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2024年1月号
薬局に適正販売再要請‐一般薬の過量服薬受け(厚生労働省)
情報提供元:薬事日報社
厚生労働省は19日、若年者の一般用医薬品の過量服薬、いわゆる“オーバードーズ”による健康被害が相次いでいることを受け、一般用医薬品の適正販売・使用を改めて求める通知を都道府県向けに発出した。適正販売に向け、特に若年者への販売時には必要な情報提供や使用者、使用目的などの確認を行うことや、医薬品への依存が疑われる場合の副作用報告の仕方などについて、医療関係者に対する周知を求めた。
厚労省は、本来の用途から逸脱した一般用医薬品の不適正使用によって健康を損なう事例が発生していることについて「憂慮すべき」と懸念を示し、適正に販売・使用するよう改めて医療機関や薬局等に通知した。
一般用医薬品の適正販売に向け、特に若年者においては使用者や使用目的などを十分に確認した上で販売することのほか、購入者の依存が疑われる場合において、薬剤師または登録販売者は購入者に対して必要な情報提供や確認を行うなど、適切に対応することを呼びかけた。
副作用報告の実施については、医師が一般用医薬品の服用による依存と診断した事例に限らず、一般用医薬品の服用を止めようとしても止めることができない事例を把握した時は、薬剤師や登録販売者含む医薬関係者が副作用報告を行うこととした。
報告を行う際は、昨年3月に発出された報告の実施要領に関する通知に基づき、「副作用等の名称または症状、異常所見」の項目に「薬物依存」または「薬物依存の疑い」と記載するよう求めた。
そのほか、一般医薬品の濫用に悩む人やその家族、学校教育関係者などから相談があった場合は、都道府県薬務課や精神保健福祉センターに設けられた相談窓口につなぐ対応を取ることや乱用防止の啓発ポスターを店舗に掲示することも求めた。病院薬剤師の賃上げに対応‐診療報酬本体0.88%引き上げ(厚生労働省)
情報提供元:薬事日報社
鈴木俊一財務相と武見敬三厚生労働相は20日、2024年度予算案の大臣折衝を行い、診療報酬改定率について医療の技術料に当たる「本体」を0.88%(国費800億円程度)引き上げることで合意した。このうち0.61%を病院薬剤師などの医療関係職種に対する賃上げ措置分、0.06%を入院時の食費基準額引き上げで対応する一方、生活習慣病を中心とした管理料、処方箋料等の再編等の効率化・適正化として0.25%の引き下げ財源を捻出。実質0.46%増と前回22年改定と同水準だった。0.46%分の各科改定率の内訳は医科0.52%増、歯科0.57%増、調剤0.16%増で、技術料に基づく各科の配分比率は「1:1.1:0.3」を維持した。
長期品「4分の1」で決着
診療報酬の本体部分はプラス0.88%だが、平均乖離率を踏まえて実施される通常の薬価改定で0.97%(国費1200億円程度)、材料価格改定で0.02%(国費20億円程度)引き下げるため、診療報酬全体では0.12%のマイナス改定となる。0.94%減となった前回改定からはマイナス幅が大幅に縮小した。
薬価0.97%引き下げの内訳を見ると、革新的医薬品の薬価維持や有用性系評価の充実などの対応、約2000品目を対象とした不採算品再算定の特例的対応に充てる。
今回は各医療職の賃上げにも対応した改定となった。実質0.46%増のうち、40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師・薬局の勤務薬剤師、事務職員、歯科技工所等で従事する人の賃上げに資する措置分として0.28%が含まれ、その賃上げ分を除くとプラス0.18%となる。
病院薬剤師の賃上げにも対応し、コメディカルに対する賃上げの特例的対応として0.61%増分を充てる。24年度にベースアップ2.5%、25年度に2.0%を確実に実施できるよう各職種への配分方法を工夫する。今回の改定による医療従事者の賃上げの状況、食費を含む物価の動向、経営状況等について実態を把握する。
長期収載品の選定療養は来年10月に導入する。後発品の上市後5年以上経過したもの、または後発品の置き換え率50%以上になった長期収載品を対象に、後発品の最高価格帯との価格差の4分の3までを保険給付の対象(患者負担は4分の1以下)とすることで決着した。
長期収載品の選定療養を導入した場合の財政効果は来年度に180億円、25年度に420億円程度を見込んでいる。
また、▽調剤基本料の適正化▽医療DX推進による医療情報の有効活用等――については、中央社会保険医療協議会での議論を踏まえ、改革を進めていく。
武見氏は大臣折衝後の記者会見で、医療・介護職種の賃上げに対応したトリプル改定について「大変厳しい交渉だったが、医療でプラス0.88%となった。関係職員の賃上げを実現できる水準を確保できたと考えており、賃上げや処遇改善につながる仕組みの構築に向けて関係審議会で具体的な議論を進めていきたい」と評価した。
長期収載品の選定療養導入については「これから考えていかなくてはならない課題。公的保険でできる限りカバーしつつ、患者自身で負担しながら新しい医薬品にアクセスするためのやり方をこれから考えていくことが必要になる。選定療養はそのごく一部であり、全体を見直す必要があることから導入を決めた」と説明した。