2023.08.22調剤機器

薬剤鑑査システムの種類と特徴をご紹介

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薬剤鑑査システムとは、「調製する薬剤が誤っていないかを自動的に判別するシステム」のことです。さらに、薬剤鑑査システムの活用により、投与量の確認や非薬剤師に薬剤ピッキングなどの業務を任せることができます。

これによって調剤のヒューマンエラーを防ぐとともに、対物業務の効率化を実現し、薬剤師の負担や患者さんの待ち時間の軽減につながります。

この記事では鑑査システムの種類と特徴を紹介します。ご興味のある方はぜひご参考にしてください。

薬剤鑑査システムの活用シーン

薬剤鑑査システムの使用タイミングは、主に「計数調剤時」「計量調剤時」です。それぞれのタイミングで使用するシステムには次のようなものがあります。

計数調剤時に使用するシステム
・ピッキングサポートシステム

計量調剤時に使用するシステム
・散薬監査システム
・水剤鑑査装置

各鑑査システムの特徴や役割について、詳しくご紹介します。

計数調剤の際に使用する薬剤鑑査システム

◎ピッキングサポートシステム

薬剤をピッキングする際にバーコードを読み込むことで、取り間違えなどの人為的なミスの発生を防ぐシステムです。

比較的簡単な操作で扱えるものが多く、基本的には薬剤に付与されているバーコードをスキャン、もしくは画像判別によって使用します。実務経験の少ない薬剤師でも負担なく対応でき、導入しやすいシステムと言えるでしょう。

据え置きタイプや専用のハンディ端末、既存のスマートフォン連動型のタイプがあり、それぞれの業務環境に応じて適したものを選ぶことが可能です。薬剤の取り間違えだけでなく、重量や画像により数量のチェックができる装置もあります。

また、鑑査システムの導入は調剤過誤の防止にもつながります。エラーの統計を取ることができるため、どの時間帯にどのミスが発生しやすいのか、どの薬品とどの薬品を取り間違えたのかを把握できるようになります。

さらに、ピッキング時だけでなくすべての薬剤を取りそろえた後に照合し、処方箋の内容に沿っているか最終的なチェックをする際に活用することも可能です。鑑査システムを導入する際は、どこまでのエビデンスを残したいのかという点も考慮しながら検討することをおすすめします。

計量調剤の際に使用する薬剤鑑査システム

◎散薬鑑査システム

特に目視での確認が難しく、調剤の正確性が求められる散剤(粉薬)の内容に誤りがないかをバーコードや重量測定によって自動的にチェックするシステムです。年齢・体重といった情報から投与量のチェックをかけることもできます。

散剤の場合、錠剤などに比べて混合や分包をしたあとでは内容のミスに気付きにくいと言えます。システムを導入することによって秤量の記録が残り、投与量が適正かどうかを判断しやすくなります。

また、秤量する際に有効期限のチェックをかけることも可能です。

 

◎水剤鑑査装置

散薬と同じく、薬剤の外観などで調剤された内容が正しいかどうかを判断するのが難しい水剤を、バーコードや計量装置を使用しチェックするシステムです。

水剤は小児に対して処方されることが多く、薬剤の選択や薬用量に注意が必要です。計量結果を記録紙として出力し、鑑査時に正しい薬品を調剤しているか再確認することも可能です。

その他の薬剤鑑査システム

◎一包化錠剤鑑査支援装置

一包化された薬剤の内容(種類・数量)に誤りがないかを、画像認識によって自動的にチェックするシステムです。

分包品を装置に通すことで、内部にあるカメラで分包紙の撮影をおこない、薬品の持つ「数量・刻印・色・形状」などの要素から分包されている薬品が正しいかどうか判別します。

薬品の間違いを判別するだけでなく、PTPシートのヒート片などの異物が分包紙内に混入している場合にアラートを出す機能を備えた装置もあります。

目視での確認は時間と手間がかかる作業であるため、一次鑑査を機械でおこなうことによって、調剤ミスの防止と薬剤師の負担軽減につながります。

まとめ

近年、鑑査システムの重要性はますます高まっており、メーカー各社がそれぞれ高い機能性と精度を備えたシステムを製造販売しています。ご紹介したように端末の種類もさまざまであるため、機能や使い勝手を理解したうえで、それぞれの業務環境や抱えている課題に対して適したものを選ぶことが大切です。

また、鑑査システムを活用することで鑑査結果を履歴として残しておけるため、調剤のトレーサビリティ強化にもつながります。患者さんから過去の処方についてお問い合わせがあった場合をはじめ、薬剤師1名体制の薬局でダブルチェックが難しい場合でも、安全性と確実性を担保できるようになります。

近年は鑑査システムだけでなく鑑査機能を備えた分包機も登場し、一度の作業で業務が済むなど効率化の面でも進化してきています。人為的な調剤ミスを防ぎ、対物業務の効率化を図ることは薬剤師にとっても患者さんにとってもメリットが大きいと言えます。ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。

<編集後記>

  • 鑑査システムを薬剤師の先生に活用していただくことで負担の軽減につながるということを改めて認識することができました。(編集担当:T.M)
  • あらゆるシステムの機能性が高まるなかで、システムをどのように活用すれば効率化や患者さんの満足度向上に結びつくのかを考えることがますます重要になっていると感じます。(ライター:N.K)

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※この記事は情報提供を目的としており、株式会社ユヤマ・株式会社湯山製作所の企業としての見解を示すものではございません。記事に関するご意見・ご感想はお気軽にお寄せください。

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タグ : 監査システム 鑑査システム
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