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2024年9月号

  • 初の地域版手順書を作成‐多剤併用対策推進へ(厚生労働省)

    情報提供元:薬事日報社

     厚生労働省は、「地域における高齢者のポリファーマシー対策の始め方と進め方」を作成、公表した。地域版業務手順書の作成は初となり、対策推進を担う「地域ポリファーマシーコーディネーター」、個別患者の薬剤調整を支援する「薬剤調整支援者」を設定することで効果的にポリファーマシー対策が進められるとした。

     対策の進め方として、地域で対策を推進する「地域ポリファーマシーコーディネーター」を決めることが効果的と記載。担当者として、中核病院の地域連携室等に所属する医療者、地域薬剤師会所属の薬剤師等が想定されるとした。業務内容として、自治体や地域医師会、中核病院など、地域医療を中心的に進める主体の理解を得つつ、地域でのポリファーマシー推進のあり方を検討、実行するほか、地域薬剤師会や看護・介護関係団体、保険者との連携を深化することも求められるとした。

     個別の患者に対しては、地域でのポリファーマシー対策を実施する際には役割分担と連携が必要として、薬剤調整を支援する「薬剤調整支援者」の役割について、地域の医療者の理解を図ることも効果的とした。

     薬局薬剤師を受け入れ、病院薬剤師と交流できる環境を醸成するため、中核医療機関で、薬局薬剤師の研修を受け入れる取り組みの実施も考えられるとした。病院薬剤師が薬局の業務を経験する機会を設けること、双方で意見交換する場を設けることも有効とし、これらにより、地域の病院・薬局に所属する薬剤師間の関係性が強化され、対策を行う際の円滑な連携につながるとした。

     対策を継続するため、地域ポリファーマシーコーディネーターが中心となり、地域の関係者と地域における対策の全体的な方針について定期的に検討することが望ましいとした。予め地域の処方医に説明を行って理解を得るなど医療・介護関係者に訪問や講演を通じて説明を行うほか、住民向けにお薬相談会等を通じ、対策への理解を深めることも重要とした。

  • 薬剤師確保へ行政と連携‐県病薬が学生にアピール(中央社会保険医療協議会)

    情報提供元:薬事日報社

    新卒離職防止策も課題
     今年度から全国で第8次医療計画がスタートしたのを受け、関東・東海の各県では病院薬剤師会と行政が連携した病院薬剤師確保策が動き出している。大学薬学部がない茨城県は、奨学金返済支援事業や順天堂大学薬学部の地域枠創設を通じて不足地域への定着を図る。千葉県や神奈川県、静岡県では大学と連携した薬学生向けの職場体験プログラムの実施や薬剤師確保専用ホームページの開設、入職者の離職防止のための研修会実施を検討する。

     茨城県は7月、病院薬剤師会などが参画した「茨城県病院薬剤師確保連絡協議会」を発足。今年度から奨学金の返済残高のある既卒薬剤師や奨学金の貸与を受けている大学薬学部5〜6年生を対象とした奨学金返済支援事業を開始する。

     長期的な対策では順大薬学部と連携し、2025年度入学生から茨城県地域枠を創設する。入試で選抜された2人には修学期間の6年間1人当たり月額10万円を貸与し、卒後に薬剤師不足地域の病院で一定期間勤務すれば返済免除となる。

     県内の病院薬剤師不足は深刻だ。病院薬剤師の偏在指標は0.67の全国39位と厳しい。県が昨年度に実施した緊急アンケートでも「薬剤師定員を満たしていない」と回答した53施設のうち40施設が入職者ゼロだった。

     今後、定年者数も一定数出る見込みにあり、茨城県病院薬剤師会の本間真人会長は11日にさいたま市内で開かれた日本病院薬剤師会関東ブロック学術大会で、「入職がない場合には17施設が5年後に薬剤師が不在になる」と述べた。

     こうした状況を打開するため、薬学生の採用活動を充実させると共に、県と協働して薬剤師の地域定着にとどまらず、資質向上に向けた卒後研修プログラムを構築し、様々な経験が積めるようキャリア形成を支援する方針を明らかにした。

     神奈川県は5月、薬剤師確保プロジェクトチームを編成した。今年度は病院薬剤師の就労状況など施策実施への調査のみを行う。今後の優先実施項目として薬剤師確保専用ホームページ立ち上げ、潜在薬剤師復職支援、就職説明会開催、調剤業務ICT化支援による二次効果――の四つを選定。25年度に専用ホームページを立ち上げ、26年度事業では調剤業務のICT化を支援し、省力化により臨床業務時間を確保している成果を病棟薬剤師を希望する学生向けにアピールし、県内病院での就業につなげる。

     千葉県は県病薬が中心となり、地域医療介護総合確保基金を活用した薬剤師の復職支援プログラムと、そのノウハウを活用した薬学生向けの職場体験プログラムの作成・モデル研修を計画。県内の大学薬学部との連携を充実化していく。

     病院の薬剤師偏在指標が0.66と厳しい状況に直面している静岡県は、薬剤師の供給源となる静岡県立大学薬学部出身者が県内薬剤師採用数の2割弱と、薬剤師数が充足できていない現状を踏まえ、県外の大学薬学部に通う県内出身者をターゲットとした採用活動に乗り出している。

     2月には県と病院薬剤師会が連携し、ウェブによる静岡県病院業界研究会を開催。県知事名で全国77大学79学科にチラシ1000部を送付し、SNSで周知を行ったところ、県内外から31大学71人の学生が参加。参加施設への病院見学やインターンシップには29人、採用試験には19人が進むなど一定の成果を出した。今年度も今月と来年2月に実施する。

     新卒者の確保だけではなく、入職者の離職防止にも取り組む。静岡県病院薬剤師会の渡邉学会長は、「この14年間で少なくとも564人が離職している。病院薬剤師を増やすためには新卒者の確保に加え、入職者の離職防止対策が重要」と指摘。職能向上・離職防止対策を意識した中堅・マネジメント研修会を開催することを明言した。