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2023年12月号
【調査】後発品供給不安改善せず‐昨年度から「悪化」が57%(厚生労働省)
情報提供元:薬事日報社
患者拒否の経験増える
後発品の供給体制が1年前と比べて悪化した薬局は57.1%と昨年度調査とほぼ同じ割合となっていることが、厚生労働省が実施した2023年度「後発品の使用促進策の影響および実施状況調査」で明らかになった。患者が後発品を希望しないことがあるかを尋ねたところ、「ある」が98.5%を占め、後発品を希望しない理由では「後発品に対する不信感があるから」が約3割と最多となった。一般名処方を応需した薬局が備蓄を理由に後発品を調剤しなかった事例も増えているようだ。日本医師会や日本保険薬局協会が実施した調査と同様に、後発品の安定供給が厳しい状況にあることが浮き彫りになった格好だ。
調査は、薬局や一般・歯科診療所の施設、病院医師、患者を対象に後発品の状況把握を目的に実施したもの。6月時点における薬局の後発品調剤割合を見ると「90%以上」が33.3%と最も多かった。平均値は昨年8〜10月が82.5%で、今年6月が83.9%と1.4ポイント増加した。
ただ、各薬局で後発品を確保するのが厳しい状況にあるようだ。1年前と比較して一般名処方を応需した割合が増えた薬局は37.1%だった一方、一般名処方が行われた医薬品について、後発品を調剤しなかったことがある薬局は91.3%となった。
一般名処方が行われた医薬品について、後発品を調剤しなかった理由を尋ねたところ、「患者の意向」が53.4%、「保険薬局の備蓄」が30.2%、「後発品なし」が10.5%となった。一般名処方が行われた医薬品について、後発品を調剤しなかった場合の理由の変化を1年前と比べた結果、「患者の意向」を理由としたものは「増えた」が19.9%、「保険薬局の備蓄」で増えたのは47.4%となった。
1年前と比べた調剤医薬品の備蓄品目数の変化について尋ねたところ、先発品の備蓄品目数が増加した薬局が34%、後発品の備蓄品目数が増加した薬局が44.6%となった。一般名処方が行われた医薬品について、後発品を調剤しなかった場合の理由は患者の意向が減少し、保険薬局の備蓄の割合が増加した。
患者調査では、「できれば後発品を使いたい」との回答は38.9%であり、医薬品の供給が不安定の中、患者の後発品使用に関する考えは昨年度調査と同程度だった。「かかりつけ薬剤師」微増‐リフィル発行理由で(厚生労働省)
情報提供元:薬事日報社
厚生労働省は10日、リフィル処方箋の実施状況を調査した2023年度の報告書をまとめ、公表した。「どのような患者にリフィル処方箋を発行しているか」を聞いたところ、病院では「自施設と連携する薬局にかかりつけ薬剤師がいる患者」が11.3%、診療所では12.1%だったことが分かった。
前年度調査では病院で5.6%、診療所で9.0%が理由として挙げられており、その割合がわずかに増加した。保険薬局を対象とした調査でリフィル処方箋の受付経験を聞いたところ、かかりつけ薬剤師指導料、かかりつけ薬剤師包括管理料の施設基準の届出がある薬局では「受け付けたことがある」が68.1%となり、届出がない薬局の53.6%を10ポイント以上上回った。
22年度診療報酬改定でリフィル処方箋が導入され、今回の調査で影響などについて検証した。3回を上限に処方箋を反復利用することが認められているが、薬局を対象にリフィル処方箋がリフィルの上限まで使用されなかった理由を尋ねたところ、昨年10〜12月までに5件以上のリフィル処方箋の受付実績がある薬局では「患者が別の薬局で処方を受けることになったから」が最も多く、36.0%だった。
薬剤師が受診勧奨をした理由は「患者の症状の変化に気付いたから」が最も多く、リフィル処方箋の受付実績がある薬局で60.0%となった。
1枚のリフィル処方箋の処方の途中で薬局が変わった経験は、リフィル処方箋の受付実績がある薬局では「ある」が47.5%、「ない」が38.0%、「不明」が12.5%となった。昨年10〜12月で5件以上のリフィル処方箋の受付実績がない薬局では「ある」が25.0%だった。
リフィル処方箋の患者に関して、医療機関に服薬指導提供書(トレーシングレポート)を提供した経験については、リフィル処方箋の受付実績がある薬局では「ある」が24.3%で、情報の内容は「患者の服薬状況」が最も多く94.6%となった。