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2021年12月号

  • ヒヤリ・ハット約13万件に‐20年、疑義照会関連が8割突破

     日本医療機能評価機構は、2020年の薬局ヒヤリ・ハット事例をまとめた集計結果を公表した。報告件数は12万9163件と前年の14万4898件から減少した。18年度診療報酬改定における地域支援体制加算の新設などでヒヤリ・ハット事例の報告数が倍増した19年度から減少に転じた。医療機関で発生した処方誤りを薬局で発見した疑義照会関連の事例数も減少したが、ヒヤリ・ハット事例全体に占める割合は80.2%に上昇した。
     昨年1年間に報告されたヒヤリ・ハット事例の内訳を見ると、疑義照会関連は10万3611件と前年の11万3144件から減少した。同機構は「今年度も同じ件数で推移するのではないか」との見通しを示した。
     疑義照会に関する項目では、仮に変更前に処方通りに服用した場合の影響について、「患者に健康被害があったと推測される」が5万4407件、「適正な治療効果が得られなかったと推測される」が2万2148件と続いた。変更内容については「薬剤削除」が2万4032件、「薬剤変更(他成分への変更)」が2万0512件、「薬剤減量(1回量または1日量)」が1万3589件となった。
     疑義照会を判断した理由は、「当該処方箋のみで判断」が全体の約2割となる2万2918件となった一方、処方箋とその他の情報で判断したケースで最も多かったのが「薬局で管理している情報(薬剤服用歴)」が2万2918件、「患者・家族から聴取した情報」が2万4857件、「お薬手帳」が2万1170件となった。
     一方、調剤関連は2万5330件と前年から約6000件減少し、事例全体に占める割合は19.6%と20%を割り込んだ。

  • 処方入力代行で「質」向上‐非薬剤師との連携も大切に

     日本病院薬剤師会東海ブロック・日本薬学会東海支部合同学術大会が7日までウェブ上で開かれ、タスクシフティングをテーマにしたシンポジウムでは各病院の薬剤師が様々な実践例を報告した。医師の処方入力代行に取り組んだところ薬剤師の質向上にもつながったことや、医師との協働強化に先立ち非薬剤師との連携体制を確立したことなどが示された。

    タスクシフティングでシンポ

     奥村知香氏(浜松市リハビリテーション病院薬剤室)は、薬剤師による処方入力代行プロトコールを昨年7月に策定したと報告した。
     プロトコールでは、医師の処方入力を薬剤師が代行できる対象として、▽持参薬継続の点眼薬、吸入薬、鎮痛消炎外用剤、痔核用軟膏、坐薬▽頻回使用されている必要時指示薬の頓用処方化▽便秘コントロールのための下剤▽既処方薬の次回処方までの不足日数分▽週1回、月1回製剤の処方日数適正化▽注射処方のフラッシュ用注射用生理食塩水――の6項目を策定。
     実施手順も明記し、薬剤師が代行した内容は必ず医師に確認し承認を得ることや、医師は電子カルテに承認の記録を残すことなどを盛り込んだ。
     今年7月には改訂を実施。▽頓用処方の継続▽継続服薬確認後の臨時処方の定期化▽残数合わせのための処方日数変更――の3項目を追加した。
     同院ではこれまで、処方切れによる看護師から医師への処方依頼が頻回あり業務が煩雑になっていたことや、患者のもとに処方薬が届くまでに時間がかかっていたことから、その解決に向けてプロトコールを導入した。薬剤師の処方入力代行件数は今年8月には月間約60件に達している。
     便秘時の下剤使用についてもガイドラインを基に別途プロトコールを作成。薬剤師が主体的に薬剤選択を担うようになった。
     奥村氏は「医師らの業務負担軽減に加え、薬剤師の質向上という目標もあった」と言及。薬剤師は責任を強く感じるようになり、効果や副作用の発現を今まで以上に気にかけるようになった。「分からないことがあれば必死で調べる。そのことが進歩につながる」と語った。
     定岡邦夫氏(須田病院薬剤部)は、院長の代表同意として全医師とプロトコールを締結し、今年7月から医師との同意に基づく協働薬物治療管理を開始したと語った。
     対象は、▽入院、退院、退院時の処方入力代行▽入院時の持参薬の使用と採用品目への代替処方▽外用薬物療法(褥瘡領域、皮膚科領域)▽検査オーダ入力――の4項目。
     処方入力代行は、薬剤師が処方の修正や変更が必要と判断した場合、医師へ確認を行った後にその入力を代行するもの。医師は代行入力内容を確認し、承認する。
     実施にあたってはまず、非薬剤師であるアシスタントへの薬剤師業務のタスクシフトに取り組んだ。調剤時の医薬品の取り揃えや医薬品発注業務、使用期限のチェック、製薬企業の販売移管に伴う情報の取りまとめなど様々な業務をアシスタントに担当してもらう体制を構築した上で、医師との連携強化を図った。
     定岡氏は「薬剤師の薬学的判断が必要とされる場面が多くあるからこそ、薬学的判断を伴わない単純作業はアシスタントの力を借り、必要な業務に薬剤師を配置する視点が重要ではないか」と強調した。
     有木寛子氏(宇野病院薬剤科)は、同院で以前から薬剤師が担ってきた各種業務を明文化する必要があるとして「タスクシフティングにおける薬剤師の代行業務に関する同意書」を作成したと語った。
     同意書には、投与設計や処方、検査に関する約20項目の代行業務を列記。医師からは「以下の項目について代行入力を行うことを許可します」としてサインをもらう。許可しない代行業務にはチェックを入れることができる。
     薬剤師が今まで行ってきた業務であるため、同意書の導入に多くの医師は異論を唱えなかった。新規入局医師への説明と同意を確実に行えるようになり、薬剤師が承諾を得ている業務が明瞭になったという。