬学会年会のシンポジウムで、トレーシングレポートの質向上や効率的な運用方法をめぐって、病院や薬局の薬剤師が意見を交わした。退院時に病院から薬局に手厚く情報を提供して薬局薬剤師による患者フォローアップを後押しする取り組みや、地域ぐるみでトレーシングレポートの書式を統一して効率的に運用する事例などを紹介。生まれた成果や今後の課題を共有した。
     池見泰明氏(京都大学病院薬剤部)は、同院が運用する抗癌剤適正使用のための施設間情報連絡書を紹介した。
     同連絡書には、患者フォローアップを実施する時期の目安や注意すべき副作用症状を記載して薬局に送付する。その情報をもとに薬局薬剤師に患者フォローアップを実施してもらい、トレーシングレポートを返送してもらう。副作用症状を継続的に評価できるように、同連絡書とトレーシングレポートで副作用の評価項目を統一した。
     同院の外来化学療法件数は月間1000件規模。このうち約30〜50件で同連絡書を交付し、薬局から約20〜30件のトレーシングレポートを受け取っている。病院と薬局が連携した患者フォローアップが実施されるようになってきているという。
     池見氏は「トレーシングレポートは薬局からの積極的な情報提供につながり、薬物治療の適正化に貢献している。活用機会はさらに拡大する」と説明。課題として、受け取る病院薬剤師の負担軽減や報告内容の質向上を提示した。
     稲葉健二郎氏(総合相模更生病院薬剤部)は、癌薬物治療に関する情報を患者、病院薬剤師、薬局薬剤師の3者で共有するために作成した「抗がん剤治療確認表」の運用フローを報告した。
     同確認表には、レジメン名や投与量、投与スケジュールなどを記載。特に副作用の症状や対策について、患者にも分かりやすいように工夫を凝らした。
     昨年度の抗癌剤関連のトレーシングレポートは104件。このうち、有害事象や副作用に関する報告が72件と最も多く、17件が処方変更につながった。このほか、身体的情報や服薬状況に関する報告を受けて処方変更につながった例も少なくなかった。
     稲葉氏は「患者の生活をよく知っている、かかりつけ薬剤師のポテンシャルを感じた」と説明。薬局からの情報提供が患者のQOL向上に寄与する可能性を強調した。
     大東敏和氏(広島大学病院薬剤部)は、広島県薬剤師会と協働で作成した広島県版トレーシングレポートを紹介した。
     同トレーシングレポートの運用には、県内30病院と県薬剤師会の全会員薬局が参加。病院ごとに異なるトレーシングレポートの書式を採用すると薬局側の負担が大きくなるため、参加全病院で書式を統一した。病院薬剤師が受け取り、処方医に届けている。
     薬局薬剤師の薬学的介入を支援するため、病院薬剤師のノウハウをもとに患者フォローアップ用テンプレートも作成している。気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患などを対象に運用を開始しており、今後、HIVや癌、糖尿病など疾患ごとにテンプレートを作成する予定だ。
     山口信也氏(福岡県薬剤師会)は、インターネット経由でトレーシングレポートを送る福岡県薬の取り組みを紹介した。
     福岡県薬は、医薬品等の備蓄状況を共有、発注管理するシステム「VPCS」にトレーシングレポートの機能を搭載。記載の労力を軽減するため、内容に応じたテンプレートも用意した。会員薬局は無償で使用できる。