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2017年5月号

  • 薬剤師への信頼で理解促進‐“かかりつけ”の有用性示す‐昭和薬科大学

    ◇市民対象に調査


    医療機関や自宅からの近さではなく、信頼できる薬剤師がいることを重視して薬局を選択している一般市民の薬の理解度は、そうでない市民に比べて高い――。昭和薬科大学教授・臨床薬学教育研究センター長の山本美智子氏らの調査によって、そんな相関関係が明らかになった。かかりつけ薬剤師の存在意義に注目が集まる中、その有用性の一端が示された。ただ、一般市民の約6割は依然として医療機関からの近さで薬局を選んでおり、信頼関係の構築が課題になることも浮き彫りになった。


    ■山本氏らは、薬局での情報提供の実態などについて、一般市民550人を対象にインターネットを活用して調査を実施した。薬局を選ぶ基準を聞いたところ「医療機関から近い」(59.1%)との回答が最も多く、「家から近い」(24.2%)、「信頼できる薬剤師がいる」(6.9%)、「あてはまるものはない」(5.1%)、「待ち時間が短い」(2.9%)、「薬局の設備がよい」(1.1%)と続いた。


    信頼できる薬剤師がいると答えた一般市民の薬の理解度は高く、それ以外の一般市民の理解度を上回っていた。具体的には「用法用量」の理解度は、それ以外の一般市民では66.4%だったのに対し、信頼できる薬剤師がいると答えた一般市民では94.1%と高かった。「服用期間」は66.7%に対して96.1%、「副作用」は64.5%に対して85.9%、「相互作用」は49.5%に対して83.2%など、全項目で理解度は高かった。


    ■山本氏らは「信頼関係がある薬剤師のいる薬局では、患者の理解度が高い傾向にあった」と言及。ただ、薬局を選ぶ基準として医療機関からの近さを重視する一般市民が過半数を占めていたことから、信頼関係の構築が課題としている。


    ■このほか山本氏らは、薬局におけるOTC薬や健康食品の情報提供の実態について、一般市民550人への調査結果と、薬局薬剤師155人に対する紙面でのアンケート調査結果を比較した。 OTC薬の情報提供の満足度について一般市民は「あまり十分ではない」(32.0%)、「受けたことがない」(29.6%)、「十分ではない」(6.7%)との回答が多く、「かなり十分である」(2.4%)、「十分である」(29.3%)を上回っていた。 OTC薬の相談を受けた経験がある薬剤師にその情報提供について聞いたところ「できた」(2. 6 %)と「ややできた」(32. 9 %)は合わせて35. 5 %にとどまり、「ややできない」は11.0%、「できない」は3.9%、「どちらともいえない」は27.1%となっていた。健康食品の情報提供の満足度について一般市民は「不十分」(13.8%)、「やや不十分」(18.9%)、「どちらともいえない」(50.0%)との回答が多く、「かなり十分」(3.6%)、「十分」(13.6%)を上回っていた。薬剤師側も「不十分」(25.2%)、「やや不十分」(46.5%)、「どちらともいえない」(18.7%)の回答が多く、「かなり十分」(1.9%)、「やや十分」(7.1%)との回答は少なかった。


    ■山本氏らは「OTC薬の説明が十分と答えた一般市民と、情報提供ができたと思う薬剤師の割合は、どちらも3割を超える程度だった。健康食品の情報提供が十分と答えたのは、一般市民は2割弱、薬剤師は1割弱にとどまっていた」とし、「OTC薬、特に健康食品での情報提供の改善が必要」としている。

  • 高齢者の多剤併用で指針検討‐副作用対策充実へ議論‐厚生労働省‐

    ■厚生労働省は17日、高齢者医薬品適正使用検討会の初会合を開き、高齢者における薬の多剤併用(ポリファーマシー)の増加や飲み忘れによる副作用への対策について議論をスタートさせた。


    高齢者の進展に伴い、薬物療法において腎機能や肝機能の低下など薬物動態の変化、合併症によるポリファーマシーの増加とそれに伴う副作用の増強、飲み忘れや服薬管理の必要性が高い患者の存在など、多くの問題が顕在化している。こうした状況を受け、高齢者の薬物療法に関する安全対策を進めるため、薬の安全性情報の提供のあり方などに焦点を絞って検討会で議論することにした。


    ■厚労省は、高齢者が使用している薬剤のうち、特に精神神経用剤で意識障害や抑うつ、せん妄、めまい、転倒などの副作用が見られる問題を挙げ、添付文書で高齢者への投与や併用について注意喚起を行っていることを説明。ただ、こうした情報提供は複数の薬剤をまとめたものとして行われていないことから、高齢者の多剤処方などに関する安全対策を充実させていく方針を示した。
    高齢者における薬の処方状況や実態の把握を実施するほか、高齢者の薬物動態や副作用の状況を把握し、ポリファーマシーを最適化するための指針策定や高齢者に適した用法・用量の薬の実現につなげる。これらエビデンスの収集や対策が必要な疾患領域、ガイドラインなどを検討し、今夏までに高齢者の薬物療法に関する安全対策を中間的に取りまとめ、18年度末をメドに最終的な取りまとめを行いたい考え。


    ■初会合では、平井みどり委員(神戸大学名誉教授)がポリファーマシーの現状と課題を説明した。複数の薬剤を投与されていた要介護5の認知症終末期患者について、薬を1品目に削減した結果、要介護1に改善した例などを紹介。ポリファーマシーを適正化することの重要性を強調した。
    秋下雅弘委員(日本老年医学会理事)は、老年医学会がまとめたポリファーマシーの適正化に関するガイドラインを紹介した。その上で、高齢者の用法・用量を設定する場合は低体重・BMI低値や認知機能低下、多疾患併存や多剤併用、年齢などを検討する必要があると提言した。


    ■また、今後の議論の方向性をめぐって、委員からは「医療用医薬品とほぼ同等の効果を持つOTC薬が出回っており、大量に服用されればポリファーマシーを助長する。OTC薬やサプリメントも含めて議論すべき」などの意見が出た。