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2024年12月号

  • 薬局でRMP資材活用進む‐患者向けの内容に課題も

    情報提供元:薬事日報社

    製薬協はMR向け施策
     医薬品の適正使用推進や副作用などのリスク最小化に向け、薬局現場でも医療従事者・患者向け資材の活用が進んできた。6月の調剤報酬改定で医薬品リスク管理計画(RMP)の資材を活用して薬剤師が患者に説明を行った場合、報酬上の評価が新設されたことを契機に薬局から製薬企業にRMP資材の要望が増えている。一方で、患者向け資材がない医薬品が全体の8割を占め、資材があってもポイントが絞り切れておらず分かりづらいとの声もある。MRから薬局にRMP資材の紹介が不十分との声もあり、日本製薬工業協会ではMRの行動に変化を起こすための施策など検討していく方針だ。

     医師・薬剤師から患者に対する医薬品のリスク最小化活動では、通常は添付文書による情報提供が行われるが、資材による情報提供が必要と判断される医薬品についてはRMP資材を作成し、患者への説明に活用することとなっている。

     RMPの活用は病院に比べて薬局で低いのが課題だったが、RMP資材を活用した説明が報酬上で評価されることにより、薬局現場に変化が生じている。ネクスウェイが薬剤師向けに実施した調査によると、RMPを認知し、RMP資材を活用している施設は全体の約7割に上った。

     回答者の約8割が薬局勤務で、活用施設におけるRMP資材活用のきっかけについて7割超が調剤報酬改定を挙げた。リスク最小化につながった事例は、「妊娠の可能性がある場合の注意喚起に、より詳しい説明も書いてあるため、口頭で伝えるだけでなく、デリケートな内容のため文章にされている方が伝えやすかった」などが報告されている。

     ただ、RMP資材で記載されている内容は患者視点で見ると十分とは言えないようだ。製薬協によると、患者からは「読む気がしない」「どれが大事な情報か分かりにくい」などの声が薬剤師に届いているという。

     製薬協は、RMP資材で今後改善すべき点として「よりRMP資材で伝えるべきリスクを簡潔に伝えること」とし、ポイントを明示した資材を挙げた。また、薬局での現状の活用方法を踏まえ、「今の提供方法が最適か見直す必要がある」と問題提起した。

     様々な処方箋を応需する薬局では、患者の来局時にその場でRMP資材があるかを確認し、急いで印刷して説明している状況にある。医薬品医療機器総合機構(PMDA)のウェブサイトに掲載されているRMP資材は、必ずしも現場での印刷を想定した形で掲載されていない。

     今後、製薬協は、調剤薬局におけるRMP資材の活用方法に関してインタビュー調査で確認し、実態に合わせた資材のあり方を提案していく。RMP資材がリスク最小化に寄与しているかの効果検証事例が限定的なため、効果検証を行うと共に、医療現場に資材を提供するMRの行動に変化を起こすための施策、患者の視点を入れた資材の作成に力を入れる方向だ。

     デジタルを活用した医療従事者、患者向け資材の情報提供も始まっている。くすりの適正使用協議会(RAD-AR)は、2022年に製薬企業が作成している患者向け資材を「くすりのしおり」に連携した情報提供プラットフォームサイト「くすりのしおりミルシルサイト」を構築した。

     月当たり数百万の閲覧数を誇り、その大半は患者。くすりのしおりを作成している製薬企業の約4割に相当する74社が利用する。4月には患者向け資材を搭載した最初の薬歴管理サービスもスタートした。

     俵木登美子理事長は、「くすりのしおりの約5枚に1枚しか患者向け資材が載っていない」と問題認識を示し、「多くの企業がくすりのしおりに患者向け資材を載せれば、患者さんに資材を届けられる」と語る。

     デジタルによる情報提供の有用性については、「薬剤師によるオンライン服薬指導や、薬局店頭でもタブレットを使用して説明する場合もある。紙媒体では分かりづらい吸入剤の服薬方法などの動画コンテンツを作っている企業もあり、役立てられるのではないか」と話している。

  • 【日病薬中四国ブロック会議】動き出す薬剤師出向計画‐アウトカム意識が重要に

    情報提供元:薬事日報社

     日本病院薬剤師会中国四国ブロック会長会議が15日に岡山市内で開かれ、基幹病院から地域病院への薬剤師出向について、未実施の鳥取、島根、香川、徳島、愛媛の各県でも具体的な計画が進んでいることが示された。各県で、出向する地域や病院、細部の環境整備などを協議しており、今年度内や来年度初頭から出向が始まる見通しだ。

     薬剤師出向等の要件を満たすと基幹病院は薬剤業務向上加算を算定でき、大きな収入を得られる。それを原資に同ブロックの二つの大学病院では、薬剤師を増員できたり、今後の増員が認められたりするなど、薬剤部活性化につながる見込みがあるという。

     日病薬の武田泰生会長は、薬剤業務向上加算は「アウトカムが必要ということを忘れないでほしい」と述べ、アウトカムが伴わなければ廃止の可能性もあると言及。

     基幹病院での薬剤師教育体制整備や医療の質向上、地域病院での業務拡充などアウトカムを意識して取り組むよう求めた。

     このほか、鳥取県病院薬剤師会の森田俊博会長(日野病院薬剤部長)は、医薬品の供給不足が続く中、現在は法律で禁じられている病院間や病院と薬局間での医薬品融通を可能とする法規制の整備を要請した。

     森田氏は「処方箋応需薬局には在庫がなくても、院内には在庫があったりする。しかし、薬局には出せず、処方変更等で対応することになる」と語った。

     武田氏は「高額な抗癌剤の在庫の影響で倒産した薬局がある。病院から一時的に貸すなど、医薬品をやりとりできれば効果的だが、実際には法律でできない。患者さんのメリットになるとなれば、行政に話はしやすい」と応じた。

     一方、薬剤師確保に向けて各県病薬の会長から、薬学生への求人活動の開始時期を病院と薬局で揃えるよう求める声が上がった。

     多くの病院が6年生を対象に求人活動を行っているのに対し、大手を中心に薬局やドラッグストアは早期から求人活動に取り組み、薬学生がそこでの就職を決める傾向があると指摘した。