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2021年5月号

  • 【厚労省】薬局認定関連の改正省令公布‐1年以上の継続勤務など要件

    厚生労働省は、医薬品医療機器等法の薬局認定制度に関連した施行規則を改正する省令を公布した。地域連携薬局や専門医療機関連携薬局の基準が示され、継続して1年以上勤務している薬剤師を半数以上とすることが要件とされた。地域連携薬局では地域の医療関係者に患者の薬剤使用情報を月平均30回以上報告・連絡を行った実績が必要となるが、認定のハードルが高いとの指摘も出ている。

    患者情報、月30回以上報告‐在宅は2回の実施求める
     改正省令では、入退院時の医療機関との情報連携や在宅医療に一元的・継続的に対応できる地域連携薬局について、薬局開設者が薬剤師に過去1年間地域包括ケアシステムの構築に資する会議に継続的に参加させ、半数以上が地域包括ケアシステムに関する研修を修了していることを求めた。
    また、認定申請もしくは認定更新申請の前月までの過去1年間で、薬剤師から病院薬剤師に対し、患者の薬剤使用情報を月平均30回以上報告・連絡するよう求めている。

     病院薬剤師への報告・連絡で実績に含まれるのは、▽利用者の入院に当たっての情報共有を行った実績▽医療機関からの退院に当たって情報共有を行った実績▽外来の利用者に情報共有を行った実績▽居宅等を訪問して情報提供や指導を行い、報告書を医療機関へ提出して情報共有を行った実績――となる。入退院時の情報共有が課題として挙げられる中、四つのいずれかのみを行うのではなく、満遍なく実施することが望ましいとした。

     報告・連絡した実績のうち、医療機関から行われる利用者の検査値のみの情報提供やお薬手帳への記載、薬剤師法で求められている疑義照会は情報共有の実績として含めない。一方で、薬剤師の服薬指導から得られた情報をもとに、処方医にとって薬剤の適正使用に必要な情報を取りまとめ、病院薬剤師に文書を用いて提供するなど、薬剤師の主体的な情報収集による報告・連絡は実績に該当するとした。

     在宅医療での実績については、居宅等の調剤、情報提供、薬学的知見に基づく指導を過去1年間で月平均2回以上実施するよう盛り込んだ。居宅等を訪問して指導を行った回数を実績として認め、複数の利用者が入居している施設を訪問した場合は、指導を行った人数に関わらず1回とすること、同一人物に対する同一日の訪問は訪問回数に関わらず1回とすることと定めた。

     癌に関する専門的な薬学管理で、他の医療機関と連携して対応できる専門医療機関連携薬局については、癌患者の治療方針を共有するために、認定申請の前月までの過去1年間で専門的な癌治療を提供する医療機関に対し、薬局で処方箋を応需している癌患者数の半数以上に関する情報の報告・連絡を行った実績を必要とした。

     また、厚労省の基準に適合した団体によって認定された薬剤師を配置し、1年以内ごとに癌に関連した専門的な薬学的知見に基づく調剤や指導に関する研修を計画的に受ける必要があるとした。地域の他の薬局に対しては、薬剤師が癌にかかる研修を定期的に実施することとした。

    間仕切りなど構造にも規定‐無菌製剤処理、要件を緩和
     薬局の構造設備にも規定を設けた。利用者が座って服薬指導などを受けることができるよう地域連携薬局では、間仕切りなどで区切られた相談窓口、専門医療機関連携薬局では個室を設け、相談内容が漏洩しないプライバシーに配慮した構造設備も求めた。

     そのほか、開店時間外の相談対応や休日・夜間の調剤応需体制、在庫として保管する医薬品を必要な場合に他の薬局に提供する体制、麻薬の調剤応需体制も求めた。

     無菌製剤処理の実施体制については要件のハードルを緩和した。自局、共同利用で無菌製剤処理を実施している薬局がごくわずかにとどまることから、「日常生活圏域に無菌製剤処理が可能な他の薬局が存在しない場合なども想定されるため、無菌製剤処理の調剤に限っては、適切な実施薬局を紹介することの対応でも差し支えない」とした。

     薬局開設者に対しては、地域連携薬局等であることや薬局の機能に関する説明を掲示するほか、薬局開設者の氏名などを変更した場合は30日以内に認定証を交付した都道府県知事に届け出を提出するよう求めた。

     日本薬剤師会では、地域包括ケアシステムが概ね30分以内に必要なサービスを提供される日常生活圏域(中学校区)を単位として想定されていることから、地域連携薬局については中学校区に1〜2薬局として1万5000軒を当面の目標としている。また、専門医療機関連携薬局は、癌医療の想定区域である2次医療圏が現在約350であることから、各医療圏に2薬局以上として800軒を目標とする。

    地域薬局には高いハードル‐健サポの形骸化も懸念
     地域連携薬局で薬局から医療機関に月平均30回以上の報告・連絡を行った実績を要件化したことをめぐり、現場からは様々な反応が見られた。厚労省の説明では、薬局薬剤師として1日当たり1回の報告・連絡を実施した場合に達成できる数字を根拠に“月平均30回以上”と設定している。

