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2018年1月号

  • 18年度診療報酬改定率が決着‐本体0.55%引き上げ、全体ではマイナス1.19%

    大型門前適正化、調剤マイナス10億〜20億か

    ■麻生太郎財務大臣と加藤勝信厚生労働大臣は18日、来年度予算案の閣僚折衝を行い、医療の技術料などに当たる「診療報酬本体」を0.55%(国費+600億円程度)引き上げることで合意した。医科0.63%増、歯科0.69%増、調剤0.19%増で、技術料割合に基づく医科:歯科:調剤の配分比率は「1:1.1:0.3」となった。調剤の増分は国費ベースで約40億〜50億円に相当するとされており、改定の別枠で実施される「いわゆる大型門前薬局に対する評価の適正化」によって約60億円(国費)の削減が見込まれている。両者を差し引くと調剤全体でマイナス10億〜20億円(国費)となるため、「調剤0.3」は「表向き維持した」と見ることもできる。

     

    ■診療報酬の本体部分はプラス0.55%だが、平均乖離率を踏まえて実施される通常の薬価改定によって1.36%(国費1500億円程度)、「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」の見直しや、長期収載品の薬価引き下げ、費用対効果評価の試行的導入などの薬価制度抜本改革によって0.29%(国費300億円程度)、材料価格を0.09%(国費100億円)それぞれ引き下げるため、診療報酬全体では1.19%の引き下げとなる。

     

    ■調剤については、医薬品の備蓄の効率性や、医療経済実態調査結果における損益率の状況等を踏まえ、特定の医療機関からの処方箋の割合が高いなどのいわゆる大型門前薬局の報酬適正化を行い、国費で60億円程度の削減を見込む。 診療報酬の個別の点数配分については、年明けの中央社会保険医療協議会で審議していく。診療報酬と同時期に改定する介護報酬はプラス0.54%、障害福祉サービス等報酬もプラス0.47%となった。

  • DVO導入で560億円減‐安全性前提、一定ルールを

    慶大が研究報告

    抗癌剤と免疫抑制剤のバイアル製剤に単回使用バイアルを複数回使用するDVOを実施した結果、医療費抑制額が560億円に上ることが、慶應義塾大学大学院経営管理研究科の岩本隆特任教授の研究で明らかになった。抗癌剤の市場規模が拡大する中、抗癌剤などバイアル製剤の年間廃棄額は738億円に達した。これに医療機関で使用する閉鎖式接続器具(CSTD)のコストと診療報酬の無菌製剤処理料を加味して医療費抑制額を算出した。岩本氏は「DVO推進は医療のムダ削減に一層重要性の増す政策」と強調する一方、「拙速に進められることも問題」と指摘。十分な安全性を担保するルールの明確化を提言した。

     

    ■研究報告は、2016年7月から今年6月における抗癌剤、免疫調節剤のバイアル製剤市場をもとに推計したもの。これらの市場規模は計1兆3971億円になった。抗癌剤の成長が牽引し、医薬品市場の13. 4%を占めるまで拡大した格好だ。

     

    ■そのうち、バイアル製剤の市場規模は7566億円、前回調査対象の5年前に比べて14%拡大した。オプジーボが1148億円、アバスチンが1116億円、レミケードが834億円となった。また、直近のバイアル製剤全体の年間廃棄額は738億円、廃棄率は9.8%と推計されることが分かった。アバスチンの廃棄額は99億3000万円、オプジーボは90億7000万円、レミケードは83億4000万円に上った。

     

    ■これら全てのバイアル製剤にDVOを実施した医療費抑制効果について、医療機関で使われるCSTDのコスト293億円、診療報酬の無菌製剤処理料115億円などを加味して検討したところ、医療費抑制額は560億円に上ることが明らかになった。そのうち、抗癌剤など廃棄額が年間10億円以上のトップ16製剤で医療費抑制額は531億円を占めた。この結果は、医療機関においてCSTDをゼロから導入したケースを試算したもので、岩本氏は「既に曝露防止目的でCSTDを導入している病院もあり、実質的には医療費抑制額はさらに大きくなる」との見方を示した。

     

    ■今回の試算結果を受け岩本氏は、抗癌剤市場の拡大と高額化を背景に挙げた上で、薬剤費増の流れは加速すると指摘。「医療のムダ削減にDVOの推進は一層重要性の増す施策」と位置づけた。
    ただ、「全国の医療機関は様々な規模、異なる施設からなる以上、拙速に進められることも問題」とし、薬剤の安定性と無菌性、調剤過誤防止のセーフハンドリングを満たす十分な安全性を担保する一律のルールが明確化される必要があると提言した。