メルマガ申し込み マスター配信サービス
ページトップ

ピックアップニュースPickup News

2020年5月号

  • 新型コロナ対策まとめサイト‐薬局薬剤師向けに開設‐京都大学SPH薬局研究グループ

    情報提供元:薬事日報社

    ■京都大学SPH薬局研究グループ(リーダー:岡田浩氏)は、新型コロナウイルス対策に役立つ情報をまとめて、薬局薬剤師に向けて同グループのウェブサイト(https://www.kyoto-sph-pharmacy.com/covid-19)で発信している。薬局で役立つ「おすすめ度」を加えた関連リンク集のほか、独自に作成したリーフレット資材や動画を掲載。薬局薬剤師が地域住民からの質問に対応し、必要な情報を提供する上で、これらの情報を活用してもらいたい考えだ。同ウェブサイトは、多忙な現場の薬剤師に代わって、地域住民から求められる新型コロナウイルスの情報や提供可能な資材をまとめたもの。薬局薬剤師が把握すべき必要な情報を、短時間で得られるようにリンク集を設けた。それでも不足している情報や資材については独自に作成した。

     

    ■その一つが、薬局に掲示し、患者に渡すなどして活用するリーフレット。医療機関や薬局での感染拡大を防止するため、熱、咳、息苦しさがある場合にはまず来局前に電話で相談するように呼びかけるリーフレットや、医療機関に通院しなくてもオンラインで診療を受け、薬を受け取る仕組みがあることを分かりやすく明示したリーフレットの2種類を独自に作成した。ウェブサイトからダウンロードして活用できる。

     

    ■また動画も用意した。新型コロナウイルスの重症化や感染予防対策、今後の展望など、薬局薬剤師が患者からよく受ける質問について岡田氏が感染症専門医や内科医に聞いた内容を掲載している。

     

    ■薬局薬剤師の勤務経験を持つ岡田氏は「新型コロナウイルスの拡大を受け、少しでも医療の最前線に立つ薬局薬剤師の役に立てればいいという思いで活動を開始した」と話し、独自の資材や動画を増やすなど、今後もウェブサイトでの情報発信に力を入れる考えを示している。

  • 【薬事日報調査】薬剤部機能の維持に苦心‐新型コロナ対応で各病院

    情報提供元:薬事日報社

    全国各地の病院薬剤部は、新型コロナウイルス感染症を薬剤師が発症することにより、薬剤部の機能が停止し、病院全体の機能に影響が及ばないよう様々な予防策を講じていることが、薬事日報の調査で分かった。病院でも有事の事業継続計画(BCP)策定が求められており、薬剤師の感染が発覚した場合の対策をまとめている病院も少なくなかったが、「普段から薬剤師が不足しており、対策を立てられない」など苦慮する声もあった。

     

    ■調査によると、薬剤師間の新型コロナウイルス感染を抑制するため、シフト変更や環境整備に取り組んでいる病院が多かった。近畿地方の大学病院は、調剤や注射薬調製等の中央業務を担当する薬剤師と、病棟業務を担当する薬剤師の接触を減らすためにシフトを変更。中央業務と病棟業務を交代で担当するシフトを改め、どちらかの業務のみを担当するシフトを導入した。担当病棟もできるだけ固定し、病棟グループ間での薬剤師の接触も抑制している。

     

    ■九州地方の大学病院は、薬剤部で「3密」の環境を作らないよう会議や勉強会を中止した。配置する消毒薬を追加し、手洗い遵守の環境を整備。職員には病院で策定された基準を遵守するよう指導し、薬剤部長が毎朝ラウンドして発熱や呼吸器症状の有無等の状況を確認している。

     

    ■新型コロナウイルス感染者の診療を受け入れている中国地方の民間病院は、実際に薬剤部の職員が肺炎疑いで診察を受ける事態が生じたという。外来・入院患者の調剤や注射薬調製を一つの大部屋で行っているため、薬剤部職員全員のPCR検査や自宅待機も考えられたが、PCR検査が必要な症状ではなく難を逃れたようだ。その後、薬剤部全体の会議は中止し、各部署内を小グループに分けて打ち合わせを行うことで濃厚接触者を減らし、全体の業務が中断されないようにした。

     

    ■マスクを外すため、リスクが高まる食事の場面での感染予防に注意している病院も多かった。「食事の際にも換気を行い、時間差でソーシャルディスタンスを確保した上で静かに食べている。医療従事者の感染が医療崩壊に直結することを自覚して行動してもらっている」(近畿地方の自治体病院)、「それぞれが濃厚接触者とならないよう休憩時間、特に食事をする時には距離を置き、マスクを外した会話は控えるように注意している」(九州地方の民間病院)などの声があった。

     

    ■薬剤師の感染が発覚した場合の対策についても、複数の病院から回答があった。中国地方の大学病院は、薬剤師の感染時には職員の出勤を停止し、濃厚接触者にはPCR検査を実施し、陰性の場合には職場に復帰させる。それまでは業務を縮小し、濃厚接触者以外の職員で主に入院患者への薬剤の供給を行う計画を策定している。

     

    ■中国地方の民間病院は、陽性者が出た場合に濃厚接触者の規模に応じて外来診療を縮小し、薬が必要な慢性疾患の患者には電話診療を行い、宅配や院外処方で対応する準備を進めている。

     

    ■非薬剤師の活用を視野に入れている病院も少なくない。「調剤室の薬剤師が感染した場合、病棟担当薬剤師や薬剤部長が調剤と供給を行う。薬剤師以外の者の狭義の調剤範囲におけるテクニカルサポートを拡張する」(関東地方の民間病院)、「急に中止してはいけない薬剤のみ看護師が薬剤師に代わって業務を遂行する」(関東地方の民間病院)、「薬剤師の指示のもと薬剤助手や事務員によるピッキングや、分包機を使用せずPTP単位での払い出しを行う」(中国地方の民間病院)などの回答があった。

     

    ■一方、「感染時の対応を想定しているものの、普段から薬剤師不足のため事業継続計画を立てられない」(近畿地方の自治体病院)、「閉鎖された調剤室で業務を行っているため1人でも感染すれば薬剤部は閉鎖となり病院が機能しなくなる。他施設の薬剤師の関与の状況や対策を知りたい」(近畿地方の公的病院)など、対応に難渋する悲痛な声も上がった。