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2024年10月号

  • 電子処方箋45%が運用開始‐小規模薬局は3割台(厚生労働省)

    情報提供元:薬事日報社

     厚生労働省は11日の電子処方箋推進会議で、電子処方箋を運用開始した薬局が1日現在で全体の約45%であることを公表した。一方、病院や医科診療所等では5%を下回ったが、今年度末までに概ね全ての医療機関・薬局で導入完了する目標について「維持した上で、高い目標に向かって進んでいく」との考えを示した。

     全国の医療機関・薬局における電子処方箋の普及状況は、3万0609施設(14.6%)で運用開始済み。内訳は、薬局が2万6661施設(44.6%)となった一方、病院153施設(1.9%)、医科診療所3645施設(4.5%)、歯科診療所150施設(0.3%)にとどまった。薬局の規模別では、店舗数300以上で導入率57.5%、店舗数299〜100で57.6%だったが、店舗数4以下では30%台にとどまった。

     厚労省は、2025年3月末までに概ね全ての医療機関・薬局への導入を目標としているが、「店舗数が少ない薬局でも3分の1以上が運用開始済みで、仮に足下の導入実績が継続すると、年度内にほぼ全ての薬局への導入が見込まれる」と見通した。

     田中千尋構成員(日本薬剤師会常務理事)は「情報コードの整合、データの修正や確認作業など、薬局での手間が増加し、五月雨式に追加費用が発生して毎月維持費が出ている」と指摘。診療報酬上の手当も検討するよう求めた。

     関口周吉構成員(日本チェーンドラッグストア協会業務執行理事)も「特に在宅患者における調剤後登録に非常に手間がかかり、在宅医療の非効率性に拍車をかけているため、これに対する評価も検討してほしい」と訴えた。

  • 非薬剤師に測定業務移管‐業務時間を4時間半短縮(山形大学病院薬剤部)

    情報提供元:薬事日報社

     薬物血中濃度測定(TDM)業務を病棟薬剤師から非薬剤師にタスクシフトした結果、タスクシフト前後の測定件数はほぼ変わらず、薬剤師業務時間は1日当たり4時間半削減されたことが、山形大学医学部附属病院薬剤部の研究で明らかになった。今後、測定者で結果に差が生じないTDM業務を非薬剤師にタスクシフトしていく方針。

     同院薬剤部では、抗癌剤調製作業について薬剤部で看護師を採用し、業務移管を進める計画も打ち出す。これまで同様、薬剤師確保に取り組むと共に、非薬剤師へのタスクシフトを通じて、薬剤師は病棟やチーム医療でプレゼンスを発揮できるよう環境を整備する。

     薬剤師の業務が薬剤部内での調剤、医薬品管理業務などの対物業務から、病棟での処方提案、副作用マネジメントなどの対人業務にシフトする中、対物業務における薬剤師の業務負担軽減を目的とした非薬剤師の活用が進んでいる。同院薬剤部は薬剤師32人で、調剤助手は10人程度採用しており、ピッキングや注射剤の取り揃えなどの業務を担ってきた。

     同院薬剤部が担っていたTDM業務に非薬剤師を活用する試みを始めた。薬物血中濃度測定は月に多ければ約600件に上り、病棟薬剤師の業務量増大にもつながっていた。

     実際、薬物血中濃度測定で汎用される免疫学的測定法は、多くの薬物を簡便に測定可能で技術的な測定誤差が生じにくく、非薬剤師の活用が可能と判断。昨年7月からTDMを非薬剤師の業務とし、担当助手1人を配置して薬剤師は測定値の確認、投与設計を行うことにした。

     TDM業務のタスクシフトを本格的に開始するに当たり、非薬剤師への薬物血中濃度測定業務の移行による測定精度の変化や、薬剤師の業務時間削減効果を検証した。測定対象は、昨年6月に血中濃度測定依頼があった検体で、測定薬物はカルバマゼピン、シクロスポリン、ジゴキシン、ゲンタマイシン、リチウム、タクロリムスなど13種類233検体。

     その結果、薬剤師と非薬剤師の測定値に大きな差は見られず、測定精度への大きな影響は見られなかった。古野電気のCA-90を用いたタクロリムスの測定値は薬剤師と非薬剤師の差が比較的大きく、同院薬剤部は「測定法の問題と考えられた」と分析している。

     タスクシフト前後の薬剤師業務時間と測定件数の変化を見ると、これまでは薬剤師による測定業務で1日5〜6時間必要となっていたが、4時間半削減された。

     同院の山口浩明薬剤部長は「免疫学的測定法によるTDM業務の非薬剤師への移行は、測定精度に大きな影響を与えずに薬剤師の業務時間を削減できる」との意義を説明する。注意した点としては「医療従事者ではない人を測定業務に活用するので人選には気を遣い、薬剤師が側にいて研修を行った」と話す。

     今後、薬剤師が測定値の確認、投与設計を行うことを前提に、多くの薬物を簡便に測定可能な免疫学的測定法など「誰がやっても結果が変わらない測定業務は非薬剤師に任せていきたい」との意向を示す。

     DI室での入力補助や麻薬の書類入力など事務作業でのタスクシフトのほか、抗癌剤の調製も看護師の活用を検討していく。薬剤部で看護師を採用し、人材の有効活用を図る考えだ。

     山口氏は「薬剤部には抗癌剤の調製ロボットが入っており、アイソレータで作業者の被曝防止も図られている。看護師であれば研修をすれば十分に対応が可能」と話す。

     その上で、「地域医療を考える上で薬剤師が入っていかなければならない。目指す専門資格領域が関わる病棟の担当者になったり、病棟活動やチーム医療に参画できるようにしたい」と話す。