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2019年3月号

  • 厚労省・安川薬事企画官、GDP導入「各社が考える時期」‐品質確保の取り組み促す

    医薬品品質フォーラム

     

    ■厚生労働省医薬・生活衛生局の安川孝志薬事企画官は、都内で開催された医薬品品質フォーラムで講演し、昨年末に公表した医薬品適正流通(GDP)ガイドラインの製薬業界への浸透策に言及。「内容の理解を深めてもらうことが重要」としつつ、「現場の実態などを紹介しつつ、各社がGDPをどう取り込むかを考える時期」と行動を促したほか、偽造医薬品の流通防止を念頭に「品質確保への取り組みや管理体制を考えてほしい」と訴えた。

     

    ■GDPガイドラインは、医薬品の適切な流通経路の管理を保証し、偽造薬の流入を防ぐために卸売販売業者や製造販売業者が取り組むべき原則を定めたもので、昨年12月末に厚労省が公表した。安川氏は、2017年に発生したC型肝炎治療薬「ハーボニー」の偽造品流通事件をきっかけに、偽造薬流通防止策の検討からガイドライン作成までの厚労省の取り組みを紹介。16年度から厚生労働科学研究班で医薬品の流通・品質保証に関する国際的管理基準「PIC/S GDPガイドライン」の国内導入に向けた検討を進めてきた中で、「ハーボニー事件がガイドライン作成の動きを加速させた」と説明した。

     

    ■また、薬機法の見直しを検討する厚生科学審議会の取りまとめに、製造・流通に関するガバナンス強化策などを盛り込んだことなどにも言及した。

     

    ■その上で、安川氏は、拘束力がないGDPガイドラインを業界に浸透させるため、「いかに周知して内容の理解を深めてもらうかが大事」との認識を提示。厚労省としても、様々な説明会などの場を通じてGDPの解説や現場の実態を紹介する方針を述べた上で、「各社がGDPをどう取り込むかを考える時期だ」と取り組みを促した。

    さらに、安川氏は「既に省令に規定されている内容も多数ある。そこは義務として守ってもらう。どの部分が義務なのかを整理し、ガイドライン全体の中でどう考え、取り扱うかを考える必要がある」と述べた。

     

    ■一方、患者のための薬局ビジョンで「対物業務から対人業務にシフトすべき」との考えを示していることにも触れ、ハーボニー事件を念頭に「決して対物業務を疎かにしてよいわけではなく、適切に対物業務を行っているからこそ対人業務ができる。改めて医薬品の管理をしっかりと行い、業界は品質確保にどう取り組むかや管理体制を考えてほしい」と注文をつけた。

  • PBPMで検査実施率向上‐がん患者の蛋白尿を早期把握‐京都市立病院薬剤科

    ■京都市立病院は昨年4月から、外来がん患者の蛋白尿発現の有無を調べる検査オーダを薬剤師が代行入力する「プロトコールに基づく薬物治療管理」(PBPM)に取り組んでいる。VEGF阻害剤の副作用である蛋白尿の発現を把握する検査オーダを医師が入力していなかった場合、薬剤師が代わりに入力する。先の日本病院薬剤師会近畿学術大会で同院薬剤科の目黒裕史氏は「PBPMの導入によって尿蛋白定性検査の実施率は飛躍的に上昇した」と成果を語った。

     

    ■同院は以前、VEGF阻害剤を含む薬物療法を実施していた外来がん患者で、ネフローゼ症候群が発現した症例を経験。定期的な尿蛋白検査が十分に行われていない症例も少なくなかったため、外来化学療法室で業務を行う薬剤師が電子カルテを通じて、医師に定期的な検査の実施を呼びかけることから開始した。

     

    ■その結果、検査の実施率は高まったが、問題はまだ残っていた。医師は診察日に電子カルテを開き、そこで初めて呼びかけを目に留めて検査オーダを入力するため、検査の実施はその次の診察日になってしまう。また、呼びかけに反応しない医師がいることも問題だったという。 この問題を解決するため、薬剤師の発案でVEGF阻害剤であるラムシルマブ、ベバシズマブ、アフリベルセプトを対象にした3剤共通のPBPMを策定。院内で了承を得て運用を開始した。プロトコールで定めた基準は▽尿蛋白定性検査を最低月1回以上実施する▽定性検査の結果が1+以下ならVEGF阻害剤を投与する▽定性検査の結果が2+以上の場合は疑義照会の上、当日尿蛋白定量検査を実施する(医師判断で検査を実施せずに投与することは可能)▽定量検査の結果が2g/日未満の場合はVEGF阻害剤を投与する▽定量検査の結果が2g/日以上の場合は休薬する――など。一連の業務フローの中で薬剤師は、尿検査の実施が約2カ月間ない場合、尿蛋白定性検査のオーダを代行入力する。定性検査の結果が2+以上で定量検査が未実施の場合、医師に確認した上で定量検査オーダを代行入力する。

     

    ■PBPM運用の結果、導入前は60.3%だった、1カ月以内の尿蛋白定性検査の実施率は、導入後は100%に高まった。尿蛋白定量検査の実施件数も増えた。検査の必要性を周知する機会になり、医師による検査指示が増えたほか、入力が漏れた場合は薬剤師が代行することで実施率が大幅に向上。薬剤師は定性検査全体の23.8%を代行入力していた。また、導入前は20%だった、グレード2以上の蛋白尿の発現割合は導入後8%に低下。尿蛋白定性検査の実施率向上に伴い、2+の症例を早期に発見して対応し、悪化を防いでいるためだという。

     

    ■目黒氏は「副作用の早期発見と重篤化防止による安全な化学療法の実施に寄与できた。3剤共通プロトコールの策定によって、どの薬剤師でもほぼ同じレベルで検査を入力できるようになった」と強調。「このPBPMを始めようと考えたのは現場の薬剤師。現場でないと分からない悩みや、これができれば患者のためになると思うことがある。上司から言われて始めるのではなく、現場から声を上げてボトムアップでPBPMを築き上げることも大事ではないか」と呼びかけた。

     

    ■ほかのPBPMとして現在、▽VEGF阻害剤の副作用である高血圧発現時の降圧薬を薬剤師が提案▽セツキシマブ、パニツムマブによる低マグネシウム血症を早期に発見する検査を薬剤師が代行入力――を実施中。今後は、化学療法に関わる副作用対策として制吐剤や保湿剤、ステロイド外用剤の処方提案などについても「PBPMを順次拡大していきたい」と話した。