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2022年1月号

  • 出荷停止品同成分規格、約9割で十分な供給‐不足品は優先的に増産依頼(厚生労働省)

     厚生労働省は10日、出荷停止状態の後発品と代替品を含めた同一成分・同一規格の324成分規格について、供給不正事案発生前後での流通量を比較した調査結果を公表し、全体の86%で事案前の供給量を上回っていたことが明らかになった。供給量が十分なものは年内をメドに出荷調整を解除させる一方、供給量が不足しているものは引き続き出荷調整を依頼するほか、優先的に増産するよう求める方針。
     後発品の供給不足問題を踏まえ、厚労省は需給バランスの把握を目的とした調査を実施。10月1日時点で出荷停止している559品目とその代替薬を含めた同一成分・同一規格の324成分規格(約4800品目)について、一部後発品メーカーの不正事案による影響を受ける前の昨年9月と今年9月の卸から医療機関・薬局に実際に卸された流通量を比べた。
     その結果、供給量が昨年9月よりも5%以上増加した成分・規格は、「アセトアミノフェン錠200mg」「オランザピン錠10mg」などで全体の86%を占めた。
     一方、供給量が20%以上減少したのは「イトラコナゾール錠200」「プランルカスト錠112.5mg」などで全体の14%となった。
     調査結果を踏まえ、厚労省は当面の対策として、供給量が増加したものについては、供給量が十分な水準にある医薬品のリストを提示し、医療関係者に周知する。その上で、日本製薬団体連合会を通じ、年内をメドにこれら品目の製造販売業者全社に出荷調整の解除を依頼するとした。
     ただ、品目ごとの供給量も把握する必要があるとして、日薬連にこれらをウェブサイトで医療機関等に情報提供するよう求めた。
     供給量が不足しているものに関しては、供給が不足している医薬品のリストを厚労省が提示し、関係学会と代替薬への処方変更、優先的に供給すべき患者について調整した上で周知する。製造販売業者と卸売業者に対しては、これら医薬品の出荷調整に関する協力を引き続き依頼する。
     日薬連を通じて優先的にこれら品目を増産するよう依頼し、必要に応じて厚労省が製造販売業者に個別に求めるとした。
     一方、日々変化する供給状況に対応するため、今後は業界団体で定期的に供給実態を把握する調査を行った上で、厚労省に報告するよう求めた。調査結果は、厚労省が医療関係者等に周知する。
     安藤公一医政局経済課長は、「マクロで見ると意外に供給量があったと感じるが、品目ベースで見ると凸凹があってどうしても不足するとの話もある」との認識を示した。
     今後の対応方針については、「後発品のビジネスモデルなど、問題の本質にメスを入れないと同様の問題が起きかねないが、もう少し検証が必要になる。調査結果に対する世間の反応を踏まえ、業界団体と一緒に改善していきたい」と話している。

  • 小児在宅で多職種連携‐入院・退院後に情報共有(埼玉県薬剤師会)

     埼玉県薬剤師会は、小児在宅医療の薬物療法で薬剤師が多職種連携に参画する仕組み作りを進めている。埼玉県で多用されている多職種連携ツールに薬局薬剤師や病院薬剤師、病院の医師に参加を促し、入院中や退院後、在宅現場での様子、入院前の情報について共有するなど小児在宅医療における医療機関と薬局間連携体制の構築を目指す。入間郡毛呂山町にある埼玉医科大学病院と周辺薬局をモデル地区に選定し、次年度には県内全域に横展開していきたい考えだ。
     小児患者は長期にわたって在宅医療の対応が必要になり、入退院を繰り返す例が多く、入院中の情報や退院後の対応、入院までの情報提供などについて病院薬剤部と薬局薬剤師の薬薬連携を含む情報共有体制を構築する必要性が指摘されている。厚生労働省は今年度の予算で「成育医療分野における薬物療法等にかかる連携体制構築推進事業」を実施しており、10都県の薬剤師会を採択。埼玉県薬はその採択事業者の一つとなっている。
     埼玉県薬は医療機関と薬局間の連携体制の構築に向け、多職種連携ツールとしてエンブレースが開発した完全非公開型医療介護専用SNS「メディカルケアステーション」(MCS)を活用する。MCSを導入して薬局薬剤師や病院薬剤師、医師が患者の入院中や退院後、在宅現場での様子、入院前の情報を多職種で共有し、薬局薬剤師は小児在宅訪問を実施。その後、MCS導入後に連携の取りやすさや、患児の保護者から在宅訪問に対する満足度などをアンケート調査から聴取し、効果の検証を行う予定だ。医師や病院薬剤師だけではなく、訪問看護師や訪問医師の情報も共有できるようにする。
     モデル地区としては、小児在宅医療で連携実績のある埼玉医大病院と周辺薬局、訪問看護がMCSに参加。来年度以降はMCSに参加する医療機関を増やし、県内の他地域に横展開していく。小児科領域だけではなく他の疾患領域でも在宅医療で多職種連携の仕組みを広げる構想もある。
     小児在宅医療に対応できる薬剤師の育成にも着手する。来年2月には県内の薬剤師向けに研修会をウェブ形式で開催する予定。小児在宅医療を実施する医師、臨床薬学部門と小児医薬品評価学を専門とする薬剤師、小児在宅医療に関わる薬局薬剤師が講演する。
     埼玉県薬は2012年から薬の管理ができない高齢者をサポートする目的で、在宅医療に関するステップアップ講習会を開催。在宅薬学管理の基礎から応用、無菌調剤の手技研修、麻薬の副反応や看取りなどの緩和ケアの普及とスキルアップに努めてきたが、今年度からは小児在宅医療の研修を行い、在宅医療の手技についても広げていく。
     一方で課題も山積している。医療的ケア児の在宅医療は母親が24時間寄り添ってケアを行うなど医療体制が不足している。畑中典子副会長は、「薬剤師よりも患児の母親の方が知識を持っているのが現状。子供の薬学的管理は確立されていない。薬剤師が小児在宅医療での知識や経験を身に付けることで、頑張っているお母さんの負担を少しでも減らすことができる」と保護者支援が薬剤師にとって重要な役割と説明する。
     在宅医療に対する調剤報酬上の評価が低いことも課題だ。小児に対する薬物療法は約7割が適応外使用で、小児用医薬品がないために薬局で成人用のカプセル剤を粉砕して粉剤にしたりするのに多くの手間がかかる。池田里江子常務理事は「1日がかりで調剤をしないといけないこともある。在宅患者調剤加算の処方箋受付1回につき15点は低すぎるのではないか」と訴える。
     抗精神病薬など処方箋にはない保険適応外の薬物療法が突然開始される事例も多くあり、「処方箋にはない薬物療法が始まった場合に薬剤師が情報共有できる仕組みも必要」との考えを示す。