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2019年5月号

  • 非薬剤師の業務を例示‐ピッキングや一包化確認‐厚生労働省医薬・生活衛生局

    ■厚生労働省医薬・生活衛生局は、薬剤師が調剤に最終責任を持つことを前提に、薬剤師以外の者が行うことができる業務の基本的な考え方を整理した通知を、都道府県などに発出した。薬剤師の目が届く場所で、処方箋に記載された医薬品を取り揃えるなどの行為は「差し支えない」とする一方で、軟膏剤、水剤、散剤などの直接計量、混合は「違反行為」との考えを示した。ただ、水剤、散剤などの調剤に機器を活用しているケースは違法ではないとの考えを示した。今回の通知について、厚労省は、実際に調剤の現場で行われていることも含め「現時点での考え方を整理して示したもの」と説明するが、具体的な行為の例示は大きな反響を呼びそうだ。

     

    ■通知では、薬剤師以外の者が実施しても差し支えない業務の考え方として、▽薬剤師の目が現実に届く限度の場所で実施されること▽薬剤師の薬学的知見も踏まえ、処方箋に基づいて調剤した薬剤の品質等に影響がなく、結果として調剤した薬剤を服用する患者に危害の及ぶことがないこと▽業務を行う者が、判断を加える余地に乏しい機械的な作業であること――の3点を挙げた。いずれの業務も、調剤に最終的な責任を持つ薬剤師の指示に基づいており、調剤した薬剤の最終的な確認は指示した薬剤師が自ら行うことが前提となる。

     

    ■その上で、非薬剤師が実施できる行為として、▽処方箋に記載された医薬品(PTPシート、またはこれに準ずるものにより包装されたままの医薬品)の必要量を取り揃える▽薬剤師による監査の前に行う一包化した薬剤の数量の確認――を例示した。

     

    ■また、調剤に該当せず差し支えない行為として、▽納品された医薬品を調剤室内の棚に納める▽調剤済みの薬剤を患者のお薬カレンダーや院内の配薬カート等へ入れる▽電子画像を用いてお薬カレンダーを確認する▽薬局に医薬品の在庫がなく、卸などから取り寄せた場合に、先に服薬指導等を薬剤師が行った上で、患者の居宅などに調剤した薬剤を郵送――などを挙げた。

     

    ■一方で、軟膏剤、水剤、散剤等の医薬品を直接計量、混合する行為については、たとえ薬剤師による途中の確認行為があったとしても、薬剤師でない者が販売または授与の目的で調剤してはならないと規定している薬剤師法第19条に「違反する」とした。ただ、調剤機器を積極的に活用した業務の実施を妨げる趣旨ではないともし、調剤機器を活用した場合であれば違法ではないとの考えを示した。

     

    ■薬局開設者が薬局で薬剤師以外の者に業務を実施させる場合には、法令遵守体制を整備する観点から、業務の実施に関する手順書を整備することや、業務に携わる非薬剤師への薬事衛生上必要な研修の実施を行うことを求めた。非薬剤師の具体的な業務については、薬局における対物業務の効率化に資するよう、ICT活用も含め有識者の意見を聴いた上でさらに整理し、改正医薬品医療機器等法の成立から1年以内をメドに通知することとしている。

  • 処方薬乱用防止へ薬薬連携‐お薬手帳の情報共有に活路‐厚生労働科学研究班

    ■睡眠薬など処方薬を繰り返し過量服用している患者の乱用を防ぐため、お薬手帳を活用した病院薬剤師と薬局薬剤師の情報共有が有効である可能性が、厚生労働科学研究班「薬物乱用・依存状況等のモニタリング調査と薬物依存症者・家族に対する回復支援に関する研究」(代表:嶋根卓也国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所室長)の調査で明らかになった。患者全員が保有し、ほとんどが同じ薬局を利用していることから、お薬手帳が乱用防止の有用なツールに浮上した。また、薬薬連携については患者の9割以上が「情報共有により乱用が防げる」「安心感が増す」などと肯定的に捉えていることも分かった。研究班は、病院・薬局薬剤師が共有すべき情報を明確にすることを薬薬連携構築の課題に挙げている。

     

    ■研究班は、定められた用法・用量を超えて処方薬を使用する乱用を防止するため、入院前に医薬品を乱用していた患者が病院薬剤師から薬局薬剤師にどのような情報提供を望んでいるかを明確にすることを目的に研究を計画。国立精神・神経医療研究センター病院の精神科病棟に入院し、昨年8月から今年1月に薬剤管理指導初回面談を行う患者で、過去1年以内に医薬品の乱用歴がある30人を対象に調査を行った。

     

    ■その結果、患者は20〜30代の女性が最多となり、男女比では女性が75%を占めた。過量内服薬は、睡眠薬が16件と最も多く、次いで一般用の解熱鎮痛薬が5件、抗精神病薬5件、抗うつ薬4件となった。過量内服の理由については、「つらい気持ちから解放されたかった」が11件と最も多く、「死にたかった」が4件、「どれくらい絶望しているか示したかった」が2件となった。
    過量服薬の回数は、6回以上が67%と約7割の患者が繰り返し過量内服を行っていることが分かった。2〜5回が25%、1回のみは8%だった。
    自宅での薬の管理方法では、「自分で行う」が75%と自己管理している患者が大半を占め、自分で容易に服用できる環境にある実態がうかがえた。薬局の利用状況を尋ねたところ、「いつも同じ薬局」が83%と最も多く、薬局での対応については「お薬手帳の確認」が11件と100%であり、全員が所持していることが分かった。

     

    ■病院薬剤師と薬局薬剤師の情報共有について尋ねたところ、「とても賛成」34%、「どちらかというと賛成」58%を合わせると、9割以上が肯定的な見方を示した。その理由としては、「情報共有することで乱用が防げる」「背景を把握してくれることで薬局薬剤師に相談しやすくなりそう」などだった。

     

    ■薬剤師が情報共有してもよいと考える内容は、「他の疾患や他科での服用薬」「入院中の服薬管理状況」「退院後の薬剤調整についての心配ごと」に賛同が多かった一方、「経済的な心配」や「日常生活での心配」など、生活や金銭に関わる情報は共有してほしくないとの意見が多かった。これら調査から、病院薬剤師と薬局薬剤師の情報共有に肯定的な患者が多いことが分かったが、研究班は「その内容や共有方法についてはさらなる検討が必要」と総括。特にお薬手帳の利用者数が100%に上ったことから、「お薬手帳が有用なツールとなる可能性がある」とした。

     

    ■今後、薬薬連携の体制を構築していくためには、患者、主治医、病院薬剤師が薬局薬剤師に知っていてもらいたいこと、薬局薬剤師が知りたいことを整理し、共有すべき情報を明確にすることが必要としている。