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2019年1月号

  • 薬局を機能別で3区分へ‐「最低限の薬局」含め底上げ

    厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会

     

    ■厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会は、薬機法改正を含めた制度改正に関する取りまとめ案を大筋で了承した。薬局全体の底上げを図るため、薬局ビジョンが求めている「かかりつけ薬剤師・薬局」が備えるべき機能を持った薬局を「最低限の薬局」として位置づける。さらに、地域で在宅対応や医療機関と連携して服薬情報の一元管理を行う薬局、医療機関と緊密に連携し、より丁寧な薬学管理や、特殊な調剤に対応できる薬局に分類する。また、薬剤師に対して、服用期間を通じた継続的な薬学的管理と指導内容の記録を行うこと、医師などへの情報のフィードバックなどを義務づける。

     

    ■患者が自身に適した機能を有する薬局を主体的に選択できるよう、薬局開設許可に加え、特定の機能を有する薬局を法令上明確にし、表示できるようにする。具体的には、「患者のための薬局ビジョン」でかかりつけ薬剤師・薬局が備えていくことが必要とされた機能や患者等のニーズに応じて強化・充実すべきとされた機能を有することを基本とし、これが開設許可要件を満たす「最低限の機能を持つ薬局」となる。

     

    ■その上で、▽地域において、在宅医療への対応や入退院時をはじめとする他の医療機関、薬局等との服薬情報の一元的・継続的な情報連携において役割を担う薬局▽癌等の薬物療法を受けている患者に対し、医療機関との密な連携を行いつつ、より丁寧な薬学管理や、高い専門性を求められる特殊な調剤に対応できる薬局――に分類する。このうち、高度薬学管理型の薬局は、医療法における特定機能病院をイメージしているとされる。いずれも薬機法改正で対応することが想定される。

     

    服用期間を通じた継続的な薬学的管理と患者支援も義務づける。現行で、薬剤師が患者に対して情報提供や指導を行う義務が規定されているのは「調剤時」のみであるため、調剤時のみならず、薬剤の服用期間を通じて、必要な服薬状況の把握や薬学的知見に基づく指導を行う義務があることを明確化する。
    こうした取り組みが効果的に実施できるよう、把握した患者の服薬状況等の情報や指導等の内容について記録することを義務づけることとした。

     

    ■薬局薬剤師が把握した患者の服薬状況等に関する情報は、医師、歯科医師、医療機関の薬剤師へ「適切な頻度で提供するように努めることを明確化すべき」とし、医師などへの情報提供を義務化することも盛り込まれた。薬機法と薬剤師法の改正で対応する。
    複数の委員が主張していた、薬局開設者のガバナンス強化は、医薬品の「製造・流通・販売に関わる者のガバナンス強化」に含まれた。 薬機法上の許可等業者に対して、法令遵守、法令遵守のための体制整備等の必要な措置、必要な能力および経験を有する責任者・管理者等を選任することを義務づける。

     

    ■チェーン薬局など、医薬品の販売に関わる許可等業者が法人である場合には、その役員が許可等業者の法令遵守に責任を有することを薬機法上、明確化するほか、責任役員による許可等業者の法令遵守を担保するため、必要に応じて責任役員の変更を命じることができるようにする。

  • 高齢者薬物療法での「ファーマコ・フレイリティ」、薬剤師の主導的役割に期待

    日本医療薬学会年会

     

    ■先に神戸市で開かれた日本医療薬学会年会のメディカルセミナー「高齢者の多剤処方見直しのための医師・薬剤師連携ガイド〜薬物の適正使用を実現するための医師・薬剤師の協働〜」で講演した竹屋泰氏(大阪大学大学院医学系研究科老年・総合内科学)は、高齢者のうち薬剤に対する脆弱性があり有害事象が多く発生する患者群を「Pharmaco-frailty」(ファーマコ・フレイリティ)と呼称。現在、大阪大学病院や薬剤部で有害事象の効率的回避に向けた検討を進めており、こうした患者に対する多職種連携の中で薬剤師が主導的な役割を果たしていくことへの期待を示した。

     

    ■竹屋氏は、高齢者における薬物治療では身体的のみならず精神的、社会的脆弱性など多面的な問題を抱えていることを指摘。また実年齢だけでは捉えられない個体差があり、高齢者を個別に判断する評価方法として「フレイル」が用いられるようになったことを紹介した。

     

    ■薬物有害事象の出現頻度は6剤以上を服用するケースで高いことが分かっている。竹屋氏はこうしたポリファーマシーへの対応について「慎重に判断し適切に処方され、害に比べて益が十分多いと確認されたケースはポリファーマシーではなく、逆に入るべき薬が含まれていない状態はポリファーマシーといえる」と解説した。またポリファーマシーの源流にあるマルチモビリティ(多くの疾患を抱える)についても言及。「患者の年齢が高くなるほど、疾患数と薬剤数が増加することは分かっており、『多病が故に多剤』ということ。現実の世界では、高齢者はマルチモビリティが多い」とし、具体的な症例を挙げて紹介した。

     

    ■今年5月に日本老年薬学会が作成した「高齢者の多剤見直しのための医師・薬剤師連携ガイド」についても触れ、ポリファーマシーに関連した問題点として▽薬物有害事象の存在▽アドヒアランス不良、服薬困難▽特に慎重な投与を要する薬剤使用▽同効薬の重複処方▽腎機能チェック▽薬物相互作用の存在▽処方意図が不明な薬剤の存在――を挙げた。これらが認められた際は、多職種から必要な情報提供を受け、医師・薬剤師で協議を行い治療方針を決定し、薬剤師が薬学的管理を行うという流れが必要で「医師、薬剤師の協働がカギとなる」との考えを示した。

     

    ■また竹屋氏らは、阪大病院老年・高血圧内科に入院しフレイル評価を行った高齢者を対象に薬物有害事象(ADE)の頻度、薬剤情報をもとに、入院患者のADEの発生に関する因子につき▽患者特性▽薬剤▽フレイルなどを含め包括的に検討。現在、解析途中だがADEは年齢は関係せず、疾患数、薬剤数が少ないケースでは90歳でも薬物有害作用が少ない傾向が見られたという。また半年で2〜3キロ体重減少があった人は明らかにADEが多かったという。竹屋氏は「患者さんを全体で見るような新しい方法を見つけないと高齢者のマルチモビリティに関しては太刀打ちできないのではないか」との見解を示した。

     

    ■竹屋氏は「『Pharmaco-frailty』に込めた思いは、薬剤師と一緒にフレイル高齢者をみたいという意味でこの言葉を造った。私はフレイル高齢者をみる多職種の中に薬剤師がいないことはあり得ないと思っている。多職種の中でも、とくに薬物療法の中心的な役割を担っていただきたいと期待している」と述べた。