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2018年5月号

  • 分割調剤、趣旨に沿った対応を「地域の薬局に促す」が原則‐厚生労働省 保険局医療課

    情報提供元:薬事日報社

    ■厚生労働省保険局医療課の中山智紀薬剤管理官は、2018年度診療・調剤報酬改定で処方箋様式を見直して医師からの指示や手続きの明確化・合理化を図った「分割調剤」について、「地域でかかりつけになっている薬局で薬をもらいたいという患者さんの要望があれば、初回からその薬局に行ってもらうよう促すのが原則」と説明し、制度の趣旨に沿った対応を求めた。また、今後も薬局に対して「コストに見合ったサービスを提供できているのか」といった疑問が投げかけられることが想定されるため、「地域の薬局が大学などと連携して論文をまとめるなどして、薬局の機能をできるだけ見えるようにする取り組みを進めてもらいたい」と語った。18年度改定では、分割の回数を3回までとし、医療機関は新たに「分割指示に係る処方箋」を発行して、患者が薬局に提出するようにした。

     

    ■その処方箋を受け取った薬剤師は、継続的な管理・指導を行う観点から、原則として、分割指示に係る処方箋の交付を受けた患者に対しては、処方箋を受け付ける前に、処方箋の1回目の調剤から調剤済みになるまでを通して、同じ薬局に処方箋を持参すべきといった旨の説明を患者に行うことになっている。 さらに、次に調剤を受ける予定を確認し、その時期に患者が来なければ電話などで状況を確認することなども求めている。

     

    ■中山氏は、分割調剤について、「たとえ患者さんが初回に門前薬局に分割指示の処方箋を持っていったとしても、2回目以降に自宅や職場の近くにあるかかりつけ薬局で薬をもらいたいという要望があれば、初回からその薬局に行ってもらうよう促すというのが原則になる」と説明。「薬局側の都合ではなく、患者さんの都合や利便性をまず考えなければならない」と強調。そのために、「患者さんが行きたいと思う薬局に促す仕組みにしたし、そこは留意事項でしっかりと明確化している」と述べ、「制度の趣旨に沿った適切な対応」を求めた。

     

    ■「薬剤服用歴管理指導料」において、「今後の継続的な薬学的管理および指導の留意点」を新たに記載することを求め、点数を3点上げた理由については、「これまでは、記録のための記録になりがちだったが、薬学的管理や指導を過去の記録に基づいて、点ではなく線で行ってもらうようにしたかった」と説明。薬歴管理料は、「ほぼ全ての処方箋についてくる点数」で、「プラス改定の大きな要因になっている部分」でもあるため、「しっかり取り組んでほしい」と語った。

  • 抗癌剤の分割使用、2回まで‐安全基準まとめる‐厚生労働省

    情報提供元:薬事日報社

    無菌設備、CSTDを推奨

     

    ■厚生労働省は、抗癌剤を分割使用する場合の安全基準「注射用抗癌剤等の安全な複数回使用に関する手引き」をまとめた。抗癌剤の調製は、無菌室に設置された安全キャビネットとCSTD(閉鎖式薬物移送システム)の使用が望ましいと推奨。同じバイアル製剤の複数回使用は安全性の観点から「2回まで」と明記した。保管期間は原則当日内とし、バイアルの取り違え等のリスク低減策を行い、無菌環境で保管した場合は最初の針刺し後7日間まで使えるとした。厚労省が安全基準を示したことで、抗癌剤の分割使用に関する検討が広がりそうだ。

     

    ■注射用抗癌剤について、一つのバイアルを2人以上の患者に分割使用する取り組みが広がる中、厚労省は研究班を立ち上げ、安全に複数回使用できるガイドラインの検討を行ってきた。研究班が全国291施設に調査したところ、抗癌剤の分割使用を実施している施設は27%と約3割に上っていた。

     

    ■今回、厚労省が公表した手引きでは、注射用抗癌剤等の複数回使用を「通常の単回使用注射薬を同時に、または一定期間後に患者に使用すること」と定義。複数回に分けて使用する抗癌剤等は、初回の針刺し後に安定なバイアル製剤とし、対象となる薬の種類、範囲を各施設で事前に決めておくよう求めた。

     

    ■安全な調製環境としては、クリーンルームの清浄度を示すISOクラス5の無菌室に設置された安全キャビネットの使用が望ましいと推奨。ただ、それよりも清浄度クラスが低いISOクラス8の一般注射製剤室に設置された安全キャビネットを使用することでもよいとした。

     

    ■調製方法については、抗癌剤曝露の危険性回避と手技経験の技術差によるリスク軽減の観点から、CSTDの使用が望ましいと推奨した。同じバイアル製剤の複数回使用の回数は、3回以上の分割使用を行うと漏出量が増大する可能性があり、「2回まで」と明記。ただ、針刺しできる回数が明示されているCSTDを使う場合は、各企業が示す回数内で行ってもよいとしている。CSTDを使用しないで通常のシリンジと針で複数回の調製を行う場合は、調製ごとにシリンジと針を交換する。

     

    ■また、バイアルの保管に当たっては、ゴム栓かCSTD接続部を消毒し、滅菌シールで保護した上で、ジップ付きプラスチック袋などに入れて密封することを推奨したほか、無菌室内の当日を超える保管は取り違えの恐れがあるため推奨されないとした。そのため、注射用抗癌剤等の保管期間は、最初に針刺しした当日内の使用を推奨する一方、ISOクラス8相当の一般注射製剤室内で保管した場合は2日間、ISOクラス5相当の無菌室内で保管した場合は7日間まで保管できるとした。

     

    ■バイアル製剤を分割使用することにより、患者ごとの調製、監査の手順違いから従来の手順では発生し得なかった医薬品の取り違え事故や調製用量の過誤、バイアルを雑然と無菌室内に配置させておくことによる取り違え、CSTD使用時のバイアルの視認性低下による取り違え、使用期限を超過した使用などのリスクが想定されると指摘。

     

    ■これらリスクを低減するため、各施設の状況に応じて調製手順書の作成を求めている。手順書に沿って、確認票を用いた調整後の監査、安全な針刺し後のバイアル保管方法、調製記録の保管などを実施するよう求めている。