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2024年7月号

  • 【厚労科研報告書】在宅実施薬局は届出の6割‐訪問指導増加も応需と差

    情報提供元:薬事日報社

     在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定を届け出ている薬局のうち、実際に指導等を行っていたのは約6割にとどまることが、2023年度厚生労働科学研究「地域の実情に応じた在宅医療提供体制構築のための研究」(研究代表者:田宮菜奈子筑波大学医学医療系ヘルスサービス開発研究センター長)で明らかになった。訪問薬剤管理指導等を受けている患者数は増加傾向である一方、算定を届け出ている薬局数と実際に応需している薬局数の差がレセプトデータから判明した。研究班は、今後届出と応需の差が生じる要因を検討する必要性を指摘している。

     高齢化と在宅医療需要の高まりの中で、薬剤師による訪問薬剤管理指導(医療保険)や居宅療養管理指導(介護保険)の重要性が指摘されているが、訪問薬剤管理指導等を受けている患者の特徴や実施している薬局の実態は明らかになっていないのが現状だ。

     そこで研究班は、自治体の医療介護レセプトデータベースを用いて、在宅における訪問薬剤管理指導等を受けている患者の人数や、特徴、薬局の実態を調べた。

     茨城県つくば市の国民健康保険・後期高齢者医療制度の医療・介護保険レセプトデータを用いて、14〜18年度に訪問薬剤管理指導等を受けていた患者を対象に研究を実施した結果、訪問薬剤管理指導等を受けた患者は18年度で14年度と比べて1.5倍であり、年齢や要介護度で調整を行うと18年度は14年度の1.7倍と増加していた。

     ただ、届け出ている薬局のうち、実際に各年度で訪問薬剤管理指導等を行っていたのは14年度が48.3%、15年度が61.8%、16年度が63.2%、17年度が58.5%、18年度が55.4%となった。

     14〜18年度までの5年間で1度でも訪問薬剤管理指導を行った薬局を尋ねると、18年度では約77%と各年度の結果よりも実施率が上がっていた。

     訪問薬剤管理指導等を受けた患者のうち65歳以上が90%前後を占め、障害高齢者自立度A1〜A2、認知症高齢者IIb〜IIIaがそれぞれ50%前後を占めていた。有料老人ホーム・グループホーム入居者は全体の40〜50%だった。

     研究班は、届け出ている薬局と応需している薬局の差が生じる理由について、「訪問薬剤管理指導等への需要に対して届け出ている薬局数に余裕がある可能性もあり、需要があっても何らかの理由で訪問薬剤管理指導等が行えていない薬局が存在している可能性もある」と指摘した。

     訪問薬剤管理指導等が行えない理由としては、設備的問題による無菌調整の実施や、人員的問題で夜間・休日対応や往診同行、退院時カンファレンス参加、居宅介護サービス担当者会議への参加が難しいとの要因を挙げた。

     そのほか、研究班は、各薬局における薬剤師の経験や知識、薬局に対する他施設からの認知度の問題なども関連している可能性や、ケアプランへの訪問薬剤管理指導導入の有無、訪問診療の有無も関連しているとした。

     今回の結果から、研究班は「どのような要因で届け出ている薬局の数と実際に行っている薬局の数の差が生じているか、今後検討する必要性が示唆された」としている。

  • 【中医協分科会】賃上げ実施状況把握へ‐病院薬剤師確保も調査

    情報提供元:薬事日報社

     中央社会保険医療協議会の診療報酬調査専門組織入院・外来医療等の調査・評価分科会は14日、2024年度診療報酬改定の答申書附帯意見を踏まえ、医療機関等における賃上げが適切に実施されているか状況を把握するための調査・検証を行うことを了承した。

     24年度改定は診療報酬本体で0.88%のプラス改定となったが、そのうち看護職員、病院薬剤師その他の医療関係職種について24年度にベースアップ2.5%、25年度に2.0%増を実施していくための特例的対応として0.61%を引き上げることとなった。外来医療・在宅医療を実施している医療機関に対し、外来・在宅ベースアップ評価料が新設され、病院や有床診療所については入院ベースアップ評価料が新設された。

     今回の調査では、ベースアップ評価料の新設や初再診料、入院基本料等の引き上げが賃上げに反映されているかを検証する。医療機関では看護職員や病院薬剤師等の医療関係職種の賃上げ状況をベースアップ評価料の賃金改善計画書・賃金改善実績報告書等により把握する。

     一方、40歳未満の薬局薬剤師も賃上げ対象となったが、薬局に対する調査については「職能・関係団体とも連携しつつ別途、把握する」とした。

     山本修一分科会長代理(地域医療機能推進機構理事長)は「病院薬剤師の不足は深刻な問題で、診療報酬では対応してもらっているが、残念ながら実効性が上がっていない。病院薬剤師確保にどうつながっているか調査項目に入れていただきたい」と主張した。

     これに対して、厚労省は「病院薬剤師不足についてデータが取れるよう調査設計したい」と応じた。