     日薬の田尻泰典副会長は2月の定例会見で「順当なハードルだと思っている」との認識を示した。「(認定取得のために)最終的にはある程度の数字が必要になるが、数字が必要だからといってハードルを加減することはあってはならない」と述べた。

     一方、東京都薬剤師会の永田泰造会長は、「地域薬局にとってハードルが高い」とした上で、「医療機関に必要ない文書でも、報告すれば地域連携の証とするのはおかしい」と、報告件数に基づいた実績を認定要件としたことに疑義を示した。

     一方、1年以上継続して勤務している薬剤師を半数以上配置するとの要件については、「5〜10年見ないと地域の現状は分からない。1年以上の勤務とこんなに短くていいのか」と疑問視。長年にわたって地域住民と顔の見える関係を築いてきた薬局が、要件を満たしていないとの理由で地域連携薬局の資格を失うことに懸念を示した。

     そのほか、健康サポート薬局と地域連携薬局の機能の違いが理解されておらず、地域連携薬局の認定取得を目指す薬局が増えることで、届け出件数が伸び悩んでいる健康サポート薬局が形骸化するのではないかとの指摘も出ている。地域住民のニーズを理解し、かかりつけ薬局・薬剤師機能と健康サポート機能の充実・強化を図っていくことが今後の課題となる。

  • コロナ対応で職能発揮‐現場薬剤師から事例報告(日本薬学会年会シンポジウム)

    新型コロナウイルス感染症の治療や拡大防止に関わってきた病院や薬局の薬剤師が、オンラインで開かれた日本薬学会年会のシンポジウムで取り組みを紹介した。薬剤師は毎日の院内カンファレンスに参加して意見を述べたり、院内の手指消毒薬の確保に努めていることが報告されたほか、オンラインで医師の訪問診療に同行している薬局の事例が示された。

     愛知医科大学病院感染制御部で専従薬剤師として働く塩田有史氏は、新型コロナウイルス感染症に対して薬剤師には幅広い役割が求められると指摘。具体的には、▽薬剤の入手や管理▽患者のモニタリングや服薬指導▽院内感染対策の推進▽薬の情報収集や薬剤使用の手続き▽医薬品の適正使用▽有効性と安全性のモニタリング――など様々な場面への関与が必要になると語った。

     その一つとして、同院では高度救命救急センターのEICUやHCUで受け入れた新型コロナウイルス感染症患者の治療方針を多職種で毎日話し合うカンファレンスに、病棟担当薬剤師と抗菌薬適正使用支援チームの薬剤師が参加。薬学的知見から薬剤師の見解を他の職種に伝えている。

     四日市羽津医療センター薬剤部の片山歳也氏は、昨春以降手指消毒薬の入荷が不安定になったため、対応を迫られたと振り返った。院内製剤で高濃度エタノールにグリセリンを添加したものを調製したり、消毒薬の採用品目を増やして急場をしのいだという。

     片山氏は「大きな施設に消毒薬の納品が偏っていることもあるため、ある程度採用品目数を増やし、欠品を起こさないようにする工夫が必要」と呼びかけた。

     このみ薬局大曽根店の瀧藤重道氏は、新型コロナウイルス感染の拡大を防ぎつつ、高齢者施設の在宅医療に薬剤師として深く関わるための工夫を紹介した。

     同薬局では以前から、近隣にある高齢者施設の在宅医療を担当。医師の訪問診療に同行し、医師や施設の看護師と一緒に入居者に話を聞いたり、薬物療法の課題や解決策を話し合い、個々の患者に応じた最適な医療の提供に努めてきた。

     新型コロナウイルス流行後は、入居者に接する医療従事者の数を減らすため、訪問診療への同行を中止したが、医師から「薬剤師に相談したいので、いなくなると困る」との声を受け、対策を考案。医師の訪問診療時、薬局から提供したスマートフォンを施設の看護師の首から下げてもらい、スマホで撮影した映像を薬局内で見たり、医師や看護師、患者と話せる体制を確立した。この方法を活用し、以前と同様の役割を果たしているという。

    コロナ治療は併用療法で‐愛知医大 三鴨氏
     シンポジウムでは、感染症専門医の三鴨廣繁氏(愛知医大病院感染症科教授)が新型コロナウイルス感染症治療薬のポイントを解説し、「現時点では単剤療法は懐疑的。併用療法が望ましい」と強調した。

     新型コロナウイルス感染症の治療薬は、ウイルス増殖を抑える抗ウイルス薬と、重症化により生じるサイトカインストームや急性呼吸窮迫症候群を改善する薬に大別される。承認を取得した薬は少なく、多くは未承認使用になる。

     三鴨氏は、同院での抗ウイルス薬使用の基本的な考え方として、▽軽症にはイベルメクチンにカモスタットの併用を検討▽中等症にはファビピラビルまたはレムデシビルを使用し、イベルメクチンの併用を検討▽重症にはレムデシビルとイベルメクチンを併用――との使い分けを提示。患者の状況に応じて「これにさらにプラスアルファする場合が多々ある」と語った。

     流行以降、世界各地で各薬剤の有効性や安全性の検証が進められているが、結果は多様だ。相反する結論になる場合もあるため、三鴨氏は「治療にはジレンマがある」と医師の心情を語った。